57.ルウの成長
優夜達は今、指輪の落とし主を探してメルルラの街を出ていた。
「白。まだなのか?」
優夜は疲れた様子で白に聞く。
『まだだ。だが、匂いは強くなっている。あともう少しのはずだ』
白は足元をクンクン嗅ぎながら先は先へと進んでいく。
……白さん。これじゃストーカーではないか。
「てか、ほんとにこんな所にいるのか?」
自分の休みを人探しに潰され、愚痴をこぼす優夜。
「ワフー」
それに同調するかの様に鳴くルウ。
『うるさいぞ。二人とも。もう少し頑張れ。魔王について何か知れるかも知れないぞ?』
「お。ルウは疲れたか?俺もだ。そうだ。肩に乗るか?それなら疲れないだろ?」
「ワウ!」
優夜とルウは白を完全に無視して会話をする。
『……優夜』
ぷるぷる震えながら怒気のこもった声を放つ白。
「あ。ごめん。ちゃんとやるから許して」
『……まあ、良い』
あまい。甘いぞ白よ。
「ワウ!」
と、ここでルウが何かを見つける。
「ん?どうした。ルウ……っ!白早く来い!人がモンスターに襲われてる!」
優夜が前を向くと、そこにはゴブリンの群れに囲まれている一人の女性の姿があった。
ん?あの人。さっきぶつかった人じゃないか?
『何?助けるぞ、優夜』
「当たり前だ。先行ってるぞ!」
優夜は縮地を使い女性の近くまで移動する。
「大丈夫ですか?」
女性はいきなり現れた優夜に驚く。
「っ!……貴方はさっきの……はっ。危ないですよ。逃げてください!」
「大丈夫ですよ。俺は助けに来たんですから」
この人。さっきの人だ。やっぱり綺麗な人だな。
女性はフードを外しており、顔が見えるようになっていた。
「助けに?」
女性は助けに来たと言われ、ほっとする。
「あの。戦えますか?」
女性にこんな事聞くのってなんか変だよな。……でも、俺の周り戦える女性多いんだから少し疑っちゃうよな。
「はい」
女性は優夜の問いに即答する。
「あっ、はい。じゃあ俺は右の方をやるんで、……えっと」
そういや名前知らなかったな。
「私の名前はレフィアです」
「ああ。じゃあレフィアさんは左をお願いします」
「分かりました」
二人は戦う相手を決めると同時に飛ぶ。
「さて。レフィアさんが20体。俺が30か。ゴブリンだし大丈夫だろ」
でも。何でこんな多くのゴブリンが?ミノタウロスキングがいなくなったからって増えすぎじゃないか?
……あ。ゴブリンって増殖率がモンスターの中で一番なんだっけ。だからか。
優夜がゴブリンの急増に答えを見つけた時。
「ワウ!」
『優夜!』
「お。白とルウも来たか。二人共。ゴブリン退治手伝ってくれるか?」
「ワウ!」
『勿論だ』
白とルウは当たり前の様に戦いに加わる。
「よし。じゃあ俺が一番多い真ん中をやるから、白は右、ルウは左を頼む」
「ワウ!」
『了解だ』
優夜の指示に従い白とルウは散開する。
「さて、さっさと終わらせて休暇を楽しまなければ。ティーネにも早く帰って来いって言われてるし」
優夜は聖剣と魔練剣の二本を鞘から抜く。
優夜が構えるとゴブリンは警戒態勢を取る。
「じゃあ、行くぞ」
優夜は縮地を使い一番近くのゴブリンの目の前まで行くと、剣で周囲のゴブリンを薙ぎ払う。
今の攻撃で3体。俺の所は12体いるから後8体か。
「ギイイイ!?」
ゴブリンは優夜に反応できず慌てる。
「次だ!」
優夜はもう一度縮地を使い、今度はゴブリンの集まっている中心へ移動する。
そして、周囲のゴブリンを薙ぎ払う。
「ギイイイ!」
2体残ったゴブリンは逃げ出す。
「逃す訳ねえだろ!」
優夜は二本の剣をゴブリン目掛けて投げる。
「ギッ……!」
剣の刺さったゴブリンはカエルの潰れる様な声を出して倒れる。
「よし。これで終わりだな。白とルウの方は?」
優夜はゴブリンから剣を抜き鞘へしまうと、周りを見る。
すると、ゴブリンを狩り終えた白とルウが優夜の元へ戻って来るのが見える。
「お、ちゃんと倒したか。偉いぞ」
優夜は右手でルウの頭を、左手で白の頭を撫でる。
「ワフ〜♪」
『うむ』
「あっ。そうだ。ゴブリンだったから白と俺はレベル上がってないかもだけど、ルウは上がってるんじゃないか?」
優夜はじっとルウを見つめる。
『鑑定(強)発動』
種族 神狼(幼体)進化不可
レベル 90
スキル 硬化(レベル3)(自分の体を硬質化出来る。自分以外も硬質化させられるが、効果は落ちる。レベルが上がると能力も上がる) 爪牙強化(レベル3)(自身の爪と牙を強化する。レベルが上がると能力も上がる)
体力 8000/8000
攻撃力 9000
防御力 7000
俊敏 8000
弱点属性 ???
んん〜?何か結構上がってない?
ゴブリン倒しただけだよ?
……ルウ。チートか……。
「ルウ。お前結構強くなってるぞ」
優夜はしゃがみルウの毛をわしゃわしゃ撫でる。
あ〜。これ良い。ずっともふりてぇ。
「ワウ?ワフ〜」
ルウは撫でられて気持ち良さそうな声を出す。
「そういえばレフィアさん大丈夫かな?」
優夜は立ち上がりレフィア任せた方を向く。
すると、そこにはゴブリンを倒し終え、休んでいる姿があった。
「レフィアさん!大丈夫ですか?」
「優夜さん。この度はありがとうございました。優夜さんがいなければ危ない所でした」
休んでいたレフィアは立ち上がり頭を下げる。
「いえ。良いんですよ。それにレフィアさんに用があって来ましたから」
「私に?」
きょとんとした顔をするレフィア。
「はい。これです」
優夜はカバンから指輪を取り出し、レフィアに見せる。
「!これは、私のです」
「そうですか。良かったです」
優夜は指輪をレフィアに渡す。
「ありがとうございます。これは大事な物なんです」
指輪を受け取ったレフィアは大切そうに抱える。
「では、これで」
「あ、あの。せめてお礼をさせて下さい」
立ち去ろうとする優夜を引き止めるレフィア。
んー。困ったな。こうゆうの断れないし、ティーネには早く帰って来いって言われてるし。
「じゃあ明日またここに来ます。その時で良いですか?」
「はい。お待ちしてます」
よし。これで俺の休暇も増えて、断らないで済む。
「じゃあ。行くぞ、白、ルウ」
「ワウ」
『うむ』
優夜達は無事指輪を届け、ティーネ達のいる宿へ戻った。
【投稿予定】
6/5 58.十魔族再来




