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異世界転生したらまったり生活出来ますか?〜女神付きで異世界に転生したらチートできました〜  作者: パグゾー
四章 異世界転生したらまったり生活出来ますか?
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105.前勇者激突



「全員戦闘準備!」

 グレンの声にティーネ達は各々の武器を手に取り構える。更にエリス達は精霊妃を召喚する。


「こいつは敵だ!優夜の身体だろうと手加減はするな!一瞬でも躊躇えば死ぬぞ!」


「ええ、彼は私の主を愚弄した。それは絶対に許せません」


「こいつが優夜を乗っ取れる時間には限りがあるはずだ!それまで全力で食い止めるぞ。一歩も外に出させるな!」


「ふむ。成る程。君達は私を……魔王とほぼ等しいステータスを持つ私を一時間もの間止められるとでも思っているのか。はあ……、失望したよ。実力の差が分からないほどとはな。人数こそいれど実力が無ければただの塵の集団だ。私に遊んでいる時間は無い。早々に退場願おうか」

 優夜を乗っ取った前勇者は溜息を吐くとグレン達の視界から消える。


「ちっ!」

 前勇者がまた現れると、グレンと剣戟をしている光景がティーネ達の目に入った。


「……訂正しよう。実力はあるようだ。だが、私にとっては雑魚でしかない。やはり君達では私を足止めする事など不可能だ」

 前勇者は話し終えるとグレンの剣を聖剣で吹き飛ばす。


「ぐあっ!」


「グレン兄さん!」

 グレンの剣が弾き飛ばされると同時にミルが飛び込み、今度はミルと前勇者の剣戟が行われる。


「所詮雑魚の集まりに過ぎないのだ。……だが何故だ!何故私の身体はこいつらを殺せない!?」

 前勇者がミルの首を狙って刺突を繰り出すと、その刺突は急激に威力を落としミルに弾かれる。


「優夜様!戻ってきて下さい!優夜様はこれから魔王を殺そうとしています。魔王だけでは有りません、サファイアもです!優夜様はそれを望まない筈です!だから、早く戻ってきて下さい!」

 ティーネの言葉に優夜の身体は一瞬止まり、ミルの刺突を腕に受ける。


「ぐっ!くそっ、何故だ!何故精霊妃の支配下で意識を保てている!?」


「精霊妃の支配下……まさか先程の少女は……」


「あれは私が勇者だった時に契約した精霊妃の意識体だ」


「やはり……!ですが精霊が意識のみで存在できる筈が有りません。何故……?」

 前勇者はティーネの疑問に応える事なく、負傷した右腕から左腕に剣を持ち替えると、またミル、グレンと剣戟を始める。


「……いえ。ここはダンジョン。ダンジョンについては余り詳しく無いですが、恐らく精霊をダンジョンに憑依させる事で、意識体だけでの存在を可能としているのでは……?」


「ほう……知恵の有る者もいるのだな。正解だ。今世の精霊妃よ。だがそれが分かった所で何になる?」

 前勇者は聖剣でグレンとミルを吹き飛ばす。


「ぐっ!」

「あっ!」


「遊びに付き合うのも良い加減飽きた。そろそろ終わらせるぞ」

 前勇者はグレンに向けて剣を振り上げる。


「させません!」

 グレンに向けて振り下ろされた剣はグレンに当たる事はなく、エリスの長剣によって止められた。

 しかし、エリスの力では前勇者の聖剣を止められずグレン達と同じように弾かれてしまう。


「精霊魔法。『水霊の制裁』」


「!」

 ティーネが魔法を撃つと前勇者は咄嗟にバックステップを踏み躱す。


「いえいえ。貴方が丁寧に教えてくれたお陰で優夜様を救う方法が分かりました」


「何……?」

 前勇者の眉がピクリと動く。


「今優夜様の中に居るのは貴方の記憶とステータスを持った精霊妃。ならその精霊妃を優夜様から追い出せば済む話です」


「ほう……。だが仮にも精霊妃だ。そこらの精霊では私を勇者から追い出すなど出来ぬぞ?」


「そんな事は知っています。だから、もう一つの方法を取ります」


「もう一つだと?」


「ええ。ダンジョンには必ずコアがある。コアさえ壊してしまえばダンジョンは存在する事が出来なくなる。そして優夜様の中に居る精霊妃はこのダンジョンに憑依している。では、その憑依先を失った精霊妃はどうなるでしょうか?」


「憑依していない場合、意識体のみでの存在は不可能になる……」


「はい、その通りです。ではリンカさん、レフィアさん付いて来てくれますか?」


「僕は大丈夫。メル頑張ってね」

「はい。リンカが戻るまでの間耐えてみせます」


「私も大丈夫です。ハル様すみません。私、行ってきます」

「よいよい。それよりも生きている事が大事だ」

「はい!」


「では行きましょう」


「何をぶつぶつと……その様な事、私がさせる訳が無かろう」


「ええ、知ってますよ」

 前勇者がティーネの前に一瞬で移動し、剣を振り下ろす。


「手応えが全く無い……」

 しかし、前勇者の斬ったティーネは斬られた後、水になりダンジョンの床を濡らす。


「私は今本気で怒ってます。これ以上怒らせないでくださいね」

 ティーネはそう言い残すと、ダンジョンの壁に向かって魔法を撃つ。


「やはり。精霊の気配はここからですね。リンカさん、レフィアさん行きましょう」


「させる訳が無いと――」


「おい。何余所見してんだ。お前の相手は俺達だろう」

 グレンは剣で前勇者を斬り飛ばす。

 その隙にティーネ達はダンジョンの奥に進んでいった。


「………ああ。残念だが先程奥に進んでいった彼女達ではコアは破壊出来ない。何故ならこのダンジョンのコアは――」

 血が流れる腹を押さえながら立った前勇者は、話し始めると途中で言葉を区切り、横に飛ぶ。すると、その数瞬後、前勇者の立っていた場所に漆黒の球体が現れる。


「おいグレン。これは一体どういう状況だ」

 魔法を放った主は広場の入り口からグレンに問いながら歩いてくる。


「「エリーさん!」」

「ギルドマスター!」



 グレン達と別れたティーネ達はダンジョンのコアの目の前まで来ていた。

「これは……一体……。何故ここに()()()()居るのですか!?」

 ティーネ達が目にしたのは、コアの中に裸体で目を閉じ、座る様に丸まっている優夜の姿だった。

【投稿予定】

11/24 106.優夜解放

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