26.龍三体討伐②
龍がいる場所から離れた平野で三つに分かれたチームは合流し野営をする事になった。
野営の準備はチーム毎にAチームはテントの組み立て。Bチームは薪の調達、火起こし。俺のいるCチームは食材の調達だ。
食材の調達は〈赤の魔導師〉が木のみ、魚を俺とティーネとレオナさんが肉を担当する事になった。で、肉担当の俺は平野から少し行くとある森でモンスターを探している訳だ。
「あんまりいないなあ」
俺は森の中一人で呟く。この森はモンスターが少ないぞ。いてもウサギみたいな小さい奴だし。今俺が狩ったのはウサギ5匹だ。普通の袋に入れると荷物になって面倒だからアイテムボックス付与のカバンに入れている。フェザードさんから貰ったカバンがどのくらい入るのか旅を出た後調べてみたところ、数の限度は無く30キロまでなら入ることが分かった。つまり結構便利って事だ。今カバンの中には超級の回復瓶30本、超級の魔力回復瓶30本、ウサギ5匹が入ってるから後ウサギなら40匹くらいなら入る。
「まあ、やり過ぎでも便利なのは良いな」
フェザードさんにはほんと感謝だな。
「っと、もう少しだけ狩りして戻るか」
俺はその後ウサギを8匹、イノシシのモンスター1匹を狩ってティーネ達とテントに戻った。
狩りはティーネがウサギ3匹、イノシシ2匹、レオナさんがウサギ5匹、イノシシ4匹で合計ウサギ16匹、イノシシ7匹だ。16人で食べるなら十分だろう。
この日料理はティーネ、レオナさんなど女性が作り食べた。……レオナさん、雑なのに料理出来るんだ。
翌日。ついに龍を討伐しに行く。
「今回の討伐はチーム毎に行う。今からチームのリーダーの指揮に従い行動しろ」
レオナさんの一言によりチームリーダーはメンバーを集めて準備を始める。
「よし、私達も準備をするぞ」
レオナさんの指示により俺達も他のチームに少し遅れて準備を始める。
準備は回復アイテムと閃光玉、煙玉だ。武器は討伐チームが魔導師しかいないため必要が無い。回復アイテムは一人上級の回復瓶5本、上級の魔力回復瓶5本で閃光玉は1人2個、煙玉は1人2個、これらを準備する。
準備を始めること15分。Cチームは神風龍討伐に向かう。
〈メゾン都市外平野〉
「いたぞ。あいつが神風龍だ」
レオナさんが指差す方向には15メートルくらいある高さそして見た者を畏怖させる顔にあのミノタウロスをまるごと食べられそうな口に牙の龍がいた。
「………あれが神風龍」
俺は予想を遥かに超える龍の大きさにそのオーラにびびっていた。
「なんだ優夜。怖気付いたか?」
レオナさんが俺の心中を察した様に言ってきた。
「少し驚いただけですよ。これを倒さなければ魔王なんて倒せない」
そうだ。魔王は神風龍なんかよりも恐ろしく強い筈だ。こんな所で止まってられない。
「魔王か。そうだな、魔王を倒すなら神風龍なんて楽に倒せないとな」
レオナさんは俺が勇者という事をフェザードさんから聞いていたのだろう。俺の魔王を倒すと言う発言に対し驚く事は無くむしろ応援をしている様だった。
俺は聖剣と魔剣を取り出す。
『鑑定(強)発動』
種族 龍(上位)
レベル 300
スキル 威圧(相手を怯ませる。レベルが低い者なら気絶する) 神風斬(風の刃を放つ。魔力を込めると威力が上がる) 神風覚醒(自身の力を覚醒させ俊敏と攻撃力を1分間2倍にする)
体力 25000/25000
攻撃力 35000
防御力 25000
俊敏 45000
魔力 30000/30000
弱点属性 火
強いな。流石は龍ってとこか。俊敏に関しては化け物だな。気を引き締めていくぞ。
『身体能力強化(レベル3)発動』
「アレスあとは頼んだ」
アレスは俺の言葉に頷く。
『縮地発動』
「くらえ!」
俺は聖剣と魔剣を振りかざす瞬間昨日の狩りで手に入れたスキルを使う。
『斬波発動』
斬波。魔力を消費する事で斬撃の威力を高くし波にして放つ。
聖剣と魔剣の合わせて二回の斬波を浴びた神風龍は雄叫びを上げる。
「グルルアアアア!」
神風龍の上げた雄叫びには魔力が含まれていて俺は怯み身動きが取れなくなる。
「あ、やべ」
身動きがとれる様になった頃にはもう手遅れ、俺は神風龍の尻尾に殴り飛ばされていた。
「ぐっ!」
俺はアレス達の近くの地面にぶつかり止まる。
「優夜様大丈夫ですか!?」
「優夜大丈夫か!?」
飛ばされた俺を見てアレスとティーネが呪文を唱える手を止め近付こうとする。
「来るな!そのまま続けろ!」
俺の言葉にティーネとアレスは心配そうな顔をしながらも呪文を唱え続ける。
くっそ。いてー。俺はカバンから回復瓶を2本出し飲み干す。
上級の回復瓶は初級や中級とは違い回復量が上がるだけで無く独特の苦味も消えるので飲み易くなる。
さて、龍の体力はどのくらい減ったかな。
『鑑定(強)発動』
体力 23000/25000
全く効いてないって訳じゃ無いな。よし、いける。
「「「「「爆炎弾!」」」」」
アレス達が魔法を放つ。爆炎弾は火属性魔法上位の魔法だ。
放たれた魔法は龍の頭に直撃する。
「グルルルル!」
結構効いてた様だ。龍は俺達を威圧する様に睨んでくる。
『全く、先程の攻撃で辞めておけば許したものを。これ以上の狼藉は許せんぞ』
龍はそう言い翼を広げて高く飛び上がると翼を動かし風の刃を放ってきた。
「うおっ!」
俺は間一髪で躱す。そして刃の通った後の地面は3メートルえぐられていた。
今のが神風斬。一発でこんなに威力があるのかよ。
『鑑定(強)』
体力 18000/25000
爆炎弾5発で5000減るのか。俺の斬波は魔力回復瓶があるから10回以上は使える。
「みんな、あと何発爆炎弾を打てる?」
「僕のパーティは合わせて10発だ」
「私は4発です」
「私も4発だ」
魔力回復瓶で回復したのも合わせると100発以上は打てる。体力を余裕で削り切れるな。
「俺が龍を牽制するので残りの爆炎弾を全て打ってください」
「このチームの指揮官は私だぞ」
「お願いします、レオナさん」
「その作戦なら龍を討伐出来るのか?」
「はい」
「……分かった。優夜を信じよう」
レオナさんは少し考えたあと決断した。
「ありがとうございます」
俺は龍に首を向き直す。
龍は呪文を唱え始めたレオナさん達を標的にした様だ。
「お前の相手は俺だ!」
俺は縮地を使い龍の頭の前に移動すると龍の眼を斬る。
「グアアアアア!」
龍の目から少量の血が流れるが少しすると眼の傷が消える。
治癒能力も高いのかよ。まあ良い、あいつの標的は俺になった筈だ。
龍は傷が治るとレオナさん達に向かって歩く。
「くそっ。威力が低いと相手にされないか」
龍は人並みの知能を持つ。ただ攻撃するだけじゃあいつの注意は引けない。
なら、
「斬波!」
俺は斬波を龍の両眼に放つ。龍の両眼から大量の血が流れるがすぐに回復する。
「グルアアアア!」
龍の顔がこっちに向く。
「そろそろ決着をつけようか」
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