友と金は裏切りやすい
赤文字間近の預金通帳から逃れられないせいで、くすんと落ち込んでいたオレは大学へ行った。
すると友人が「金なら貸さないぞ」と言う。
「酷い奴だ。原因はお前だろう」といつもどおりのことを言うと、あいつは「四人の美女と過ごせて羨ましい限りのお前が何を言う?一部の男のロマンの体現者め!」と言い返された。
頼りの相手に裏切られ、ショックを受ける。が、こいつならそう言うか。と思って、あらためて、「つめたいやつめ」と言ってやった。
そこに彼女が現れた。
何か困ってる風のオレを無視して友人の名だけを呼び、やってきた。
「お前ら実は付き合っていたのか!?」と言うと、即答で返事が返ってきた。
彼女は全く悪びれてない。むしろ、逆に「何かあったら相談に乗るわよ。ただし、お金の貸し借り無しでね」という。
オレが勇気を出して告白したのに、お前らはそれを知ってて付き合ってやがるのか。
と理不尽な怒りにかられ、友人を睨んだが。
即答でオレを振った理由はそいつと付き合うためか?と聞くと、友人曰く。
彼女はオレを振ったその足で、こいつにデートを申し込んでいやがった事実を伝えた。
オレってなに?
オレって、人間の女性と付き合えないわけ?
オレに内緒で恋人作ったダチはいるのに、オレは永久にできないのか?
大学生活お先真っ暗なのか?!
普通の女の子と付き合ってみたい。というオレの望みはそんなに無理があるのか?!
ず~んと重い気持ちで家に帰ると、やつらはいつもの明るい表情で迎えてくれた。
その態度に逆ギレしたが、やつらには何の意味も成さず。
逆に、「わざわざやってきてやったのに」と冷たくあしらわれ、今日もこき使われた。
逆シンデレラ物語。
「だから、ここの家主はオレなんだっての!!」
なのに、なに、この扱われようは~?!
「今すぐ出て行ってやる」と言って、飛び出したはものの。
部屋がどうなるのかと想像すると、いてもたってもいられなくなり部屋へ戻った。
オレが出て行ったことなど全く気に止めた様子もなく、奴らは騒いでいた。
どうやら単にバイトに行っただけと思っているようだ。
「今日は、ばいとじゃないのか?」
玄関に立ち尽くすオレに姫神が不思議そうに尋ねてくる。
オレはこの状況に、がくりと項垂れた。
こうしてオレは今日も一方的な、金銭製造ましーん、にされるのだった。