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98.人魔戦争、終結



 翌日。

 魔王とグランドギルドマスターと優夜達はエリーの転移を使い王城まで来ていた。


「あれ?エリーさんの転移って王都に直接来て良いの?」


「……お主は考えてから言うようにしろ。今回は特別じゃ。普通に行ったら魔王なんて門の衛兵に止められるし、グランドギルドマスターがおるからそれは無いとしても、王都の民達が混乱するだろう」

 エリーは呆れたため息を吐きながら言う。


「ああ、そうか」

 確かによく考えたらそうだわ。いつもすみませんエリーさん。


「優夜様。エリーさんには迷惑を掛けてるんですからこれ以上困らせないで下さい」


「はい……。ほんとすみません……」

 ティーネにも怒られた……。よし、これからはちゃんと考えてから行動しよう。


「勇者達よ。王の間に着いたぞ。ここからは雑談は控え、陛下には失礼の無いようにしてくれ」


「クロード様。その必要はありませんよ。優夜様は既にお父様とは知り合っております。それに、お父様自身が軽く接するように言っているのです」

 あれ、そうだっけ?んー、まあ敬語とかあんま得意じゃないし使わないで済むならそれが一番なんだけど。


「そ、そうですか。では勇者以外は出過ぎた口は慎むように」


「グラマスよ。そもそもそんな行為が出来るのは優夜だけじゃから安心せい」

 エリーさん、クロードさんのグラマスって呼んでる。なんか良いなその響き。俺も今度呼んでみよっかな。……いや、やっぱ怖いからやめよ。


「む、それもそうだな」

 クロードは納得したように頷くと巨大な扉をノックする。


「シュネルガ―公爵家現当主クロードが参りました。謁見の許可を頂きたく存じます」


「クロードか。良いぞ、入れ」

 クロードは国王の許可を聞くと重そうな扉を開く。

 そういや王様と会うのも久しぶりだな。……となるとあのメンヘ……おっと、エリスの固執してた王妃殿下も居るのか……。ちょっと憂鬱になってきた。


「優夜様行きますよ」


「ああ、今行く」

 クロードとエリーに続き魔王と優夜達も王の間に入っていく。


「久しいなクロードよ。して、今日はどのような用件で……ん?そこにおるのは優夜にエリスではないか!それにその隣におるのは…まさか、魔王か……!?」

 国王はクロードを見た後に優夜達を見て驚き、最後に魔王を見て腰を抜かした。


「はい。急用でして、前日の連絡無しに来た事お許しください」


「ふむ……魔王がここに居るという事は、まさか戦争はもう終わったのか?」


「はい。我々人間……正確には王国民は魔族と協力すると昨日私と魔王で決めました。陛下のお気持ち無しに決断した事、どうかお許しください」

 クロードは膝を床につき頭を下げる。


「そんな急に……ごほん!良い、顔を上げよ。それで、魔王よ。其方はこの協力にどう思っている?」


「私は、魔族を傷つけぬ限り共に戦う。つまりこちらは戦力を王国に提供し、王国は魔族の安全、そして衣食住の充実を提供して欲しい」


「ふむ。なんじゃそんな事か。了解した。シュラル王国国王ゼファス・フォン・シュラルの名において誓おう。王国は魔族に衣食住と身の安全を保証する!」


「……ありがとう、国王よ。では私も誓おう。王国に危機が訪れた時、魔族は全面的に王国に協力する」

 魔王が言い終わると国王は玉座から降りて魔王と握手をした。


「よろしく頼むぞ、魔王よ」

「こちらこそ頼む。ありがとう国王よ」

 無事に終わらせられたな、てか、王様すげえな。何も知らされてないでこんな急展開に対応できんだろ。国王ってだけはあるな。


「クロード。お主の用はこれで終わりか?なら、儂は優夜達と話をしたい。クロードは魔王とエリーを連れて別室で待っておれ」


「御意」

 クロードは頭を下げると王の間から出ていった。


「……これでゆっくりと話が出来るな、優夜、エリスに仲間の方々。まずは知らない顔の者が居るからな。その者達の紹介からしてくれるか?」



 王城、王妃専用の寝室。


「それは真ですか!?ザグレス!」


「はい。先程複数の人が王の間に入って行くのを見ました。そして、その中にはエリス王女殿下と勇者様の姿もありました」

 王妃は扉越しにザグレスの声を聞くと、ベッドから飛び起き、すぐさま着替えを済ますとまだ髪も整えぬままに部屋を出ていく。


「エリス。愛しのエリス。やっと、……やっと帰って来てくれたのね!」

 広い王城を走る王妃の姿は誰がどう見ても王族の優雅さは感じ取れなかった。



「久しぶりだな、王様。…っと、それで紹介だよな。ティーネやエリスは知ってて、それで多分グレンとミルも分かるよな?」


「ああ、勿論だ。王がこの国の貴族達を束ねてくれているディクフォード家を忘れる訳が無かろう」


「じゃあ、その隣からだな。まず、赤髪の子がリンカだ。そして、その隣に居るのはレフィアとその精霊妃のハルだ」

 名前を挙げられた者はペコリと頭を下げる。


「ふむ、その者達の名は分かったが、優夜の隣に居る猫と狼はなんだ?」

 あっ、そういや前来た時は白置いてたから王様は会ってないんだっけ。


「こいつらは俺のペット……いや俺と契約してる神獣だ。猫の方が白。狼はルウだ」


『そうだ。単なる猫と間違えないで貰いたい』

「ワン!」


「なんと!神獣様であったか。それに白様の方は話す事も可能なのか」


「ルウは話す事は出来ないけどちゃんと人の言葉は理解するぞ」


「そうか……。それは大変失礼しました。お許し下さい神獣様」

 おおぉ。王様が猫と狼に頭を下げるって、これは珍しい物を見たな。ナイスだ白、ルウ。


『良い。別に我は怒ってなどおらん』

「ワウ!」


「おお、なんと慈悲深い……。ありがとうございます」

 国王は頭を上げ、玉座にもう一度座るとまた続ける。


「紹介はこれで以上だな。では、あの日から何があったのか話して貰えるか?」

 国王の言葉に優夜が口を開こうとした次の瞬間、大きな音を立てて扉が開かれる。


「エリスッ!!」

 ……あ。詰んだ。

【投稿予定】

10/24 99.優夜の天敵現る

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