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62.新たな仲間



 レフィアの家に入った優夜は今、ティーネとレフィアに捕まっていた。

「えっと……。これは一体どうゆう事でしょうか?」

 捕まる、というよりこれは拘束である。

 レフィアの氷魔法によって身体を氷の蔓に縛られ、ティーネの精霊魔法によって立方体の檻に閉じ込められる。

 拘束を通り越して監禁である。


「あのー。ティーネ?レフィアさん?これは……」

 優夜が訳を聞こうとすると、


「優夜様は大人しくしていて下さい。今からこの女狐と話をしますので」

 いや、女狐って。それはハルの事では……?


「優夜さん。私は貴方をおもてなしする義務があります。大人しく待っていて下さい」

 あのー。この拘束+監禁はおもてなし何ですか?


 この二人がどうしてこうなったのかと言うと、時は10分前に遡る。



「優夜さん。ちょうど良い時間ですので、料理が出来るまでどうぞくつろいでいて下さい」

 レフィアはソファーを指差す。


「レフィアさんが作ってくれるんですか?」


「はい。私のせいで優夜さん達を巻き込んでしまったので、その責任としてせめてこの家にいる時間は私に任せて下さい」

 レフィアはしゅんとした後、どん、と胸を張る。


「じゃあお願いします」

 レフィアさんがそう言うんだ。俺達には拒否出来ないだろ。


「待って下さい!」

 ティーネが大声を出す。

 あ。拒否する人いた。


「えっと。それはどういう事でしょうか?ティーネさん」

 レフィアは困ったような表情をする。


「そのままの意味です。レフィアさん」


「それは、私がもてなす事に異議があると?」


「はい」

 うわあ。ティーネ言い切ったよ。レフィアさんのどこに問題があるんだ?

 優夜はティーネの言い分に考えを巡らす。

 ……うん。分かんない。


「ティーネ。何が問題なんだ?」

 優夜は考えた結果ティーネに聞く事にした。


「優夜様。私は優夜様の契約した精霊妃です。契約した以上、優夜様をもてなすのは私以外あり得ません」

 それは……言い過ぎじゃない?

 優夜はティーネの言葉に苦笑する。


「ですがティーネさん。私は昨日だけでなく今日も助けて頂きました。流石にそれはこちらの面目が立ちません」


「ティーネ。今日はレフィアに譲るというのは……」

 このままじゃ収集がつかない。ここはティーネに引いてもらうしか無いだろ。


「優夜様はレフィアさんに甘いです」

 ティーネは頬を膨らませる。


「いや、こんなじゃいつまで経っても収集がつかないだろ」


「では、優夜様は私にここは引け、と?」


「まあ、うん」

 そりゃあ、な。レフィアに非なんてどこにも無いし。ここはティーネが引くのが普通だろ。


「ぐ………」

 ティーネは優夜に即答されて顔を歪める。


「ではこうしましょう!私とレフィアさんで料理を作ります。そして、優夜様に判定してもらい、勝者は1日優夜様を自由に出来る権利を得る。これでどうでしょう?」

 ティーネが一つの案を出す。

 え。ちょっと待って。それ、俺の意思は?

 優夜はレフィアの答えを聞こうと顔を向かせる。


「ふふふ。なるほど。それは良い提案ですね。やりましょう!」

 レフィアは不敵な笑みを浮かべた後、ティーネの提案に乗る。


「いや、ちょっと待てーーーー!!」


「どうしました?優夜様」

「どうしましたか?優夜さん」

 おおう。息ぴったしだな。

 優夜はレフィアとティーネのシンクロに少し後ずさる。


「どうした?じゃねえよ!何勝手に話進めてんだ。あとそこ!お前らもこれどうにかしろ!」

 優夜はソファーでくつろぐハル達を指差す。


「んー?私らは関係ないだろ。人間の問題は人間が解決しろ」

 ハルは面倒臭そうな声を出すと目を閉じる。

 ぐうの音も出ないほど正論だな!


