50.再会
メルルラに到着した優夜達は、冒険者ギルドに来ていた。
あまり大人数で行っても迷惑だから、フリューネとメルにはエリスとリンカの中に入ってもらっている。
ティーネは……察してくれ。
「優夜様?何故冒険者ギルドに?」
着いた先が冒険者ギルドだという事が分からないエリスは優夜に聞く。
「探してる人がいてな。用事もあるし聞き込みを兼ねてな」
「探してる人?」
「ああ。俺のパーティメンバーだ」
「そうなんですか!ぜひ、会ってみたいです」
優夜のパーティメンバーということに興味を持つエリス。
「元からそのつもりだから安心しろ」
俺はエリスに返答しながらギルドの中に入る。
扉を開けるとカランカランと鐘の音が聞こえ、中の人達が一瞬こちらを見る。
が、俺達だと分かった瞬間元に戻る。
「あそこだ。行くぞ」
俺がカウンターを指差しみんなを誘導する。
「優夜様?グレンさんを探すのでは?」
カウンターに行こうとする優夜を止めるティーネ。
「言ったろ。用事があるって。エリスやリンカはまだ冒険者じゃないからな。登録をするんだ。冒険者になっておくと色々便利だし」
「なるほど」
ティーネは優夜の説明に納得する。
優夜達はカウンターの前まで来て止まる。
「あのー。すみません。この2人の登録をお願いしたいんですけど」
俺はエリスとリンカを受付嬢の前に出す。
「はい。登録ですね。ではこちらの紙に必要事項を書いてして下さい」
受付嬢は2人に紙を渡す。
あ、あれ。俺も書いた奴だ。思い出すなあ。
書き終えた二人は神を渡すと、次は水晶を渡される。
「では、魔力を測りますのでこの水晶に手を当ててください」
受付嬢は水晶に手を当てるふりをして言う。
「「はい」」
リンカとエリスは返事をすると、水晶に手を当てる。
あー。あれって俺が壊しちゃったやつだな。
そういえば、あれどうなったんだろう。
俺弁償してないけど。……大丈夫、だよね?
…………あれ?ちょっと待て。今俺壊したって言った?
リンカ達もそうなるのでは……。
「リンカ、エリス!今すぐ水晶から手を離せ」
「「!」」
二人が手を離した時は既に遅く、水晶は光り輝いていた。
パリッ!とガラスのひび割れる音がした少し後、今度は更にかん高い音が鳴り、水晶は無数のガラスの破片となっていった。
「二人とも大丈夫か?」
優夜は心配そうな声を上げる。
「大丈夫です。優夜様。でも、今のは一体何だったのでしょうか?」
「僕も平気だよ。僕もエリスの言う通り気になるな。今の」
エリスとリンカは二人の身に起こった出来事を不思議に思う。
「今のは……」
「今のは二人の魔力が多くて水晶が割れたんだよ。俺も一回あったからな」
出来事の説明をしようする受付嬢の代わりに優夜が言う。
「へえ。そうなんだ」
「私はそんなに魔力が多いという自覚は無いのですが……」
すぐに納得するリンカに対し、いまいち納得しきれないエリス。
「それは、この水晶は元々そこまで魔力を溜め込まないんだ」
優夜はエリスに説明する。
「どういう事でしょう?」
「この水晶はな、ギルドに登録する人が使う物だろ。だから、エリスやリンカみたいなレベルの高い人の魔力は耐えきれないんだ」
「なるほど。そういう事ですか」
エリスは優夜の説明に納得する。
「何故その事を知ってるのですか?」
受付嬢は優夜を訝しげに睨む。
「ああ、すみません。俺はガッハのギルドマスターの知り合いでして、色々と知ってるんですよ」
まあ、色々って言ってもあんまり知らないけどな。
「ガッハ……ギルドマスターの知り合い……水晶を割る……まさか……!」
受付嬢は何かに気付いたようにぶつぶつ呟く。
「ん?」
「貴方は優夜さんですか?」
「な、何故俺の事を?」
何でメルルラのギルド職員が俺の事知ってんだよ。
「ギルド職員の中では優夜さんは結構な有名人ですよ?ガッハの冒険者ギルドの水晶を割った男、と」
ええー。何それ。……もしかして、フェザードさんが何かやったのか……?
