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61.決着②

前回の続きですが、途中まではレフィアの回想です。




 あと少し。あと2、3分で準備が終わる……!

 ここまで耐えてくれた優夜さん、ティーネさん。それに神獣の方々のために。何より、殺された村の人達の為に!

 私は、あの魔族を倒す!

 お願い、精霊さん。私に力を貸して。


「あの人達を守れる。……優夜さん達を守る力を、貸して!」

 その瞬間、レフィアを眩い光が包み込む。

 優夜さん。あと少し。あと少しだけ、耐えて下さい!

 私はもう、


「誰も、失いたくない!」


 ーーあれはまだ私が小さい頃の話。

 私が森で遊んだ後、村に戻ると、そこには信じられない光景があった。

 村の人達がほとんど殺されていた。

 無惨に引き裂かれた者、頭から胴体までが無い者、肢体があらぬ方向に曲がっている者。

 私はそれらの人達を見て絶句し、その場に立ち尽くした。……否、動きたくても動けなかったのである。

 次は私が狙われるのでは無いか。そんな恐怖で体の震えが止まらなかった。

 私がしばらく立ち尽くしていると村の門から見知った顔が出て来る。


「……!レフィア!」

 母である。

 母は門から走って来ると私を抱き締める。

 母の目元は泣き腫らした後があり、服も所々汚れていたり裂かれていたりした。

 恐らく、村を襲撃した者から逃げ、その後、あの光景を見たのだろう。


「……マ、マ……」

 私は上手く喋れなかった。

 私は聞きたい事が沢山あった。

 何故こんな静かな村が襲われたのか?何故あんなに人が死んだのか?そして、誰が襲ったのか。


「レフィア。レフィア!無事で良かった……!」

 母は既に大量の涙を流したであろう透き通った青い目から、更に大粒の涙を流していた。


「……マ、マ。…大、…丈、夫……?」


「ええ。ママは大丈夫よ。さあ、家に帰りましょう」

 母は私に手を差し出す。


「うん!」

 母という存在により、緊張のほぐれた私は母の手を握る。

 しかし、母そこから一歩も動かなかった。……否。動けなかったのである。

 その理由は、目の前に禍々しい姿の人がいたから。

 その人は血を大量に浴びていて、幼い私でも分かった。

 この人が村を襲ったのだ、と。


「ああ。ここにいたのですか。土の勇者。村の中にいないのであれば見つからないはずです」

 その人は憎たらしい笑みを浮かべる。


「さて、私もあれだけの血を浴びれば気持ちが悪いのです。大人しく来てくれれば早く終わって楽なのですが」

 その人は母を、否。私を蛇のような目で睨む。


「……あぁ、う……ぁあ」

 私は蛇に睨まれた蛙のようになった。


「レフィア!逃げなさい!早く!」

 前にいる母から怒声が聞こえる。

 私も逃げたい。逃げたい。だけど、足が動かない。


「無駄ですよ。その子は逃げられません。逃げたところで私から逃げ切れる訳がないでしょう」

 その人はくつくつと笑うと、


「ああ、貴方には用はありませんね」

 その人は無慈悲に母の頭を切り飛ばした。

 その瞬間私は叫んだ。

 恐怖、混乱、怒り、悲しみ、絶望。それらの感情が一つの叫びに入り混じる。


「人間とは愚かですね。叫んだ所で何になると言うのですか」

 その人は呆れた様子を見せながらゆっくり近づいて来る。


「ひっ!……こ……ない……で。来ないで!」

 私は必死に逃げようとするが、足がびくともしない。


「なん……で……」

 私は目の前の悲しい現実に絶望する。


「ふふ。ふふふ。ふはははははは!やはり、人間とは愚かですね。ここまでの実力差を見せつけられて、まだ抗うとは。……実に滑稽です」

 その人は若いながらじりじりと詰め寄って来る。


「誰か……助けて……!」

 自力では逃げられないと分かったわたしは、悲鳴に似た助けを求める声を出す。


「こんな辺鄙へんぴな村に助けなんて来るはずが無いでしょう。そろそろ諦めたらどうですか?」

 その人は何かに飽きたような顔をして、近づく速度を上げる。


「ひっ!や……だ!……殺さないで!」


