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42.対談②



「勇者様。どうぞ席にお座りください。何も細工などしておりませんから」


「……分かりました」

 メルの言葉を疑いながらも優夜は置かれた席に座る。


「皆さんも」

 優夜が座ったのを見てティーネ、エリス、フリューネが座る。

 席は丸いテーブルを囲む様に六席置かれており、優夜から右にティーネ、メル、リンカ、フリューネ、エリスとなっている。

 全員が座ったのを見てリンカが口を開く。


「今日はわざわざこんな辺境の地まで来てもらって悪いのですが、単刀直入に聞きます。何が目的ですか」

 うおっ。リンカって子。可愛くて大人しそうだけど結構ズバっとくるんだな。


「おふたりはもう分かってるかもしれませんが、俺が今日ここに来た目的は、魔王討伐におふたりの力を貸して欲しいのです」


「……何故私達を?」


「貴方達でなければいけないとは言えません。確かに、人手を増やせば力も増え魔王を倒すには至るでしょう。ですが、人が多くなればその分傷付く人が多くなる。俺はその人達を出来るだけ少なくしたい。これを言うと貴方達には悪いのですが、貴方達の様な強い力を持った人が戦いにでれば傷付く人は減ります。無理にとは、言いません。貴方達にとっては悪い事でしょうから。でも、もし、戦っていただけるのならこの国いや、世界から感謝され莫大な富と名声を得られるでしょう」

 優夜の言葉を静かに聞いていたメルとリンカは、お互いの顔を見た後笑みを交わし優夜の方を向く。


「勇者様達は富や名声の為に戦っているのではないでしょう?」

 悪戯っぽく聞いてくるリンカ。


「別に欲しくないわけでは無いです。俺にも欲はありますから。ですがこの戦いは違いますね」


「なら、貴方達は何の為にこの戦いを?」

 俺は、あれなんだよな。あの女神から頼まれてやってるだけで。まあ。悪いとは思ってないけどね。エリスとかザレスさんにアーネさん、そしてフェザードさんにパーティのみんな。この人達に会えたのはあの女神……ホーラのおかげだ。だから俺は決めたんだ。この戦いは。


「この戦いは友の為に」


「私は優夜様に付いて行くと決めました」

 優夜の後に続く様にティーネが言う。


「あ、ティーネさんずるいです。私が言おうとしてたのに」

 ティーネに先を越され悔しそうにするエリス。


「私はエリス様の精霊妃ですので。まあ、強いて言うならば、面白そうだったからですわ」

 面白そうって、魔王だぞ。魔王。

 フリューネの言葉に呆れる優夜。というか、全員。


「なるほど。では最後に一つ。僕はこの家の主。アクリオン辺境伯を殺し、勇者という地位を剥奪された人殺しです。それでも仲間にしたいと思いますか?」


「「「「!!」」」」

 リンカの口から放たれた衝撃の事実に言葉を失う優夜達。

 そうか。おかしいとは思ってたんだ。勇者である者が何故不便のあるこんな辺境に住んでいるのか。そして、決定的におかしいと思ったのは村人の言葉だ。


『あの人は私達を救う為に自分から火に飛び込んだのです』

 優夜は村で聞いた言葉を脳内で再生する。


「人殺しですか。でも、それは村の人達を救う為でしょう?」


「はい。僕は村の人達に親切にして貰いました。森で道に迷ってた私に住む場所を、食べ物を、服を、何より、生きる希望を、生きる意味をくれたんです。でも、あの人達は苦しんでいた。毎日毎日重労働を強いられ、休む暇も与えられない。僕はある日その原因が村を治める辺境伯にある事に気付き、夜に屋敷、この家に忍び込み、殺しました」

 リンカは嫌な過去を思い出し、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「………」

 優夜はリンカにどんな言葉を掛ければ良いのか分からず口を塞いでいた。


「勇者様。いえ、優夜さん。もう一度聞きます。僕は人殺しです。旅の途中、気が変わって貴方を殺してしまうかもしれません。それでも仲間にしたいと思いますか?」

 優夜はさっきまでの迷いが嘘かの様に即答する。


「はい」

 優夜はリンカに笑顔で答える。



 あの後メルがもう日が沈むからと話を中断し、優夜達はアクリオン邸に泊まることになった。そして今、みんなが寝静まった後のリンカの部屋。


 リンカはベッドの上で中々眠る事が出来ず考え事をしていた。


「優夜さん。嘘は全く付いてなかったな。本気で仲間の為に戦ってるんだ」

 僕は何をくよくよしているんだろう。メルが中断したのは多分私の為だろうな。

 時間をあげるから答えを決めなさい。ってメルは言いたいんだろうな。ほんと、世話焼きなんだから。

 ……でも、ありがとう。メル。貴方のお陰で決まったよ。答え。そして、少しは分かったかな。メルの言ってた事。



 翌朝。優夜達はもう一度集まっていた。


「ではリンカさん。昨日の答え聞かせてください」


「僕の事は呼び捨てで呼んでください。それに敬語も要りません」


「ごめん。俺の事も優夜で、それに敬語も要らない。じゃあリンカ。昨日の答えを聞かせてくれ」


「僕も魔王討伐に参加します」


「それは何の為に?」

 優夜はリンカに悪戯っぽく聞く。


「ふふっ。……友の為に!」

 リンカは優夜の問いに笑みを浮かべた後笑顔で答える。

【投稿予定】

4/12 43.海とモンスター①

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