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48.自慢の兄



 今朝優夜達がアクリオン辺境伯を出てから2時間ほど過ぎた頃。

 優夜達は昼食の準備をする事になった。


「じゃあ、リンカとメルは荷物を見ていてくれ。エリスとフリューネは薪を取りに行ってくれ。それで、俺とティーネが狩りだな」

 優夜が役割分担をすると一人が不満の声を上げる。


「えー。僕も狩りに行きたいよー」


「んー。じゃあ俺と代わるか?」

 優夜がそう言うとリンカは更に機嫌を悪くする。

 優夜がそれを見て困り果てている所にティーネが助け船を出す。


「では、私と代わりましょう、リンカさん」

 ティーネの提案にリンカはパッと笑顔になる。


「うん!」


「良いのか?ティーネ」

 優夜はティーネに何故代わるのかを聞く。


「はい。特別狩りをしたいという訳ではありませんし。私は次の街について調べたいと思っていましたから」

 優夜の問いにティーネは答える。


「調べる?どうやって?」

 ティーネの言葉を理解出来ない優夜は更に聞く。


「微精霊を先に街に行かせてるんです。私はその微精霊を通じて微精霊が見ているものを見る事が出来るんです」


「へえ。そうなのか」

 優夜は一緒にいるティーネの新たな力に驚く。


「では、リンカさん。私の代わりに頑張ってください」


「うん!ありがとうティーネさん」

 リンカは優夜と組めて嬉しく、ティーネに感謝の気持ちを伝える。


「いえ、では始めましょう。このままここに居ても時間が過ぎていくだけです」


「おお、そうだな。じゃあ行くか、リンカ」


「うん!たくさん狩ろうね」

 優夜はリンカの言葉に頷き森の中に入っていく。



 優夜達が昼食の準備をしている頃。ガッハを出て1日が経ったグレン達はメルルラを目指していた。


「グレン兄さん。本当にメルルラって所に優夜くんはいるの?」

 自分の兄を信じきれず疑うミル。


「ああ。優夜はメルルラに必ず行く」

 少しも疑う事なく言い切るグレン。


「何で優夜くんがそこにいるって分かるの?」


「それはな、ミルが母さんと話している間に白に言われたんだよ。『優夜はメルルラに行く』ってな」


「白に会ったの!?」

 グレンが白と会っていた事にミルは驚く。


「ああ、白は、優夜はよく我の事を忘れる。とか言ってたな」


「へえ。……え?じゃあ、白がグレン兄さんのとこに来たのって……」

 ミルはグレンの言葉を聞き頭で推測する。


「多分、行く場所がなくてガッハに戻ってきたんじゃないか?」


「だよね……」

 ミルは推測が当たり肩を落とす。

 ……優夜くん。白の事を置いて行かないでよ。

 ミルは心の中で優夜を叱る。


「てか。気付いてないのか?さっきからずっと付いてきてるぞ、白」

 グレンは足を止め、振り返るとミルの斜め後ろに生えている木の枝を指す。

 グレンが指差した先には木の幹に急いで隠れようとしている白がいた。


「いた!?」

 ミルは白を見て驚く。

 白は二人にバレた事を悟り、木から降りるとグレンの横まで歩く。


『何故分かった?気配は消していた筈だが」

 白はグレンにバレた事を不思議に思う。


「いや、気配消しても足音でバレバレだよ」

 確かに白はグレンのスキル気配探知にはかからなかった。

 だが、グレンは生まれつき耳が良く、その性能は常識から逸脱したもので、白が木から木へ渡る音を聞き逃してはいなかったのだ。


「グレン兄さんはね、耳が普通の人より良いんだ」


『むう。耳が良いだけで我の足音を聞けるはずが無いのだが……』

 自分の居場所がバレた事を不思議に思う白はミルの言葉を信じきれなかった。


「まあ、信じきれないのも無理ないか。だってグレン兄さんの耳は………!グレン兄さん。75メートル先で人がモンスターに襲われてる!」

 ミルは話を中断すると真剣な顔をする。


「分かった。行くぞ」

