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20.十魔族襲撃



 燃え盛る炎を見て俺は考えていた。

 これは一体どうゆう事だ?俺とティーネがルルさんの家に行くまでは何も無かったはずだ。そうすると、俺がルルさんと話してる10分間に誰かが、燃やしたって事になる。


「おいおい、まだ残ってるのがいるぞ」

「ああ、本当ですね」

突然声が聞こえた。声のする方を見ると空に魔族が二体浮いていた。


「貴方達は何者ですか?」

ルルさんの言葉には少し怒気が含まれているように感じられた。まあ、この魔族は一番怪しいしな。


「あん?精霊風情が舐めた口を利くな」

こいつ、最初に会ったサザンガに性格似てんな。


「まあまあ、どうせ後で殺すんですから名前くらいは良いじゃないですか」

こいつは大人しいが、殺すだと?どうゆう事だ。


「それもそうだな。精霊よ。よく覚えとけ。俺は、四天王【紫炎】エンガ様直属十魔族【絶望】ガイオスだ」

「私は【怨】マナメルです。以後お見知り置きを」

じゃあ、こいつらはエンガって奴の手下なのか。


「おい、お前ら、さっき殺すとか言ってたがどうゆう意味だ?」


「ああ?言葉の意味も分からないのか"ゴミ"。お前達は殺されるんだよ。さっきの精霊みたいにな」

うわ、こいつもゴミ言ってくるのかよ。それマジでやめてほしいんだよな。ティーネがキレるから。

だけどその前にこいつら、精霊みたいにって言ってたよな。まさか、嘘だろ?


「おい、まさかお前ら里にいた精霊を殺したのか?」


「当たり前だろう。のこのこと俺達の的にされてるんだ。当ててやらない訳にはいかないだろう」

あ、これ駄目だ。


「ティーネ、ちょっと行ってくる」

魔族に向けて呪文を唱えてるティーネが手を止める。


「いえ、優夜様の手を煩わせる訳には――」


「ティーネ、言ったはずだ。魔族に関しては俺が一番関係してるって、だから行ってくる。ちょっと自分を抑えきれないんだ」


「……分かりました。無事を祈ります」


「ああ、任せろ」

そう言い残し、俺は魔族達に近づく。俺は本当に駄目だなぁ。ティーネだって仲間を殺されて俺と同じくらい、いや、それ以上の怒りがあるはずなのに俺の命令に従って下がった。ガキだな、俺。ティーネ、ごめん。やらせてあげられなくて。その代わり、必ず殺すから。


「ねえ、姉さん。良いの?優夜くん行っちゃったよ?」

隣で優夜様が魔族達に向かっているのを見て慌てるルル。


「大丈夫ですよ。ルル。優夜様が任せろと言ったのですから」

違う。本当は心配だ。主であり、思い人でもある優夜様に何かあったと思うと身が引き裂かれる思いだ。だけど優夜様は自分に嘘をつかない人だ。そんな人が任せろと言ったのだから私は信じて待っていれば良いのだ。

でも、私も戦いたかった。目の前に仲間を殺し、自分の復讐の対象でもある魔族がそれも十魔族という大物がいるのだ。今すぐにその首を狩りたかった。今にも理性が飛びそうだ。だが、優夜様はまだ心が幼い。今、優夜様は理性を保ててない。優夜様は私が見守る必要があるのだ。なら私までが戦いに参加しては元も子もないではないか。


