re:birth【リバース】
まぁ死亡フラグ乱立してたし仕方ない。
9月12日 PM3:07
まるで止まったかのように時が緩やかに流れる。
バランスを崩し、地面に倒れこもうとする俺の目にソレは写る。
俺を左手で突き飛ばしたショウヘイとそいつに噛み付こうと飛び掛かるムガル。
少しづつムガルの牙がショウヘイの体に迫る。
...止めろ。止めてくれ。
これ以上俺の知り合いがムガルに襲われるのを見るのは耐えきれない。
動けよ。動けよ俺の身体ァ!!
しかし時の流れは無情にも一定のリズムを刻み、バランスを完全に崩した俺はゆっくりと地面に倒れるしかない。
その中、俺は掴めるはずもないのに手を伸ばす。
そんな俺を眺めてショウヘイはニヤリと笑い、口を動かす。
ムガルの呻きで彼の声は聞き取れなかったが、口の動きで不思議と何を言ったのか理解できた。
「今までありがとう」
そしてショウヘイの肌にムガルの牙が深々と突き刺さった。
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9月12日 PM3:07
背中から倒れた俺はすぐさま体を起こす。
「!!!」
数歩先、ショウヘイがいたであろう場所は。
ムガルが屯っており、地面に倒れているであろうショウヘイの姿は見えない。
「...離れろよ...」
激しい頭痛の中、俺は言葉を発する。
「ショウヘイから離れろぉぉぉ!!」
この身に熱情が迸るのを感じる。
その瞬間、昼間にも関わらず陰鬱な闇に包まれた森を赤橙色の光が辺りを照らす。
「!?」
ショウヘイの体に群れるムガルはその光に怯えたのか一瞬身を強張らす。
その正体はは固く握りしめた俺の右手から発せられる炎の光であった。
「これは...」
おそらく魔術だろう。
唐突な魔術の発現に俺は驚くが、同時に口角が上がる。
...これでショウヘイを助けることが出来るかもしれない。
俺は足を踏み出し、ムガルの方へ走りだした。
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9月12日 PM3:07
俺が一歩踏み出す度、ムガルが一歩後ずさりする。
この炎に怯えているのか...?
ムガル達は俺と一定の距離を保ったまま、それ以上近づこうとしない。
...なら好都合だ。
俺は地面に倒れ伏しているショウヘイに肩を貸す。
ショウヘイは急所を守っており、致命傷となる傷は負っていなかった。
...しかしムガルの噛み傷は無数にあり、体中から血を流している。
それにムガルに付けられた噛み傷は傷口から麻痺が体中に広がり死ぬという特性がある。
...もってショウヘイの命は一週間程度...いや、もしかしたらもっと短いかもしれない。
止血し、俺はショウヘイに声を掛ける。
「立てるか?」
俺の声にショウヘイは力なく頷く。
「森を出るぞ。すまないが本格的な傷の処置は後からだ。片手じゃ応急手当しか出来ないからな。」
そう言い、俺は今も炎を発する右手を天高く掲げながら森を後にした。
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9月12日 PM5:17
ショウヘイは荒い呼吸をしながら苦しそうに歩く。
歩幅は小さく、辛うじて進んでいる程度だ。
そしてショウヘイの隣ではアリノが右手を上げながらショウヘイの歩調に合わせてゆっくりと進む。
もう2時間以上上げた右手はしびれを通り越し感覚を失ってきているが、この手を下げるわけにはいかない。
この炎がムガルを唯一退ける手段だとするならば俺はその手段にすがり、手を上げ続けるしかない。
さもなくば俺たちの近くで唸っているムガルの養分となるだろう。
早く森を抜けなくては...
シルフィンが言っていた。
魔術は魔力切れで魔術が使えなくなると。
生存することが出来るであろう一縷の望みであるこの炎が消える前に森を出れたら良いのだが...。
ここで夕焼けの赤色が目に写る。
良かった。
あともう少しで出られる。
俺は安堵し、また一歩一歩と進むのだった。
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9月12日 PM5:34
俺はドアを押し、部屋の中に入る。
ドアベルが軽快な音を奏で、新たな客の訪問を歓迎する。
その音でカウンターで職務放棄をし、のんびりと食事を摂っている見知った男性が顔を上げる。
「おっ!ひさs...ちょっとお前、肩の人はどうしたんだよ。」
客にお前呼ばわりはどうかと思うが...
「それは後で話すから。取りあえず部屋を借りたい。」
「わ、分かった。こっちに。」
男性店主はカウンターから立ち上がり、俺達を先導した。
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9月12日 PM5:37
ドアがノックされる。
シルフィンは椅子から立ち上がり、ドアを開ける。
そこにはつい3日ほど前に別れたアリノの姿があった。
はい、どうもこんにちは。ぬか漬けプディングです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それでは!!




