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45.海とモンスター③



 さてと、多分ティーネ達の魔法でも倒すには足りない。魔力回復瓶はリンカの屋敷に置いて来たから魔力が切れたら終わりだな。

 ま、その時はその時だ。今はこいつを足止めしないとな。


『身体能力強化(レベル4)発動』

 これでよし。

 後はあいつに海龍の咆哮を使わせて魔力をなくしてもらおう。確かアークデーモンと戦った時あいつの魔力は結構残ってたからな。

 もし、俺の推測が正しければ凶化にはそれなりの魔力が必要なはずだ。凶化が使えなくなれば倒せる確率は高くなる。


「行くか」

 優夜は縮地を使いリヴァイアサンの顔の前に行くと、風属性魔法を使い空に浮く。


『ぬ?』

 リヴァイアサンはいきなり優夜が現れ困惑する。


「風属性魔法。『エアスラッシュ』」

 俺はリヴァイアサンの顔に風の刃を浴びさせる。

 


『ぐっ、ぬるいわ!』

 しかし、風の刃では威力が足りず、あまりダメージが入らない。

 威力は関係ない。どうせ斬波を使ってもあまり喰らわない。なら魔力消費の少ないこの魔法で奴の気を引く。


「もう一回。『エアスラッシュ』」

 優夜はもう一度風の刃をぶつける。

 後少し。後少しだ。


『効かぬ。この程度なのか勇者とは。期待外れだな。スキル発動。海龍の咆哮』

 来た!


「リンカ!頼んだ」

 優夜はリヴァイアサンが口を開き水を掻き集めてる所で、魔法を解き地面に降りるとリンカにバトンタッチする。


「任せて。優夜に見せてあげるよ。今強くなった僕の力を!」

 リンカの言葉に首を傾げる優夜。

 今強くなった?俺がリヴァイアサンにエアスラッシュを撃ってる間に何かあったのか?


「どうゆうことだ?リンカ」

 優夜の言葉にリンカは顔に笑みを浮かべて答える。


「見てれば分かるよ。………来る!」

 リンカの緊迫した声に優夜はリヴァイアサンの方を見る。すると、リヴァイアサンの口にはさっき見た時とは比べ物にならない程に巨大になった水球があった。


『さあ、勇者。耐えてみろ。この一撃を!』

 リヴァイアサンは大声を上げると同時に水球を放つ。


「模倣魔法『海龍の咆哮』」

 リンカは水球が放たれた瞬間両手を前に出し魔法を発動する。

 すると、リンカの手からはリヴァイアサンのと同じくらいの水球が作られる。


「いっけー!」

 リンカの掛け声で水球が放たれると両者の水球は空中でぶつかる。

 しかし、威力を上回ったリヴァイアサンの水球はリンカの水球を破り、小さくなりながらも優夜達へ向かっていく。


「これなら!」

 優夜は剣を構えて地面を蹴ると水球を思いっきり斬る。


『何!?』

 リヴァイアサンは自分のスキルが破られ驚愕する。


「凄いな!リンカ。模倣とかいっといてほとんど変わらないじゃん」


「だから言ったじゃん。強くなったって。普通の模倣魔法じゃあんな威力でないよ。でも僕は特別。お母さんとお父さんが力を貸してくれたから」

 リンカは自慢げに言い自分の胸元のペンダントを翳す。

 あのペンダントは何だ?

 優夜がそう思った瞬間、頭に激痛が走る。


「がっ!?」

 優夜は頭を抱えその場にしゃがみ込む。


「優夜?頭を抱えてどうしたの?」

 リンカが心配そうに聞く。


「大……丈夫。ちょっと頭に激痛が走っただけだ」

 優夜は少しして立ち上がると言う。


「そう。なら良かった」

 リンカは優夜の平気そうな顔を見てほっとする。

 さっきのは何だ。俺はさっきあのペンダントを見て……。

 何だ。何かが頭に引っかかる。

 ……俺はあのペンダントを知ってる……?