「無事に帰って来てくださいね。優夜様」


今俺は魔族達の目の前にいる。ああ、くそ。視界に入るだけでイラッとくる。さっさと終わらせよう。


「おい、"ゴミ"がのこのこと殺されに来たぞ。さっきの精霊は面白かったな。家が燃えただけで慌てて逃げ回って。"ゴミ"安心しろ。すぐに殺してやるから」

こいつが殺したのか。ティーネの仲間を、沢山の命を。そう考えた瞬間、体の中から怒りがこみ上げてくる。


「お前は必ず殺す」

ぼそっと呟く。


「あん?なんか言った――」

ガイオスは問いを最後まで言えずに優夜に殴られる。


「ぐはっ!」

ガイオスは反応できずに吹っ飛ぶ。


「そんな馬鹿な……!」

ガイオスが反応できないのも無理はない。今の優夜はスキルを全開で発動している。そんな優夜のパンチを十魔族が耐えられる訳が無い。


「次いくぞ。頼むから耐えてくれよ。俺の怒りはこんなんじゃ収まらない」


「十魔族を舐めるな!」

ガイオスが反撃に出る。


「遅い。攻撃の全てが止まっているように見えるぞ」

そう言い、二発目のパンチを食らわせる。


「ぐはっ!」

ガイオスがまた、吹っ飛ぶ。

「何故だ!?何故当たらない!?」


「あ?そんなの俺がお前より強いからに決まってるだろう」


「ふざけるな。この俺を舐めるのも良い加減にしろ!!」


「あーめんどくせー終わりにするか」

俺は魔剣生成で魔剣を二本生成する。(ちなみに聖剣は勇者とバレない為に使ってない)


「俺を怒らせた事を後悔して死ね!火属性魔法《紫炎の雨》」

ガイオスが呪文を唱えると空から炎が降ってくる。

当たればひとたまりもないだろう。


「まあ、当たればの話だがな。神聖魔法《神の怒り》」

俺が呪文を唱えると空から降って来た炎が全て消える。


「なっ!?」


「悔やむなら自分を悔やめ」

俺はガイオスの目の前まで移動する。


「くそっ」

ガイオスは優夜に背を向け、逃げようとする。


「は?逃がすわけないだろ」

俺は背を向けたガイオスに魔剣振りかざす。


ザシュ


「グワアァアアア!!」

斬撃を食らったガイオスは断末魔の叫びを上げて倒れた。


「なに!?ガイオスが倒れた………だと?」


「次はお前だ」


「ガイオスが死に計画も失敗しました。もうここにいる理由はありません。失礼させて貰います」

マナメルはそう言い残し、闇の中に消えていった。


「くそっ逃げられたか」

その時だった。俺の体にも限界が来たらしく、俺はそのまま意識を失った。



目を覚ますと俺はベッドの上にいた。


「ここは………」

その声に反応して目の前にいたティーネが俺の方を向く。


「目が覚めたんですね。良かったです。ここはルルの家ですよ」


「ティーネが俺を運んで来てくれたのか?」


「はい。体は大丈夫ですか?」


「ああ、魔力切れで気を失ってただけだ」


「なら良かったです」


「ありがとな」


「え?」


「俺の心配をしてくれた事。そして、俺の言いつけを守ってくれた事」


「そんな、当たり前の事をしただけです。お礼などいりませんよ」


「それでも、ありがとな」


「………はい」

会話に区切りがついたところでルルさんがやってきた。


「優夜くん起きたのね。体は大丈夫?」


「ああ、大丈夫だ」


「それは良かった。それで、これからどうするの?」


「そうだな、まずは街に戻る事にする」


「うん。それからは考えてるの?」


「いや、まだ考えてないな。最近休んで無いから少しゆっくりしたいかな」


「うん。そうね。それが良いわ」


「じゃあ行くか。ティーネ」

俺はベッドから降りる。


「はい」


「ああ、そうだ。優夜くん。姉さんをよろしくね」

姉さん?


「ちょっとルル。何言ってるの」


「別に良いじゃない。隠す事でも無いし」

つまりルルさんはティーネの妹って事か?

……………え!?普通サイズのティーネが姉でXLサイズのルルさんが妹なの!?


「痛い痛い痛い痛い!」

ティーネにつねられた。本日二度目です。


「なんでつねるんだよ」


「知りません。優夜様が悪いんです」

えぇ、ルルさんも苦笑いしてるし、ほんとなんで?


そんなこんなで締まらないままルルさんと別れた俺とティーネは街を目指して歩いていた。

そういえばなんで十魔族が精霊の里にいたんだ?マナメルとかいう魔族が計画とか言ってたよな。まさかティーネの事か?

まあ、良いか。とりあえず今日は休もう。これからの事は明日考えれば良いや。

今回は少し長くなりました。


【投稿予定】

1/18 21.別れ


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