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ラストペンギン

作者: 那須ぽてと

 英語圏にはこんな言葉がある。

 ファーストペンギン。リスクを恐れず、勇気を持って新しいことに挑戦する人を表す言葉だ。群れで行動するペンギンの中で、魚を捕るために、天敵がいるかもしれない海へ一番最初に飛び込むペンギンから転じて付けられた。

 そういった素晴らしい人々をファーストペンギンと呼ぶならば、斜に構えた私はラストペンギンとなるだろう。天敵に食べられて死ぬくらいなら、飢えて死んだほうがマシだと思ってしまう。死にたいけれど死ぬ勇気がないから、今日もいつも通り変化のない日々を過ごす。面倒くさいから、新しいことに挑戦したいとは思えない。生きてるだけで精一杯。何が辛いのかと問われれば、些細で抽象的なことが連なり、具体的に答えることはできないのだけれど、この不条理な世の中を生き抜くだけで疲労感が半端ない。

 先の見えない将来にどこか不安になる。目の前に広がる選択肢のどれを取捨することが正しいのか、頭を悩ませられる。しかし、いつかは決断をしなければならない。ファーストペンギンを始めとするペンギンたちに続いて、自分も飛びこまなくてはならない。いつ飛び込もうが、飛び込むときは自分一人であり、その瞬間のファーストペンギンなのだ。


 大事なのは飛び込むこと。私は自分にそう言い聞かせると、マンションの屋上から階下に向けて飛び込んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 言葉がシッカリとしていて、読みやすく、題材もよかったです。素敵でした。
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