チートキャラは熊さんでした。
さてさて次は魔法だな?
巻きでいこー。とりあえず今は確認だけしよう。一つ一つツッコんでると僕のメンタルが保たない。
僕を誰だと思ってるんだ?チキンさんだぞ。
【オラわくわくすっぞ】な精神状態でも地がビビりな男の子だからね。
漫画の主人公みたいに心臓に毛なんか生えちゃいない。
もう既に色々キャパオーバーなのさ。
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《魔法》
・魔力を消費して発動する能力。
・魔力の消費量は魔法の種類やランク、魔法の規模によって異なる。
・魔法の発動には手順があり、魔法を使用するための魔力を練り、魔法の発動対象を【設定】し【発動】と唱えることで発動する。
・魔法レベルは、その魔法を使うことで魔法経験値を獲得することができ、一定数経験値が貯まるとレベルが上がる。
・魔法には【オール】【ジョブ】【ユニーク】の3つのランクがあり、それぞれで魔法レベルの上限が異なる。
・【オール】は全ての天職で習得できる魔法。魔法レベルの上限は5
・【ジョブ】は天職の系統によって使えるものが違う魔法。魔法レベルの上限は7
・【ユニーク】はその天職でしか使うことができない魔法。魔法レベルの上限は10
・魔法には【火】【水】【地】【風】【無】の5属性がある。
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【ユニーク】物攻強化Lv.1【無】
・MP15
・物攻に10%の補正
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】魔攻強化Lv.1【無】
・MP15
・魔攻に10%の補正
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】物防強化Lv.1【無】
・MP15
・物防に10%の補正
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】魔防強化Lv.1【無】
・MP15
・魔防に10%の補正
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】俊敏強化Lv.1【無】
・MP15
・俊敏値に10%の補正
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】属性付与Lv.1【火】
・MP15
・火属性ダメージ20%カット
・体温低下緩和
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】属性付与Lv.1【水】
・MP15
・水属性ダメージ20%カット
・体温上昇緩和
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】属性付与Lv.1【風】
・MP15
・風属性ダメージ20%カット
・遠距離攻撃スキルの硬直時間5%カット
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】属性付与Lv.1【地】
・MP15
・地属性ダメージ20%カット
・近接攻撃スキルの硬直時間5%カット
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】毒耐性付与Lv.1【無】
・MP10
・毒によるHPの減少量と速度を30%緩和
・効果持続時間1時間
・効果範囲:1人
【ユニーク】気絶耐性付与Lv.1【無】
・MP10
・気絶耐性+
・効果持続時間1時間
・効果範囲1人
【オール】生活魔法Lv.1【無】
・MP3
・汚れを落とす
・効果範囲:半径1m
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なるほど。
魔法はスキルに比べて効果は低いけれど、汎用性が高く、MPは消費するものの発動後の硬直や再使用時間が無い。と。
…………ん?あれ、ちょっと待ってこれ、僕もしかして
攻 撃 性 ス キ ル・魔 法 と も に 習 得 な し ?
………………ま、まぁこれから習得する可能あるし?まだまだ伸び盛りだし?そもそも戦う意思なんて無いし?べ、別に漫画の主人公みたいに派手な魔法撃ってみたかったとか思って無いんだからね!!
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「確認終わった?」
ステータスを閉じ両手で顔を覆い肩を落としていると、背を向けていたヴィーさんがこちらに向き尋ねてきた。集中していたから気づかなかったが、日もそこそこ傾いてきている。
「……はい。」
「どうしたのよ?暗い顔しちゃって。あんまり良いスキルや魔法じゃなかったのかしら?
