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第2話
「沢尻さん、ガイシャの身元が判りました」
沢尻と呼ばれた刑事はゆっくりと振り向いた。その動作、体格、全てに貫禄がみなぎっている。
「名前は生野ホシ、年齢は87歳。立ち食いうどん屋経営で、平日の朝8時から夕方7時まで店を開けていたそうです」
「そうか。この現場、立ち食いウドン粉竜の店長で間違いないんだな?」
「ええ。あと、死亡推定時刻は土曜の夜8時から12時の間だそうです」
「土曜だと?」
「はい。間違いありません」
沢尻は眉間に深い皺を寄せた。
「よし、付近の聞き込みに行け」
ドスの利いた声で沢尻が指示をすると、部下と思われる男は小走りに駆けていった。