 ミルの言葉を疑う事なく信じ、走り始めるグレン。


『どうした?急に走り始めて』

 グレン達の行動を理解できない白は困惑する。


「まあ、ついて来れば分かるさ。凄いのは俺だけじゃないって事が」


『?』

 白は理解出来ないままついて行くとそこには、五体のモンスターを相手に苦戦している2人の男女がいた。


「あれはロックスネークか」

 グレンは蛇のモンスターを見ると嫌な顔をする。


「それって、洞窟に沢山いた、あの?」


「ああ、そうだ。見てるだけでむかついてくる。早く終わらせるぞ」

 洞窟で特訓をしていた頃を思い出したグレンはミルを急かす。


「グレン兄さんはロックスネークの皮膚に全然剣が効かなくて苦戦してたもんね」

 グレンの顔を見てミルは笑いながら言う。


「うるさい……!ミルがやらないなら俺1人で行ってくる」

 笑うミルを見てグレンは怒りながらロックスネークへ近づいて行く。


「ごめんね。私も手伝うから怒らないでよ」

 怒るグレンを見てミルは謝りながらグレンの後を追う。


「別に怒ってなんかいない。それより早く助けるぞ」


「うん。そうだね」

 ロックスネークはじりじりと2人の男女を追い詰めて行く。

 そして、男女の後ろを岩の壁が塞ぎ、逃げ道を失ったところで一体のロックスネークが叫ぶ。


「シャャアアアア!」

 一体の掛け声で一斉にロックスネークが男女に向かって飛びかかる。


「うわぁああああ!」

「きゃああああ!」

 2人の男女はロックスネークに怖気付きその場にしゃがみ込む。


「"炎の槍よ雷を纏い敵を穿て"炎雷槍!」

 ミルが詠唱を終えると、五体のロックスネークを一本の炎の槍が雷の如く速さで貫く。


「「………あれ?」」

 2人の男女は飛びかかってきたロックスネークがいないのを見て困惑する。


「大丈夫ですか?」

 ミルはロックスネークが死んだのを確認すると2人に話しかける。


「あ、あの。ロックスネークは?」

 男は自分を襲っていたロックスネークがどこに行ったのかを聞く。


「ロックスネークなら私が倒しましたよ」

 ミルは一体のロックスネークの頭を掴み男に見せる。


「あ、ありがとうございます!貴方に助けて貰えなければ僕と彼女は死んでました」

 男はミルが助けてくれたのだと知ると頭を下げて感謝する。


「いえ、当然の事をしただけです。それより、何故ロックスネークに襲われていたのですか?」


「えっと、そのー………」

「全く………」

 男が言うのを渋っているのを見て女が代わりに言う。


「私達は凄く方向音痴でして、夫が地図を忘れたせいでこんな目に」

 女はため息を吐きながら言う。


「あー。なるほど」

 ミルは女の言葉に理解する。


「えっと、その、すみません」

 男は女とミルに向かって謝る。



 ロックスネークを倒した後2人はメルルラに向けて歩き始めた。

「グレン兄さんは方向音痴じゃないもんね」


「当たり前だろ」


「グレン兄さんは強いもんね」


「どうした?ミル」

 ミルの問いを不思議に思ったグレンは聞く。


「いや、別に♪」

 ミルはグレンの問いに声を弾ませて答える。


「?」

 グレンはミルの意図が分からず首を傾げる。


 グレン兄さんは私の自慢の兄だ。強くてかっこよくて頼りになる。

 ……でも、洗濯や掃除は出来ないけど。

 それでも、私が自信を持って自慢できる兄だ。

 ミルは歩きながらそんな事を考えていた。


「お、見えたぞ。あれだ」

 ミルはグレンの声を聞き視線をグレンから前に向き直す。


「わあ!」

 目の前には人が多く行き入りしている門があり、その街は活気に満ちていた。


「よし、今日はここにある宿に泊まって休むぞ」


「うん!」

 ミルはグレンの提案に頷く。

 今日はグレン兄さんの好きな焼肉にしよう。

【投稿予定】

4/30 49.メルルラ到着

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