「ぐぬ。とにかく!レフィアさんもティーネも一旦落ち着け!」


「落ち着いてますよ。優夜様」

「優夜さんが落ち着いて下さい」


「ぐはっ」

 優夜はティーネとレフィアの言葉(攻撃)に体力を大幅に削られる。


「ティーネさん。ではあちらに。食材なら沢山ありますので」

 レフィアがキッチンを指差す。


「あら?先を譲って良いのですか?」


「ええ。どうぞ。どちらにせよ私が勝ちますから」

 レフィアはティーネに挑発をする。


「おやおや。相当な自信が有るのですね?」


「ええ。どこぞの精霊さんに負けるほど料理の腕は悪くないので」

 この言葉に遂にティーネの堪忍袋の尾が切れる。


「大人しく聞いていれば……この女狐……。分かりました。ではその精霊さんの実力を見せてあげましょう」


「あらあら。負け犬の遠吠えが聞こえますね」

 二人は睨み合う。


「「ふん!」」

 ティーネはキッチンへ向かい、レフィアは椅子に座って待機する。


 今ここに仁義なき戦いが始まる!


「始まるか!!ティーネ!お前は落ち着け!」

 優夜はティーネに拳骨を落とす。


「ううぅぅ、はぁい」

 ティーネは頭を押さえる。


「それと、レフィアさんも悪乗りしないでください!」

 優夜はレフィアを叱る。


「ぐう。仕方ありませんね」

 二人は少し残念そうにしながらも諦める。


「はあ。何で休暇でこんなに疲れなきゃいけないんだ……」

 優夜はソファーに体を沈める。


『大変そうだな』

 そこへ白とルウがやって来る。


「そう思うなら手伝ってくれ」

 優夜は白へジト目を向ける。


『……それは我の管轄外だ』

 白は優夜に目を逸らす。


「こいつ……!」

 やはりこいつは置いていったままの方が良かったのでは?

 優夜は白に怒りを募らせながら、ある計画を頭の中で立てていた。


「それで、レフィア。遊びはそこまでするとして、優夜達に用があるのだろ?」

 ソファーで寝ていたハルが口を開く。


「ああ。そうですね」

 レフィアは優夜に近づく。


「ん?用ってもてなす事じゃなく?」


「ええ。それよりももっと大事な事です」

 大事な事かあ。ティーネが精霊妃って言っても驚かなかったからな。もしかしたらレフィアさんって……。


「優夜さんはもう気付いているかも知れませんが、ティーネさん達の為にも言っておきましょう。私は土の勇者レフィアです」

 やっぱりか。これで勇者が全員揃ったな。


「『!』」

 白とティーネはその事実に驚く。


「そしてーー」

「そして、ハルがレフィアさんの精霊妃、だろ?」

 優夜は話を続けるレフィアを遮る。


「っ!そんな事まで分かってたのですか」

 レフィアは優夜にバレていた事に驚く。


「まあ、推測だけどな。土の勇者がいるんだったら大体その近くに精霊妃がいる。ハルが神獣ってのは驚いたけど」

 まさか神獣と精霊妃の両方になれるなんてな。てか、そもそも神獣で精霊ってあり得るのか?


「ほう。そこまで分かってたか。なら話が早い。そこから先は、分かるだろう?」

 ハルは優夜に不気味な笑みを見せる。


「もちろん。歓迎するぞ。ハル、レフィアさん」

 優夜の言葉にレフィアさんはほっ、と息を吐く。


「ありがとうございます。優夜さん」

 レフィアは頭を下げる。


「いやいや。それはこっちのセリフです。俺らは今勇者を集める旅をしてるんです。まさかレフィアさんの方から来てくれるなんて思ってませんでした」

 いやあ、ほんと。正直に言っちゃえば手間が省けてほんと助かる。


「これからよろしくお願いします。レフィアさん」

 優夜はレフィアに手を差し出す。


「ええ。こちらこそ」

 レフィアはその手を握る。

 そして、少しするとあっ、そうだ。と言ってレフィアは優夜から離れる。


「これからよろしくお願いしますね。ティーネさん」


「あらあら。ご丁寧にどうも。レフィアさん」

 二人は握手をする。


「仲良くなったな。あの二人」

 優夜はこの光景にそんな事を思うのだった。

 が、その時「優夜おもてなし同盟」というものが結成されている事に優夜は気付いていなかった。


「ふふふ」

「ふふふ」


「「ふふふふふふ」」

 ティーネとレフィアはお互いに笑みを交わすのだった。

【投稿予定】

6/20 63.第二の目標達成

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