第1話 君のいない世界は実に薄っぺらく冷たく軽い世界だ
初めての小説で読みづらい部分やわかりづらい部分が多いかと思いますが読んでいただけると幸いです。
人を傷つける行動や言葉を発して相手を傷つけるとその痛みが自分に物理的に帰ってくる世界で感情を失った女の子と世界の薄っぺらさに飽きている主人公の歪で尚も美しい儚い恋愛小説となっております是非お読みください
アルファポリスさんにも連載されております
一面真っ白な雪の中で君は僕に
『凍えた世界で君は何を見る?』と言った。
目を覚ますといつも通りのなんの変哲も無い天井。僕は、何か大切なことを忘れているような心から何かを落としたような喪失感に襲われた。その時ふと涙がこぼれた。
『僕は何を』ふとそう呟いた。窓から差し込む光に目をこすりながらカーテンを開けあくびをした。いつも通りの朝、何か不思議なこともなくシャワーを浴びドライヤーをし、朝ごはんを食べ、制服に袖を通す。父のつけたニュースを見ているとまた自殺者が大量に出たらしい僕はなんの意図も無く
『くだらない』と口にした父は不思議そうにこちらを見て苦笑いしたが何かを言うわけではない。自殺するなんてくだらない。希望など抱くからそんな結果になるのだと本心で感じた。
行ってきますなどという薄っぺらい言葉を口にし玄関を出て学校へと向かう、そうこの世界は何もかもが薄っぺらい。何もかもが普通で薄っぺらく平和で軽い世の中だ。唯一の異常といえば世界中の人間に起こった異変のせいだ。言葉が命を持ち人を傷つける言葉や行動をするとその人が受けた傷や痛み、衝撃が行動をした人間に物理的に跳ね返ってくるからだ。そう、こんなもののせいで世界はさらに薄っぺらくなってしまった原因だ。自分が傷ついてまで相手に辛い言葉をかけようとする人間などいない、いやいなくなってしまったというのが一番である。それが自殺者が多発する原因でもある。こんな世界を早く去りたいという人間もいるだろうだがこの世界は薄っぺらい人間で構成されていく。相手を傷つけず自分も傷つかず常に人のことを考え周りに気を使って相手のご機嫌取りをする人間だらけだからだ。みんな疲れて孤独を選ぶ。そのうちの1人が俺でもある誰のことも気にせず誰とも関わらない生活は楽で安定であり簡単すぎる。
そんなことを考えながら登校をしいつも通り一番後ろの窓側の席に座る。ぼーっと窓の外を見ていると
『今日もすました顔してるねー氷ちゃん』また始まったかと思いながら無視をする下衆な女の笑い声も聞こえて不愉快だ。頼むから他所でやってくれと考えるがそんなこときにする人間達ではない。
絡んでいる対象は隣の席のフユキという女だ白髪青目の絶世の美女だがあまりにも冷たく冷静で無だ。
『いいのは顔だけですねー?』『顔がいいと人生楽でいいですねー』などと言っている。だが彼女は何も言わないし反応もしなければ顔色ひとつ変えないそんな彼女だから人の顔色を伺って疲れている連中のストレスのはけ口になっている。そんな彼女がやっと口を開いたと思えば
『先生が来ますので早く席につきなさい』そんなこと言う。そうすると1人の女が
『いつもすました顔しやがって心の中では笑ってるんだろう』と言って彼女の頰を殴った。周りの人間の空気が流石にやりすぎだろうと物語っていたが叩いた本人には何も起こらない、そう彼女には感情も痛みもないのだだから痛みは帰ってこないし何も起こらないそんなことは普通に考えればありえない心や痛みがないと言うのは人として欠けていると言うことだ。ありえない、普通じゃないと言う言葉でかたずけるのは簡単だが日常に飽きている俺は強く彼女に惹かれた。
授業中彼女にノートの端っこに書いた手紙を投げてみた『今日いい天気だね?』『朝ごはん何食べた』『授業つまらないね』やっと帰ってきたかと思えば『授業に集中してください』なんて言ってくるくらいだ何を話そうかと思っていたらふと『君はどうしてそんなに冷たいの?』自分で書いて後悔した頭が悪いのかと彼女を傷つけてしまうと。だが俺に痛みは来ないなぜなら彼女に感情はないからだ。彼女は初めて眉毛をひさめて重い口を開けて一言言ってきた
『私ってそんなに冷たいですか?』授業中だと言うことも忘れてこちらに行ってきた。その時俺はどんな顔をしていたのだろう。何を言っているんだこの子はと。僕はさらに彼女に惹かれた。
『君は俺が出会った人間の中で一番冷たいよ』と言った。彼女の表情が初めて驚きの顔に変わった。
