35.風の王女
朝起きると俺の横には真っ白な肌を恥ずかしむ事なく晒しているリーナがいた。
「な、なんて格好してるんだ!?早く服を着ろよ!」
「それは自分の姿を見てから言って欲しいです」
「え?」
俺はリーナに言われた通り自分の体を見ると俺も裸だった。
「なっ!?」
「昨日は凄かったです」
「へ?昨日?」
「ええ。ベッドへ私を押し倒した後そのまま私の制止も聞かずに強引にしてました」
リーナは嬉々として頬を赤らめながら話していく。まるで昨日を思い返すかの様に。
「え?嘘だろ」
俺まさか童貞卒業しちゃった?
いや待て。神崎優夜。思い出せ、昨日何があったのかを。
確か昨日の夜は食堂で飯を食べてたらガラルさんに酒を勧められてそのまま勢いで飲んで酔っ払って......。
くそっ。それからが思い出せない。
「覚えてないのですか?優夜様。お父様に私と同じ部屋で寝る様にと言われて同じ部屋、同じベッドで一晩を共に過ごした事を」
なに言ってんだよガラルさん。
「そんな、まさか、う、嘘だよな」
「はい。嘘です」
あれ?リーナの声のトーンが一気に3オクターブ下がったぞ。
嘘か。良かったような残念なような。
「同じ部屋、同じベッドまでは私の言った通りです。ですが優夜様はそのまますぐに寝てしまいました。お疲れだったのですね」
リーナは残念そうにだが優夜を労う様に言う。
おおぉぉおいい!何してんだよ俺!その場面は普通ヤル所だろ!
はっ。でもそのままやっていたら俺は人生初の童貞卒業の瞬間を脳に刻む事が出来ないことになる。
......なら良かったのか?
朝起きた俺はそんな事を思いながら服を着て隣の部屋にいるティーネと途中合流して食堂へ向かった。
食堂へ着くとそこにいたのはガラルさんのみでリーズさんの姿は見えなかった。
「あれ?リーズさんはどこに行ったんですか?」
「妻なら仕事に出かけたよ」
「へぇ。こんな朝早くに出かけるなんて忙しいんですね」
「まあね。それより優夜君。昨日はお楽しみだったのかな?」
いきなり切り込んできたぞ、この人。
「ん?それは何の話ですか?」
ガラルさんの言葉に耳を傾けてくるティーネ。
「いや〜実はね昨日、リーナと優夜君は同じ部屋、同じベッドで寝たんだよティーネ嬢。そんな場で何もないわけが無いよね〜」
ガラルの言葉で場の空気が凍りつく。
あ、おわた。
「優夜様?今の話は本当ですか?昨日の夜に何があったのか話して頂けませんか?」
言葉に怒気を含めながら問いかけてくるティーネ。
ガラルさん後で覚えてろよ!
俺はガラルさんへの怒りを募らせながらティーネに対応する。
「な、何もないって。本当だ信じてくれ」
俺の言い分を聞いてもなおティーネは俺を睨んでくる。
そして沈黙が続くこと5秒。
「……はぁ。分かりました何もないと信じます」
俺はティーネの睨みから解き放たれたのだった。
「もうこんなことのないようにして下さいね」
「はい……」
ティーネの睨みから脱した俺はティーネに釘を刺された。
くそぅ。ガラルさんめ。まじで何か嫌がらせしてやろうか。と、思ったがガラルさんに嫌がらせなんてしたら俺にどんな仕打ちが返ってくるか分からないから2、3秒悩みやめることにした。
◇
「じゃあ出発しようか。みんな馬車に乗って」
リーナ、ティーネ、優夜、ガラルの4人は王城に向かうため馬車に乗り込んだ。
フェンリオ家から10分ほど4人で話していたら馬車が止まり扉が開いた。
「着いたみたいだ。さあ降りよう」
俺達はガラルさんに促されて馬車を降りると目の前にはフェンリオ家の3倍あると思われる大きな城が建っていた。
「ここが王城シュラル城……」
「ここには何度か来たことがありますが何度見ても圧巻です」
隣で舌を巻くように城を眺めているリーナ。
そしてその隣であまり驚いてない様子のティーネ。
「ティーネは驚かないんだな」
「私は旅をしていた時に何度も見ましたから。ここまで近くは初めてですけど」
「ああ……」
「さあさあ。いつまでも立ってないで進もう」
俺達は衛兵さんのいる場所まで行くと貰った招待状を見せた。
「優夜様ですね。王の間まで案内しますので着いて来て下さい」
俺は衛兵さんに着いていくとでかい扉の前に案内された。
「ここから先が王の間です。今は国王陛下、王妃殿下、第一王女エリス様がいらっしゃいます。くれぐれも無礼のないように」
衛兵さんは俺達に忠告するとそそくさと帰っていった。
やっぱ敬語とか使うんだよね。面倒くさい気持ちもあるがここは我慢だ。ようやく一人風の精霊妃と風の勇者の子孫に出会えるのだから。
「最初の挨拶は私がやるからあまり緊張しなくていいよ」
「ありがとうございます」
「いや、いいさ。じゃあいくよ」
ガラルさんは合図とともに扉を二回叩く。
「入りたまえ」
少しすると扉の奥から威厳のある声が聞こえる。
ガラルさんが扉を開けて中に入る。それに続き俺達も中に入る。
中に入ると緑髪、緑眼、すらりとした姿に白のドレスを着た俺やリーナ同じくらいの歳の少女が走って来た。
「エリス!」
国王陛下がそれを見て一喝する。
だがエリスと呼ばれた少女は止まることなく走り続け俺の前で止まる。
「やっと。やっと見つけた。私の勇者様」
「「「「え!?」」」」
その発言に俺とティーネ以外の全員が驚きの声を発する。
あーあ。ばれちゃった。まぁいつかは話すつもりだったしいいか。
【投稿予定】
3/16 36.優夜の更なる覚醒