自分の名が知れている事に優夜はフェザードに疑いをかけるのだった。
「あの。そのお二人の件で少し時間を頂けますか?」
受付嬢は気を取り直し、優夜に聞く。
あ、これ水晶の事だ。
「ええ。良いですよ……って、エリスとリンカに聞かないとな」
俺は二人に時間を貰って良いかと聞くと、良いと即答された。それも何故か怒り気味で。
……乙女心は分からん。
俺達は受付嬢に案内され見覚えのある扉の前まで来る。
ここ。ガッハのとこと似てんな。
「ギルドマスター。お話したい事があります」
受付嬢は扉をノックして言う。
「入って良いぞ〜」
少しすると扉の奥から子供の声が聞こえる。
え?子供?
受付嬢は扉を開けると俺達を中に入れる。
中に入るとそこには魔術師の格好をした幼女がいた。
「ギルドマスター。この方はガッハのギルドで水晶を割った優夜さんです」
「おお!此奴があの水晶割りか」
何だこの子供は?
優夜は胸の内に本音を控えて、目の前の幼女に挨拶をする。
「どうも、メルルラのギルドマスター。俺は優夜です。よろしくお願いします」
俺は子供と目線が合うようにしゃがみ手を出す。
「子供扱いするでない。私はお主よりも年上じゃ」
「え…………」
優夜は幼女の衝撃発言に固まる。
「え……だって、子供、子供じゃん。それなのに年上って……。頭大丈夫か?」
優夜は幼女の言葉に混乱する。
「私の頭は大丈夫じゃ!……全く。失礼な奴じゃのう。私はエリー・マティソンじゃ。よろしくの」
幼女改めエリーは差し出された優夜の手を渋々掴み握手をする。
「それで、ティノよ。何の用で来たのだ。まさかこの此奴と会わすためではあるまいな?」
エリーは受付嬢にここに来た理由を聞く。
理由が俺だと駄目なのかよ……。優夜は密かにエリーへの怒りを募らせるのだった。
「はい。実は水晶を割った方が二人現れまして。それが優夜さんのお連れ様だったのです」
ティノと呼ばれた受付嬢はエリーに聞かれ、理由を述べる。
「ほう。水晶割りが二人も。それで、その二人は何処に?」
水晶割りって。もうちょっと良い言い方ないのか?それだと悪い事したみたいだろ。まあ、良くも無いけど。
「エリス、リンカ。こっち来い」
二人は優夜に呼ばれエリーの前に来る。
「ふむ。名はエリスとリンカと言うのじゃな。…………は?エリスってまさか、お主、いや貴方はエリス王女殿下、ですか?」
先程まで老人喋りだったエリーは、エリスが王女だと分かると普通の喋り方になる。
「ええ!?エリス……様は王女様なんですか?」
エリーから放たれた言葉に驚くティノ。
「はい。私はこの国の王女、エリス・ア・シュラルです」
エリスは自分が王女だという事を隠す事なく言う。
……王族は三つ名前があるのか。とその頃優夜は新しい発見をした。
「はー。まさか人生生きてて王族に会うとは。驚いたな」
「あのー。それよりも水晶の話に行ってくれませんか?あまり時間が無いんですけど」
俺は早くグレンを探しに行きたいのだが。
「ん?お主の目的は人探しであろう?なら安心せい。その探し人は今ここに向かっておる」
「え?」
優夜はエリーの言葉が理解できず思わず聞き返してしまう。
「実はな、私は頼まれておったのじゃよ。優夜という名の冒険者が来たら連絡をくれ、とな」
「そ、その依頼主の名前は?」
優夜はその先を予想しながらエリーに聞く。
「えっと、確か名前は……」
「グレンだ。覚えといてくれギルドマスター」
エリーが言おうとしたその瞬間、扉が開かれ聞き覚えのある声がする。
「!」
優夜はその声に反応して後ろを向く。
「そうそう。グレンじゃ。すまんな。私は歳であまり記憶力が良く無いのじゃ」
エリーは手を叩き、頷く。
「グレン、本当にグレンか?」
優夜は目の前にいる人物が信じられず聞き返す。
「私もいるよ。優夜くん♪」
グレンの後ろからミルが顔を出す。
「ああ、ミル。これは現実なんだな」
二人を認識すると優夜は今見てるものが本物だと信じる。
「久しぶりだな。優夜」
「ああ、久しぶり。グレン」
二人は歩み寄り、お互いに握手をするのだった。
【投稿予定】
5/10 48.5.森の中で
5/12 51.白猫団と勇者パーティ
投稿再開です。また、2日おきに投稿していきます。たまにお休みを頂く時があるかもしれませんが、よろしくお願いします。