大丈夫よ!今は基礎レベルがクソ低いクソザコだから大した物じゃないだけよ!」
ヴィーさん、あなたはとんでもない物を破壊しました。僕の心です。
「さて!そろそろ日も落ちてきたし、街へ向かうとしましょう!ほら!さっさと立ちなさいな!」
意気揚々と立ち上がるヴィーさんの勢いにつられ、ブロークンしたハートもそのままに僕達はまた街へ向かって歩きだした。
道すがらヴィーさんのお店のことを聞いてみると、「あぁそういえば言ってなかったわね。カレーのインパクトにやられて大事な事を忘れていたわ。」と申し訳なさそうに笑いながら言った後説明してくれた。
ヴィーさんの店というか商会は鍛冶、服飾、農業、酪農など多岐に渡る事業に携わっており、人材の発掘や育成に力を入れているらしい。
なんでもほんの50年ほど前まではこの世界の住人の天職は戦闘職ばかりで生産職は【鍛冶師】と【魔道技師】くらいしか居なくて国、いや世界がとても荒れていたのだという。
食べ物はもっぱら森に生っている植物や、魔物を倒した時に落とすドロップアイテムで、
魔物との戦闘で酷い怪我を負い、ポーションも買えず、食うに困った人が貴族を襲ったり、物取りになったりして治安も凄く悪かったんだそうだ。
ある日ヴィーさんは天職とは別のスキルを身につけようとしている男に出会った。その人の天職は【戦士】だったが戦うことが嫌いだった。毎日服やアクセサリーのデザインを絵に描き、それを自分で縫ったり、石を加工したりして、それを露天で売っていたという。
ヴィーさんはその人にこう尋ねた。
「あなたの天職は戦士なのでしょう?こんなので日銭を稼ぐより魔物を狩った方が稼げるんじゃないの?」
すると彼は「得意なことが好きなこととは限らないよ。」と笑った。「確かに戦士として魔物を倒すほうが得意だよ。でもね、僕は僕の作った作品で笑顔になってくれる人を見る方が魔物を倒すよりも好きなんだ。
それに、天職が戦士から派生職になった時絶対に重戦士になると決まってるのかい?大盾戦士になるのか、狂戦士になるのか、はたまた魔法職になるかもわからないんだ。
そこに少しでも生産職になる可能性があるのなら、僕はそれに賭けたいんだ。」と言った。
そのことに感銘を受けたヴィーさんは彼の支援をすることにしたという。資金の援助や仕事がてらダンジョンで珍しい鉱石を取ってきたりしていた。そしてしばらくして彼の天職が生産職の【服飾師】に変化した。
その出来事を経てヴィーさんは仕事を辞め、人材発掘のための事業を開き、彼のような「得意なことと好きなことは別。」と考える人を支援し、天職が変化すると店を建てたり、土地を買ったりして、その収益の2割を受け取るという仕事をしているのだと言う。
農業や酪農の事業が成功して食べ物の流通は増えたが、いかんせんそれを美味しく食べる方法がわからず、野菜はそのまま食べるか塩を少量かけて食べるかで、肉や卵に動物の乳なんかも焼いて塩をかけるくらいしかできなかった。
そして【料理】という未知のスキルを持った僕に出会い、その【料理】を食べた時、これを広めなければ世界の損失だ!とビビっときたと言う。
魔物からのドロップアイテムの中にも鑑定では【食べ物】と出たが食べ方がわからず放置されている食材もあるらしい。
そう話しながら歩いていると街の入口であろう門が見えてきた。
「あっ!これも忘れるとこだったわ!」
というところでまたもやヴィーさんが何かを思い出したのか大きな声を上げる。
僕の口から「ヒェッ」という情けない声が小さく漏れたのは内緒
「街に入る時や、ギルドに登録する時は門番や受付にステータスの開示をしないといけないのだけれど、さっきも言った通りステータスは無闇矢鱈と人に見せちゃいけないの。
だからどうするかというと、ステータス開示をする時に開示する項目を指定するの。
指定方法は開示する項目だけを頭の中で選んでからステータスの開示をするだけよ。指定する項目は名前と種族と年齢、天職と基礎レベルね。」
説明するだけじゃわからないだろうから実践するわね。
ヴィーさんはそう言うと僕の肩に手を触れ【ステータス開示】と唱えた。
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名前:ヴィルヘルム・スパーダ
種族:獣人族・牙獣種《熊》
年齢:266歳
天職:狂戦士
Lv:680
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おぅふ…