2話
僕は今この状況について理解ができないはずなのになぜかひどく落ち着いていた。僕達六人の前で話している何かが話していることについてはよくわからないが、この状況は理解した。
「つまりは、何かが始まるのか」
「?どうしましたか」
「何でもない」
目の前の彼女(声から推定するに女性の者だから)は、続けて説明をしている。
それにしても今の反応は人間的である。コミュニケーションや会話は成り立つようだが、正体は全く分からない。見た目は光のように輪郭がはっきりしていなく、不定形である。しかしその存在ははっきりとわかり、一種の神々しさがある。
だが今は正体についてではなくこの状況についてだ。実際に彼女は異世界といった。もしそれが本当なら、今から異世界に行き何かをしないといけない。この状況から察するに異世界については本当の話だろう。問題はその世界がどんなものかだ。ファンタジーやSFの世界ではないからといって危険な世界ではないという確信はない。情報を集めることが必要か。
しかし、気づくと
「それでは皆さん六人が無事である事を祈ります。」
という言葉を最後に目の前が暗転した。