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22.金を稼ぎます



旅の準備を整え終え、明日の出発までゆっくりしていようと考えていた時、俺は大事な事を忘れていた。


「金ねぇじゃん!」

そう、金が無いのである。今日の宿代はあるが、それに使えば本当に金が底を尽きる。

…………いや、普通にヤバくね?

という訳で今日は金稼ぎに行こう。


「ティーネ。起きてるか」

俺は隣で寝ているティーネに問いかけた。

いや、起きてる訳ないじゃん。熟睡してるのに。わざわざ起こす事もないな。可哀想だし。フェザードさんにも頼れないよな。貸し作ってるし。しゃあない俺一人で金を稼いでくるか。


「何でしょうか優夜様」


「うおっ!」


「いきなり叫んでどうしました?」


「いや、何でもない。今まで寝てたのにいきなり起きたから驚いただけだ」


「すみません。驚かせてしまい」


「いいさ。それよりも今日は金稼ぎに行くぞ」


「優夜様の行く所ならたとえ火の中水の中何処へでもついていきます」


「それ例えだよな?本当にしないよな」


「……………」


「その沈黙は何だ?まさか本当に考えてた訳じゃないよな?」


「さ、さあ早く冒険者ギルドに行きましょう優夜様。時間は有限です」

ティーネはそのまま部屋を出て行ってしまった。

上手く誤魔化された。諦めないからな、ティーネ。お前には危険な事はさせないぞ。


俺はティーネの跡についていき冒険者ギルドに着いた。


「えーと、俺の受けれるランクで金が高いので今日中に終わらせられる依頼は……………あった」

俺は目の前のボードから一枚の依頼書を取った。


【白金の丘の調査】

【条件】ランクB以上

【内容】白金の丘の調査。イレギュラー個体を見つけ次第討伐。

【報酬】調査成功で大銀貨1枚。イレギュラー個体を討伐成功で大金貨1枚追加。


おお〜。なかなか良いんじゃないか。依頼主がいないという事はギルドからか。

この依頼はすぐに終わらせられるし報酬は最大で大金貨1枚大銀貨1枚だ。

この世界の通貨は銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨の七つの種類がある。

銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨5枚で大銀貨1枚、大銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚、大金貨10枚で白金貨1枚という換算だ。

ちなみに、俺の今泊まっている宿は食事無しで一泊銅貨2枚だ。これが食事付きになると5枚とか高いとこだと銀貨1枚だ。そして、この世界の平民が贅沢をしなければ大金貨5枚あれば働かなくとも一生暮らしていける。

つまり、この依頼は相当おいしい依頼だ。まあ、おいしい依頼には必ず危険は付き物だが、俺とティーネならいけるはずだ。ギルドではBランクだけど実質Sだし。

という訳で俺はこの依頼を受ける事にした。



《白金の丘》


「着いた。ここ…………。遠くね!?」


「そうですね。私も少し疲れました」


「そうだな、少し休もう。くそっ誤算だ。まさか移動に2時間もかかるなんて。依頼をやれる時間は4時間くらいか」

それから俺とティーネは休んだあと丘の調査を開始した。

丘はガッハから西に進んだ場所にあり、広さは大体東京ドーム2個分くらいだ。前世の俺ならやる気を失っていただろうが今の俺は違う。速攻で終わらせてやる。

と、意気込んでいたら、


『おや、優夜ではないか』


「え?」

この声は………。

俺は声の聞こえた方を向く。すると白がいた。


「白!」


『久しぶりだな』


「ああ、久しぶりだなってなんでここにいるんだ?」


『あれから我はここに住むことにしたのだ』

ん?調査の依頼って少し前からだよな。じゃあこの依頼って…………。


「なあ、この丘にお前以外で珍しい奴はいたか?」


『いたな』


「いたの!?」


『確かデーモンだったな。冒険者のランクではAランク級だな』

まじか、てっきり白がイレギュラー個体なのかと思ってた。

ま、いいか。ついでに白にもあの事を言っておこう。


「白。俺とティーネは明日から旅に出るんだ」


『何?詳しく聞かせろ』

俺は白に旅に出る事を説明した。


『なぬ!?優夜は魔王を討伐しに行くのか』


「ああ、だから少しの間お別れだ」


『ぬぅ〜。嫌だ』


「は?」


『だから我も連れて行けと言っておるのだ』

いや、そんな事言ってなかったよな。


「はあー。別についてきてもいい事ないぞ?」


『良いのだ』


「分かった。じゃあ一緒に行こう」


『うむ!』

白の耳がぴくぴく動き、尻尾がゆらゆら揺れた。 …………喜んでいるのだろうか?まあ、喜んでるんだったら良いか。


「じゃあ3人でデーモンを討伐しに行くぞ」

「はい」

『うむ』


デーモンは丘を進んだ最深部にいた。

デーモンの見た目は悪魔そのものだ。禍々しい姿に黒い羽に黒い眼。その姿は見た者を畏怖させる姿だ。


「おやおや、こんな所に人間が何の用ですか?」


「なっ、喋った?」


『ランクの高い魔物は自我を持つようになる。だが、デーモンは自我を持つ魔物ではない。丘にいる魔物が激減している事といい、まさか………』


「ふむ、察しのいい猫ですね。私は確かにデーモンでした。ですが、この丘にいる魔物を殺す事でアークデーモンに進化したんですよ」


『やはりか。アークデーモンは冒険者ギルドでのランクはS級中位だ。強いぞ、優夜』


「白、任せろ。こいつは俺が倒す」


『油断するなよ』


「分かってる」


「おやおや、人間ごときの下等な生物がこの私を倒せるとでも」


「ああ、倒せるさ。俺とティーネならな」

評価お願いします。


【投稿予定】

1/24 23.アークデーモン討伐

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