 あれは確か、火の勇者が持てる物でそれを持ってる者、そしてその者が仲間と認めた者の特定の魔法の威力を2倍に引き上げる物。だったはず。

 あれ?でも何で俺はそんな事知ってるんだ?あのペンダントは見た事も聞いた事も無いのに。

 いや、いいや。今はリヴァイアサンに集中しよう。


「リンカ。リンカは俺達の仲間だよな?」

 あのペンダントが本物なら俺は何かの力が強くなってるはず。

 でも、その前にリンカに確認しとかないとな。


「いきなり聞いてきてどうしたの?そんなの決まってるじゃん。僕は優夜達の仲間だよ。優夜の行くとこに僕は付いて行くだけだよ」

 リンカは当たり前の事を話すように言う。

 よし。後は何の力が強くなってるか、だな。

 それは分からないから手当たり次第魔法とかを使ってくか。

 俺が使える魔法は、火、風、水、土、闇、光、回復、神聖、精霊だな。

 風は違うな。エアスラッシュは全然効いてなかった。あと、回復は今は出来ないから後回しだな。


「じゃあちょっと行ってくる。リンカはまたさっきのが来た時の為に準備しといて」


「分かった」

 俺は縮地を使い今度はリヴァイアサンの頭の先に立つ。

 あまり魔力は使いたくないから小位の魔法を使うか。


「じゃ、ちょっと付き合って貰うぞ」


『ん?』

 優夜の言葉に疑問を持つリヴァイアサン。


「火属性魔法『発火』」

 リヴァイアサンの頭の先に小さな爆発が起こる。

 ……違うな。


『何をしている。小僧』

 優夜の行動の意味が分からないリヴァイアサンは困惑する。


「さあ。何をしてるんでしょう?水属性魔法『流水』」

 次は少量の水がリヴァイアサンの頭に流れる。

 これも違う。


『ぬう』

 リヴァイアサンは優夜の意図が分からず不満の声を出す。

 もしかして六属性の魔法は強化されないのか。リンカは模倣魔法が強化されたみたいだし。


「次はこれだ。精霊魔法『水霊召喚』」

 これは微精霊を召喚して攻撃する魔法だ。

 本来は冒険者ランクD程度にまで効く威力なんだけど。


『ぐっ。なんだ今のは?先程までのより強いぞ。小僧。何がしたい?」

 優夜は魔法の威力を見てにやける。

 これが火の勇者のペンダントの力……!

 そして、俺が強化されたのは精霊魔法か。


「ありがとな。付き合ってくれて。お陰で色々分かって時間も稼げた」


『何?』

 何の事だという顔をするリヴァイアサン。


「ティーネ達。やれ!」

 優夜はリヴァイアサンの頭から降りると、既に詠唱を唱え終え撃つ準備をしているティーネ達に指示を出す。


「はい、優夜様。精霊魔法『水霊の制裁』」

「やります。『風霊の咆哮』」

「分かりました〜。『火霊の制裁』」

 3人は一斉にそれぞれの精霊魔法を放つ。

 おお。ティーネとメルは最上位の魔法をエリスは上位か。それに、もし俺の推測が正しければこの3人も。


『ぐおっ!?何だこれは!?何故ここまでの威力が出るんだ!?』

 優夜が今言おうとしていた事をリヴァイアサンが代弁する。

 やっぱり。あの3人も精霊魔法が強化されてる。じゃあ何でリンカは模倣魔法なんだろ?

 いや、やっぱ良いや。仲間の事を詮索するのはやめよう。それよりも、今はリヴァイアサンだ。


「ティーネ達。魔力が残ってたら次の魔法を準備しといてくれ」

 魔法を撃ち終えた3人にすかさず指示を出す優夜。


「「「はい」」」

 さてさて、どのくらいダメージを喰らったかな?


『鑑定(強)発動』


体力 14000/30000


 やべぇ。めっちゃ減ってる。リンカのペンダントやべぇ。

 ま、味方だしいっか。リンカが敵になったらとかは考えないようにしよう。

 てか、あともう一回ティーネ達が魔法を撃ったら倒せるじゃん。


「よし。じゃあもう一回行ってくるか」

 でもなあ。何か上手くいきすぎじゃない?リヴァイアサンと戦ってたらリンカのペンダントが発動していきなり形勢逆転って。ほんとに何も無いんだったら良いけど……。


『ぐっ……おのれ勇者め。魔王にその首を届けてやろうと思っていたがもう良い。スキル。凶化!』

 ティーネ達からの攻撃を受けたリヴァイアサンは残る魔力を使いスキルを発動する。

 あっやべ。凶化あるの忘れてた。

【投稿予定】

4/21 45.海とモンスター④

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