8話
「早速案内をしたいと考えていますが、その前に一つ」
何か他にあるのか?
「疑問のあるような顔ですね、皆さん。残念ながら私は進行役であって案内役ではありません。」
何かしなければならないということか。
ほかの五人も理解した様に真剣に話を聴いている。
「簡単なことです。これから皆さんには試練を受けてもらいます。そうですね・・・・・・皆さんにはドラゴンを捕獲してもらいます」
「ドラゴンだと?この世界にはそんなものもいるのか」
「ええ。皆さんの創想像するドラゴンとはわかりませんが、この世界のドラゴンとは硬い甲殻をもつ羽の生えた巨大な生物です・・・・・・そうですねこういう感じですかね」
とトカゲのような巨大な体に羽の生えた生物の絵を見せてくる。
「おいおい。俺の知る空想上の生物と同じじゃねえかよ」
「私の知るドラゴンとは少し形状が異なっているな。だが実在するとは」
「同じく」
「なんじゃお前ら、ドラゴンを見たことないのか?」
その言葉に全員の視線がダウィンチに集まる。
「そんなに驚くことか。ドラゴンなぞ昔から存在するぞ」
なぜこんなにもドラゴンに対する意見が異なるんだ。
「異世界・・・・・・」
もしかするとこの六人も異なる世界から呼び出された可能性がある。
この反応から推測するに同じ世界から呼び出された可能性は限りなく低い。
しかしそうするとなぜ会話ができるかという問題がある。
たまたま同じ言語だったという可能性はかなり低い。
しかしなぜ・・・・・・。
「アルキメデス話を聴いているのか?」
「すまない。何の話だ」
「まったく。しっかりしてくれ。お前はドラゴンについてどう考える」
「僕の知っているドラゴンもこんな形だ。しかしダウィンチの話も間違いではないだろう」
それを聞いてダウィンチはどうだという感じの目で見ている。
「それはどういうことだ?」
「僕たちの元の世界はたぶん全員が異なる世界だろう。そのためそれぞれの世界での常識も異なるだろう」
「そうか。だからドラゴン一つにしても意見が異なっていたのか」
「とりあえずは、ダウィンチから意見を聞きドラゴンへの対策を練ろう」
話が一段落するのを見るとホーエンハイムは口を開いた。
「それでは一週間の準備期間を与えます。最初の二日でこの世界についてお教えいたします。残りの日にちでドラゴンへの対策をお考え下さい。それと必要なものがあるときはいつでもおっしゃってください。それでは各々の部屋に案内いたします」
そういって、ホーエンハイムの部屋を出る。