「おや。今度は命乞いですか。でも、その要求は聞けませんね。勇者は魔王様の脅威となる。魔王様復活の準備が始まった今、なるべく危険分子は取り除かなければいけません」

 その人はにやり、と笑みを浮かべる。


「さようなら。小さな勇者」

 その人が腕を振り上げた瞬間私は目を瞑る。

 ああ、私はここで死ぬんだ、と悟った。

 だが、次の瞬間私の首はあった。身体のどこも悪くなく、息もしている。

 どうやら生きているようだ。

 目を開けるとそこには誰もいなかった。

 そして。私はある狐と出会った。



 今目の前に長年思い続けてきたかたきがいる。

 レフィアの周りを覆う光が金色に輝く。

 村の人達の恨みを今日ここで!


「"数多の精霊達よ。今ここに集え」

 レフィアの頭上で無数の細かな氷が生成される。

 


「土の勇者、レフィアの名において、我が魔力を喰らえ。

精霊達よ。願わくば、強大なつるぎとなれ。大きく、硬く、そして長く、鋭利な剣となれ。

万物を貫き、万物を切り裂き、如何なるものも止められぬ剣となれ。

さあ、精霊達よ。今ここに集結し、我の剣となりて敵を穿て"」

 氷はレフィアの詠唱と共にぶつかり合い、大きな一つの氷となる。


「氷魔法。『氷結の剣』!」

 レフィアが魔法名を唱えると巨大な氷は、一本の剣となった。


「優夜さん!出来ました!」

 優夜はレフィアの声を聞くと、頷きマナメルの前から退く。


「何だ!?あれは!」

 マナメルはレフィアの魔法に愕然とする。


「村の人達の恨み。ここで晴らす!」

 レフィアの言葉に同調するかのように、剣がマナメルの頭上に落ちる。


「ちっ!圧魔法。『圧縮』」

 マナメルは魔法でレフィアの剣を押し潰そうとする。


「何!びくともしない、だと!?」

 しかし、レフィアの剣は止まるどころか、落ちる速度を上げる。


「そんな……馬鹿な……」

 マナメルが自身の死を覚悟した瞬間、マナメルのいる場所を巨大な剣が通る。

 刹那。森の木々に鮮血が飛び散る。

 そして、レフィアの剣は粉々になって辺りに散らばる。


「終わっ……た、のか?」

 優夜は勝利した実感が湧かず、臨戦態勢を取り続ける。


「はい。終わりました。優夜様」

 剣を持つ優夜の肩に手を置くティーネ。

 ティーネに声を掛けられた優夜は安堵し、剣を鞘にしまう。


「はあああ。疲れた。何で休暇の日に十魔族と戦わないといけないんだ」

 優夜は大きなため息を吐くと、過ぎ去った出来事に対し愚痴をこぼす。


『だが、ルウが進化したのは良かっただろ?』

 後ろから白が歩いてくる。その隣にいるのは、ついさっきまで白と同じ背丈だったルウだ。


「まあ、な。ルウ。進化してみてどうだ?」

 ルウは優夜の問いに首を傾げる。


「何も……?あ、でも、喋れるの嬉しい」

 ルウは尻尾を振る。

 大きくなっても中身は子供なのである。


「はは。そうだな」

 優夜はルウの頭を撫でる。


「優夜さん。ありがとうございました」

 レフィアとハルが優夜の元にやってくる。


「いえいえ。あいつは俺とティーネの敵でもありますから」


「それでも、ありがとうございました」

 レフィアの礼に優夜は照れながら頬を掻く。


「そうだ。そろそろ、あの家の中に入らせて貰って良いですか?」

 元々ここに来たのはそれが目的だし。


「あ!はい。そうですね。ハル様、良いですか?」


「良い良い。優夜達は恩人だ。丁重にもてなそう」

 そう言い、ハルは地面にしゃがむ。


「さあ、乗れ」

 優夜達はハルの背中に乗る。

 そして、最後にルウが乗ろうとした時、


「ん?ルウは乗らなくても良いぞ。進化した神獣は飛べるからな」


「「え」」

 優夜とティーネは衝撃の事実に耳を疑う。

 それだと白も飛べるって事か。これは良い事を聞いたな。


「じゃあ俺とティーネはルウに乗るよ」


「そうか」

 優夜とティーネはルウに乗り移る。


「では、行くぞ」

【投稿予定】

6/17 62.新たな仲間

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