29.新しい剣が欲しい
俺達は一番近くにある武器屋に入る。
「いらっしゃい。今日は何をお求めで?」
この店の店主は40代くらいのおっさんだった。
まあ、武器屋の店主が女性っていう方が変だけどな。
「この剣より良い剣は置いてますか?」
俺は店主に魔剣を見せる。
「うーん。無いな」
店主は剣をじっと見つめた後首を横に振って言った。
「ではこれらの素材を使ってこの剣より良いは作れますか?」
俺はアークデーモンの魔石と神風龍の鱗と牙を見せた。
「こんな大きい魔石はうちでは扱えないよ」
店主は魔石を見るとそう言った。
なるほど。武器屋でも色々あるのか。
「まあ、最初はそんな事もあるだろう。次行こう次」
俺は店を出ると気を取り直して隣の店に入る。
〜5分後〜
「駄目でしたね」
『そうだな』
「次だ次!」
〜30分後〜
俺達は木を囲う様に作られたベンチで休んでいた。
「はあぁぁぁああ」
俺は深いため息をつく。
「これで8軒連続ですね」
『だな』
「こんなに無いものなのか?」
もうこの通りにある店は次で最後だ。
おかしくない?この街凄い鍛治師がいるんじゃないの?
「優夜様、気を落とさないでください。アークデーモンほどの魔石を扱うにはそれ相応のスキルが必要になります」
「スキル?」
「はい。低ランクのモンスターの魔石であればスキルが無くても扱えますが高ランクのモンスターとなると鍛治スキルが必要になります。さらにモンスターのランクが上がると鍛治上位スキルが必要になります」
「じゃあ鍛治上位のスキルを持ってる人はあまりいないのか」
「そうですね。多分この街に一人居るかもしれないし居ないかもしれません」
「なるほどな。それじゃあ仕方ないか」
『それに優夜。魔王はまだ動き出してはない。まだ時間には猶予がある。焦らずに探せばいい』
「確かにそうだな。じゃあ次の店行って駄目だったら宿泊まってまた明日探すか」
「はい」
『うむ』
俺は今日最後の店に入る。
「いらっしゃいませ」
「すみません。この剣より良い剣って置いてますか?」
店主はじっと剣を見つめると首を横に振る。
「無いですね」
「では、これらの素材を使ってこの剣より良い剣は作れますか?」
「無理ですね。私は鍛治スキルは持ってますがまだ上位ではありませんのでこんなに大きな魔石は扱えません」
「そうですか。ありがとうございました」
「ちょっと待ってください」
俺が店を出て行こうとしたところを店主に止められた。
「あなたは鍛治上位スキルを持っている人を探してるんでしょう。それならこの街に一人いますよ」
「ほんとですか?」
「ああ。その鍛治師は最近この街に来たのさ。元々王都で王族専用鍛治師としてやってたんだがその鍛治師が自分から辞めたんだってさ」
まじか。王族専用なら給金は多いだろう。何故辞めたんだろう。
「その人の名前は?」
「ザレスっていう鍛治師だよ」
「ありがとうございました」
「なんかあったらまた来な。少しは力になれる筈さ」
俺は店主に向かって頭を下げ、店を出る。
「どうでしたか?優夜様」
「駄目だったよ。けど」
「けど?」
「良い情報は手に入った」
「それは良かったですね」
ザレスか。覚えたぞ。明日は必ず見つけてみせる。
「ああ、でも探すのは明日にして今日は宿に泊まろう」
俺達は近くにある宿に泊まり夕食を食べてから床に就いた。
〜翌朝〜
「おはよ……う?」
俺が朝起きると俺の上にティーネがいた。
「おはようございます。優夜様」
「えっと、何をしてるんだティーネ?」
俺がそう言うとティーネは手を俺の股へと近づける。
「優夜様のアレが苦しそうだったので私が楽にしてあげようと」
「ちょっ、ティーネさん?」
なんかティーネのテンションがおかしい。昨日変なものでも飲んだのか?
