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でんぐり返し世界王者へのインタビュー

作者: 偽名

 定食を食べ終わりそろそろ帰るかというときに、つけっぱなしのテレビから流れてきたインタビューの様子が目に入った。


「それではご紹介しましょう。電具選手です!」

 拍手が起こる。スタジオに入場する若い女性。

「電具選手、本日はよろしくお願いいたします」

「はい、よろしくお願いします」

「皆さんご存知かと思いますが、改めてご紹介させていただきます。電具選手は幼少時代にでんぐり返しで素晴らしい才能を開花させ、10歳でジュニア選手権優勝、13歳で日本大会準優勝という目覚ましい活躍を見せてきました。そしてついに、先日行われましたでんぐり返し世界選手権にて、101.26という前人未到の大記録を打ち立てたわけですが、まずはこれについて感想をお聞かせください」

「記録を聞いた時は、本当に夢のようでした。これも全て応援していただいた皆様のお陰です」

「人類初の100超えということになりますが、それについてはいかがですか?」

「やっぱり100を超えるのは長年の夢だったので、成人という節目の年にこのような記録が出せて、嬉しく思っています」

「いやー、それにしてもお美しいですねー」

 ニュース番組に必ずいる、横の椅子に座ってなんやかんや言う人(呼び名が分からん)が茶々を入れる。

 照れて恥ずかしそうにする電具選手。

「そんな電具選手、実は一児の母というお話をお聞きしたのですが」

「はいそうです。今年で五歳になる娘がいます」

 どよめくスタジオ。

「では、いままでは子育てとでんぐり返しの練習を両立してやってきたということですか?」

「そうですね。娘を産んだばかりの頃はでんぐり返しの練習をする暇はありませんでしたが」

「普段の練習はどんなことをやってらっしゃるんですか?」

「自分のでんぐり返しを動画で撮ってフォームのチェックをしたり、バランス感覚を養うための体操をやったり、いろいろあります。あと、走り込みなどで基礎体力をつけることも重要ですね」

「そういったメニューを子育てと両立してやっているわけですか」

「はいそうです」

 すごいすごいと口々に褒める。

「娘さんも真似してでんぐり返ったりするんじゃないですか?」とさっきの人。

「真似しますね。ちゃんと記録を計ってみると、70台後半ぐらいは出てて、私も驚いてます」

 え~!? 五歳で70台後半~!? といった具合にまたまた盛り上がる。

「いつか親子そろって表彰台に立つ姿も見てみたいものです。今後の目標はありますか?」

「なんでしょうね。100を超えてしまったので、次の目標はやっぱり110超えでしょうか」

 笑いが巻き起こる。

「110超えはさすがに人間業じゃないように思えますが、電具選手ならやってくれるかもしれませんね。最後に、全国のでんぐり返る方々にメッセージをお願いします」

「でんぐり返しのいいところは、子供からお年寄りまで楽しめることだと思います。みなさんにはぜひでんぐり返る楽しさを忘れないでほしいと思います」

「電具選手でした! ありがとうございました!」

「ありがとうございました」


「すみません、もうお店閉めますので、こちらお下げしてもよろしいでしょうか」

「あ、すみません、ご迷惑おかけして」


 会計を済ませて店を出る。

 …………帰ってやってみるか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こう言うアホらしい一発ネタ、大好き。 俺もでんぐり返し、してみるかな。 [一言] 話し聞く人、インタビュアーじゃないかな。 よく知らんけど。
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