自分だけが知っている彼女の表情に心が踊った。
『笑っているつもりだったのに』なんて言っている彼女に思わず吹き出してしまった。
『何かおかしいことがありましたか』といつも通りの顔で言ってきたが笑顔にならずにはいられなかった。それからの日々授業中彼女と関わっていくうちに彼女は人との関わり方がわからず普通や当たり前がわからないのだとわかった。今考えれば何かが欠けている自分にとって彼女に惹かれるものがあったのかもしれない。そんなある日
『笑顔っていうのがあるらしいんですが』何ていいながら彼女はぶっきらぼうな雑な笑顔をこっちに向けてきたが僕はまたしても吹き出してしまった。
『そんなに変でしたか』なんて言いながらしょんぼりしている君に
『やっぱり笑顔は難しいね』なんて言うと彼女はふふっと言いながら
『やっぱり笑顔って難しいですね』なんて言う彼女は太陽の日差しに刺されながら舞い降りた天使のようで俺の中で何かが弾けたような気がした。そんな彼女に僕は
『君はやっぱり笑顔の方が素敵だね』なんて言った。
あまりの恥ずかしさに僕は下を向いてしまった彼女は今どんな顔をしているんだろうなんて考えながら。
動悸が収まって彼女の方を見るお驚くほど穏やかな表情をしながら
『ありがとう』なんて言う君にまた俺の心臓は鼓動する。
そんな日々を送っていればあまりいい風に思わない人もいるのだろう彼女に対しての暴言が酷くなるいつもなら無視をしただろう、だがその日だけは無視できなかった
『クリスにだけは媚び売って男垂らしは怖いですねぇ』彼女が言った一言に俺は居ても立っても居られなくなって
『いい加減にしろ』言葉が口からこぼれたとともに痛みが体を走った。女達は何も言い返してこない。当たり前だ普段何があってもスルーする人間が急に大声でキレ始めたら誰だって驚くだろう。
時間が立っても彼女達はなにもいいかえしては来ない当たり前だ俺に暴言を吐けば彼女達に痛みが言くのだからそんなことも覚悟出来ない人間がと思ったが今まで無視していた自分が虫のいいことだと冷静になった俺はこの時何も考えていなかった。彼女へのいじめが悪化するのなんて当たり前の話だった彼女は何も言おうとはしなかったから気ずいてやるべきだったのだろう。
ある日あの子は学校を休んだ彼女が学校を休むところを初めて見た。なぜかクラスの女達がソワソワしているが俺には関係のない話だった。
次の日彼女はそこら中に包帯を巻きながら登校してきた。
『どうしたの』と聞けば
『階段でこけちゃって』なんて返事をする表情がどこか悲しげで何かあったのはすぐにわかった。
『何があったの』と聞いても
『こけちゃっただけ』
なんて尚もいう君に怒りを覚えて彼女の手を無理やり引っ張って教室を出て屋上に行った。なぜこんなことをしたのかはわからないでも今聞かなければ後悔することだけはわかっていた。
『何があったのか言いなさい』諭すように言ったそれでも尚
『大丈夫だから』なんていう彼女に手を上げてしまった。初めて女子を叩いたそれでも尚体に来るはずの痛みは来ないそれでも彼女を殴ることに俺の心は張り裂けそうだった。
『頼むから本当のことを言ってくれないか』と言うと彼女は優しい顔で
『私の代わりに傷つく必要はないから』なんて言う彼女に自分が涙を流していることに気づいた。
彼女はゆっくりと口を開き
『階段を降りていたら後ろから蹴られたんだ』といった色々な怒りがこみ上げてきた
どうして彼女は普通の顔をしているのだろうとどうしてこんなにもいい子が傷つかねばならないのかと初めて人のためにここまでの怒りを感じた。
『俺が復讐してやる』といえば彼女は
『あなたが怒る必要は無いわ、私には痛みも感情もないから』なんて言う彼女は儚げでどこか美しかった。
『初めて授業サボっちゃった』なんて言う君に
『俺に何かできることはないのか』と言えば
『あなたにはもう十分色々なものをもらったわ』なんて言う君に俺は心踊らずにはいられなかった
『これからは俺がずっとそばにいる』ぽろっと出た言葉だが嘘もなく後悔もない彼女の微笑みを見るのは何度目だろう
『ありがとう貴女は本当に優しい人ね』と穏やかな表情で言い放った。
夕暮の屋上で俺は彼女を守り抜くと心に誓った
本作品をお読みいただきありがとうございます。感想などをいただけると実に嬉しいです。
読みづらい部分や分かりづらい描写についても是非コメントください。今回は私の作品を読んでいただき誠に有難う御座います