33.優夜と門番の約束
投稿再開です。これからも3日おきに投稿していくのでよろしくお願いします。
王都に着いた翌日。俺とティーネはリーナに渡された紙に書いてあった場所に来ていた。(白は起こしても起きなかったため宿に置いてきた)
「……でかいな」
「……これは、大きいですね」
リーナの提示した場所は王都の中でも群を抜いて大きい家だった。
「ここであってるよな?」
俺は手に持っている地図を見直したがやはりこの場所であっている様だ。
「ここってもしかしてリーナの家とかだったりして……」
「あり得ますね」
「だよな。王都の中でもでかい家ってゆうことは自分は位の高い貴族って言ってる様なもんだろ」
指定場所に着いた俺(庶民)は前世でも見た事のないほどの大きな家の前でティーネと話しながら門の前をうろうろしていた。
「おい!貴様らそこで何をしている」
そしたら、門番の人に捕まりました。
◇
私は王国に三家しかいない公爵家の一人ガラル・フェンリオのただ一人の娘リーナ・フェンリオ。
私は昨日優夜様に命を救われました。
Bランク冒険者である護衛三人がオーク四体に苦戦しているのに対し優夜様はオークを圧倒してしまいました。
はぁ。オークと戦う優夜様はかっこ良かったです。
おっと、話が逸れましたね。
オークから助けられた私は優夜様から二つの依頼を受けました。
依頼の内容は優夜様達を馬車に乗せて王都まで連れて行く事。そして二つ目が優夜様を王女様……エリスと会わせる事。
一つ目の依頼は当たり前です。優夜様は命の恩人なのですから。ですが、二つ目の依頼は少し厳しいです。公爵家令嬢でありエリスの幼馴染みである私ですら王族と会うのは容易ではありません。ですからおそらくは平民の位である優夜様が王族であるエリスと会うのは相当難しいのです。
しかし、ここで諦めてしまえば私は優夜様に何のお礼を出来なくなってしまいます。ですから私は粘りました。宰相や大臣など国の中枢に属する人物達には反対されましたが公爵家である私はそんな事では引き下がりません。ぎりぎりまで粘り遂に優夜様が謁見する許可を得たのです。
今日は優夜様に良い報告をする事が出来て良かったです。
リーナは自室で優夜が来るのを待っていると外がやけに騒がしい事に気付く。
何事かと窓から外を覗くと優夜様に門番が斬りかかろうとしているのが見えた。
リーナは急いで窓を開けると叫ぶ。
「今すぐに剣を下ろしなさい!」
◇
「お願いだからここを通してくれよ」
「駄目に決まっているだろう。この家はフェンリオ公爵家様の家だ。平民風情が誰の許可を得てそんな戯言を言っている」
「さっきから言ってるだろう。俺はリーナに来いって言われてきたんだ。だからここを通してくれって」
「平民如きがリーナ様の名前をを呼び捨てで呼ぶなど無礼も甚だしい。今ここで切り捨ててくれる!」
門番はそう言うと腰に提げている長剣を抜く。門番の剣の刀身は銀色に輝き傷一つ付いておらず、おそらく公爵家から渡されたものだと優夜は思う。
「はあ、面倒くさ。今日はただリーナに会いに来ただけなのに、なんでこうなったんだか」
まあ、家の前でうろうろしてたらそりゃ怪しまれるか。
「まだリーナ様を呼び捨てで呼ぶか。ここまでの狼藉公爵家様の門番として見捨ててはおけぬ。貴様はここで死ね!」
「仕方がないやるか。ティーネは少し離れてろよ」
「分かりました」
門番が剣を構え優夜も戦闘態勢に入った所で仲裁の声が聞こえた。
「今すぐに剣を下ろしなさい!」
「リーナ!」
「リーナ様」
門番はリーナの言葉を聞きすぐに剣を鞘にしまう。
ナイスタイミングだリーナ。あと少しで門番と戦う事になってたからな。面倒くさいことは出来るだけ避けたいんでね。
リーナは門番が剣をしまうのを見たところで移動しすぐに門の前に来た。
「これはどういう事ですか。門番さん?」
リーナが睨み付けながら門番に問うと門番はびくりと身体を震わせて答える。
「こ、これは門の前でうろうろとしている不審者がおりましたので捕らえようとしていました」
「この方は私の命の恩人です。優夜様はこの方に訳を言わなかったのですか?」
「言ったぞ。だけどそこの門番が聞かなかったんだ」
俺の言葉に門番の顔が青ざめていく。
「平民風情が、とか、貴様はここで死ね!とか言われたな」
少しからかってやろうと俺は更に追い打ちをかける。
すると門番の顔から生気が消えていき門番はその場に倒れ込む。
「門番さん」
明らかに怒っているリーナの声を聞き門番は先程まで倒れていたのにすぐに起き上がり背筋をピンと伸ばし硬直する。
………忙しいやつだな。
「な、なな、何でしょうかリーナ様」
門番は焦る様に言葉をつまづかせる。
「貴方は今日でクビね。後でお父様にお願いしておくわ」
「ひいぃ。それだけは勘弁を。今職を失ってしまうと困ります。ひと月、ひと月だけでも置いてはくれませんか」
「貴方の事情なんて私は知らない。貴方は私の命の恩人である優夜様を侮辱した。それだけで十分クビにできるわ」
えぇ。俺ってリーナの中でそんな優先度高いの。
でもな。今回は俺も悪いし助けてやるか。
「リーナ。クビはやめてやれ。今回は俺の方にも非がある。公爵家の家の前でうろうろしてたら不審者に間違えられるのは仕方がないだろ」
俺の言葉に門番が目を輝かせて俺の方を見る。
やめろ。おっさんの好意なんかいらんわ。
「でも……」
「でもも、くそもない。良いな?」
「優夜様がそう言うのなら」
リーナは門番の方へ振り返る。
「貴方を今回でクビにするのはやめとくわ。でも次は無いわよ」
リーナは門番に釘を刺す様に言う。
しかし、門番は注意されたのにもかかわらず涙を流し笑みを浮かべながら頷く。
「ありがとうございます」
「感謝なら優夜様にして。クビを取り消したのは優夜様なんだから」
リーナがそう言うと門番は俺の目の前へ来て深々と頭を下げて礼を言う。
「先程までの非礼を深くお詫びします。そして、私を救って頂きありがとうございます優夜殿」
「礼はいいさ。その代わり次はちゃんと門を通してくれよ?」
「はっ。この命に誓って必ず」
命にまでは誓わなくていいから。
【投稿予定】
3/10 フェンリオ家での一夜




