侵入者あり!
主人公のうちに、お客さんがきました。
ことの起こりは半月前のあの日。
大学の友人の話が原因だったように思う。
その話をあっさり、疑うことなく、信じてしまったのだ。
理由は忘れたが、無関係なのにトラブル真っ只中にいたオレは、それを実行していた。
そして、気づいてみれば……こんなことになっていた。
半月前のある日。
「あの、どちら様で?」
我が家に帰ると、見知らぬ二人の女の子が我が家のごとく居座っていた。
黒髪と金髪、二人ともなかなかの美少女だ。
不法侵入のうえ、かなりご機嫌斜め(かける2)。
『我が家』といっても、大学入学時に借りた一人暮らし用の部屋で、築○○年の少し古びた感じのアパートだ。
家賃が他の物件より破格に安かったから、ここを選んで借りたのだが……。
同居人の存在なんて聞いたことがない。
大家をしている老夫婦も何も言ってなかった気がする。
オレが住むと聞いて、大喜びしたらしく、歓迎のあまり『ばあちゃん特製鍋パーティー』とやらが開催され、たらふく食った記憶がある。
その時、酒に酔ったじいちゃんの武勇伝は聞いたが、それ以外は特に聞いた覚えはない。
そんな過去を振り返っていると、不機嫌な声が再び聞こえてきた。
「帰るの遅っ!せっかく待ってやってたのに。何やってたんだよ?」
「はい?」
いきなり責められる覚えはない。
相手は不法侵入者で、オレはここの借主。
もちろん、『待たせた』覚えもない。
「もしかして、わかってない?自分で呼んでおいてコレ?!」
『呼ぶ』とは、いったい何のことでしょう?身に覚えが無さ過ぎてわかりません。
黒髪の女の子は、不機嫌さが倍増したのか、木製の円卓を壊さんばかりに、何度も平手打ちしている。
かわいそうな円卓。実家から持参した唯一まともな家具なのに……。
「それから、そう、コイツ!」
「なんで、コイツと一緒なの?」
黒髪の女の子は、彼女から少し離れた、この部屋唯一の窓側に座る金髪の女の子を示した。
「何でと言われても……」
金髪の女の子は、いつの間にか優雅にティータイムを楽しんでいる。
よく見れば、手にしているカップはオレ愛用のマグカップ。
入っている飲み物が気になる。
「何でなのか事情を説明しろ!」
「はい。じゃなくて!説明が欲しいのはオレの方!」
勢いに飲まれて、返事を返したが、流されて迷惑するのはオレだ。
ちゃんと意見は言いましょう。例え揉み消されようとも、意見は言わねば通らない!
お読みいただきありがとうございました。