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2回目
満員電車は、真冬でも温かいからいいね、ってセンちゃんに言ったら、
なぁに言ってんのよ、あたしは気が気じゃないんだから、
ってむくれたことがあったっけ。
がたんごとん、がたんごとん、……規則正しい音と不規則な揺れ方。
人がいっぱいの車内と、それでもぎゅうぎゅうに押しつぶされない私。
ぬくぬくまどろむ私と、三角形のスペースに私をしまうセンちゃん。
人に押されても、ちゃんと壁になってくれるセンちゃん。
「眠そう、……」
センちゃんは私を見下ろしてる。
なんだか少し微笑んでいて、溶ける様な瞳の色。ほんの少し色づいた頬。
アナウンスが流れたけど、まだ大丈夫、もう何駅かある。
センちゃんの温かい指が、私の頬をそっと撫でる。
瞼がくっつきそう…、温かいし、ちぃちゃんが、……
「ちょっと、寝よっか。」
大きい手が、私の頭の後ろに回って、ゆっくり引き寄せる。
センちゃんの身体にもたれたら、余計心地いい感じ……。
「いいよ、起こしてあげる、」
ぽん、ぽん、て掌が頭を優しくあやす。
耳許で、囁く声が、ふふ、って笑った。
…………。
今、センちゃん何か言った……?