そんな事を考えているとティーネがズボンを下ろそうとズボンに手を掛ける。
「待て待て待て!」
俺はズボンを下ろそうとするティーネを止める。
「ふふ、冗談ですよ冗談」
ティーネが元に戻った。
「はは、心臓に悪い冗談だな」
「……私はあのまま続けても良かったけど」
「ん?なんか言ったか」
「いえ、何も。では鍛治師を見つけに行きましょう」
「そうだな。おい、白起きろ。行くぞ」
俺のベッドで寝ている白を起こす。てか、さっきの状況でよく寝れてたな。
『んん?おお、もう朝か。もう少し肉を食べてたかったが仕方ない起きよう』
「どんな夢だよ、それ」
猫なら魚じゃないのか普通。まあ白は神猫だから良いのか。
宿を出た俺達は朝食を取った後昨日話を聞いた店に来た。
「おや、昨日のお客様ですね。どうしました?」
「そのザレスって人がどこにいるのか知ってたら教えて貰えませんか?」
「ザレスならこの街の東の通りにある『千撃』って店にいるよ」
「え?知ってるんですか?」
「実はザレスは俺の知り合いなんだよ。だからこの街に来た時に教えて貰ったのさ」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「どう致しまして」
俺達は店を出て東の通りに向かう。
こんなあっさり居場所が分かるなんて拍子抜けだな。
東の通りに着いた俺達は『千撃』を探す。
「千撃……千撃……っと、あったあった」
千撃、ほんとにあった。まあ、早く見つかるに越した事はない。
俺は店の中に入る。
「……………」
何か作業をしていたザレスさんは店の中に入った俺達を一瞥した後作業を続ける。
無愛想な人だななんて思いながらザレスさんの前に行く。
「あの、この店にはこの剣より良い剣は置いてますか?」
俺はザレスさんに魔剣を見せる。
ザレスさんは作業の手を止めて俺の魔剣を一瞥した後すぐに作業に戻る。
「無い」
「では、これらの素材を使ってこの剣より良い剣は作れますか?」
ザレスさんは俺の持っている魔石と神風龍の鱗と牙を見ると目を見開く。
「これは………。確かに俺のスキルならこれを扱えるが肝心の素が無いとな」
ザレスさんは作業していた手を止め、いや作業していたものを放り投げて話す。
「素?」
「お前さんが作れと言ってんのは魔練剣の事だろう」
「魔練剣?」
「お前さん。冒険者なのに魔練剣を知らないのか」
すみませんね、知らなくて。俺はまだ異世界に来て1ヶ月経ってないんだぞ。そんないきなり魔練剣とかいうワードを言われて分かるわけないだろ。
「はあぁぁ。いいか、魔練剣っていうのは簡単に言えば普通の剣より強い剣だ。攻撃力も耐久力も上がる。だが、魔練剣を作るには魔石がいる。魔練剣は素となる剣に魔石やモンスターの素材を合成させる事で作れるんだ」
「なるほど。それで素とは?」
「素は金属の事だ。まあ、お前さんの魔石だと金が限界だろうけどな」
「限界?」
「ああ、魔石の大きさによって合成できる金属の限度が変わるんだ。一番は白金の魔練剣だな。白金の魔練剣になるとお前さんの魔石より一回りでかくないと駄目だな」
「まじか……」
これより大きいってSSランク級以上って事だろ。やばいな。
「素が無いとはつまり……」
「ああ、この店には今金属が何も無い」
「まじか」
ここ、武器屋だろ。少しは置いとけよ。
「そこでだ。この店に金属を持って来てくれたら剣を作ってやるよ」
「金属くらい仕入れればいいでしょう」
「だるい」
「はあ?」
だるいってこいつ……。
まあ、でも剣の為だ。
「分かりました。やります」
「おお、そうか。お前さん名前は?」
「優夜です」
「優夜か。よろしくな」
俺はザレスさんと握手をする。
これは剣の為だ。やるしかない。
評価お願いします
2/14 30.金属探し




