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説明は簡潔に

会いたくなかったよ。

できればもう二度と会いたくないと思ってたんだ!

「な、何でここにいる?帰ったはずじゃなかったのか?俺は呼んでないぞ」

「呼んではないけどさ。いいじゃん。別に」

「用があるから、もういられない。って、言ってたじゃないか」

「あー。あれ。思ったよりすることなかったから帰ってきた。な」

「ええ。上にいても暇なので。いえ。仕事が全くないわけではないんですよ。でも、こちらのほうがいいです」

「あっそ。じゃ、他の奴探せよ」

さらりと流して、ようやく離れた腕を振り払って一歩踏み出す。

と、そこに重なる二重音。


「「冷たーい」」


美少女ふたりの声を無視し、また一歩。

「って、あれ?」

「何じゃ?おぬしらは?」


なぜか前方からやってきた神がオレの前で立ち止まる。


まずい。

鉢合わせだ!


「あ。あの。この方は……?」

悪魔の彼女は神が恐ろしいらしい。

振り返ってみると、少し怯えた様子だった。

珍しいな。

「ああ。何か勝手についてきたみたいで……」

「何を言うか!わらわは神じゃ。おぬしらこそ何者じゃ。特にお前!」

「あ、あの……」

手のひらで指された悪魔は、見るからに困っている。


とりあえず、説明が必要かな?

だが、しかし、なんて言うべきだ?

他人事な説明は受け入れてもらえないだろうし。

見たまま、聞いたままを答えよう。


「ああ。いいよ。俺が説明するから。こっちが暴力的な我侭天使。こっちがやさしくて誠実な悪魔。で。こっちが、神様の……。えっと、名前は?」

「姫でよい」

ひとつ咳払いすると、姫神はふたりの少女を見上げた。

「ほう。天使と悪魔とな。噂には聞いておるが、見たのは初めてじゃのう」

「お~前~。なんて紹介すんのよっ?」

「い、痛いって、悪かったよっ」

紹介に何か問題があったのか、天使に叩かれる。

「まあ、よいか。で、どういう関係なのじゃ?」

幼い姫神様は、オレの状況を放置して、そんなことをいてくる。

「それはこっちの台詞せりふだね。それで、姫はなんでいるの?」

「呼ばれたから来てやったのじゃ。そうでなければ、わざわざ下界に降りたりせぬ」

「呼ばれた~~!!?」

姫神の発言にどよめく女達。

「おい。どういうことだよ?」

「何かお願いしたんですか?」

美少女ふたりが詰め寄るように近づき、間近で睨まれ、怯む。

「みたい、だね」


「「えー!!!!」」


語尾が下がり気味のオレに対して、高音の絶叫は木霊するように上空へと昇っていく。




数分後。

落ち着いたところを見計らって、前を見るとご近所の奥さんが視界に入った。

「まあ」

(なんて破廉恥な)と思っていたかは別として、にっこりと微笑んで去っていった。


ま、まさか……。


見え、見えて……。


ごくりと唾をのみ、一拍置いて、焦りを抑え、取り乱す心を静める。


「なあ、お前ら。今、見えてるのか?」

「ん?そうだよ。降りてからはずっと実体だよ」

あっけらかんとした天使の答えに卒倒したくなる。

「てことは、今までのどたばたを見られて……」

「そういえば、皆さん時々振り返ってらしたような」

「ギャー」

悪魔の一声で悲鳴が口から飛び出した。



穴があったら入りたい。むしろ、埋めてっ!


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