金の亡者はお社育ち?!
前話の後日談。
福猫神社に参拝した日。
あの後そのまま帰ったら、後日お賽銭の請求がやってきました。
「この前の料理は激うまだったぞ」
「おいしかったです」
丁寧なご挨拶はありがたいのですが……我が家は土足禁止です。
「それはよかった。それで、なんで窓から入ってくるんでしょうか?毎回」
「猫だから」
「猫ですから」
口を揃えて簡潔な応えのみ返ってきた。
「そうそう。忘れていました。はい」
この手はなんでしょう?
なんとなくわかってはいるが……。
「なんでしょうか?」
「お賽銭」
「は?」
「払ってないですよね?」
三毛猫から放たれるオーラが黒いっ!!
「あの~すいません。あれって強制だったんですか?」
「はい。強制です」
お金、ないのになあ。
笑顔でむごいことを言うっ。
先払い制度ってことは、御利益があると思っていいんですよね?
なけなしの小銭を差し出されている手に乗せた。
すると、それを見た黒猫が一言。
「少ない」
「はい?」
「いいじゃないですか。お金に困ってる方から取ったりしてはいけませんわ」
三毛猫の理論は、どこか矛盾しているようだが、助かった。
でも、その言い方は神として、どうなんだ?
「わしらにはないのか」
「はい?」
「神はあやつらだけではないぞ」
「おさいせん?」
「うむ」
姫神が当たり前のように頷いた。
「うちの金銭事情知ってるよね?」
「それはそれ、これはこれ。いずれお前にかえるのだからの。何の問題があるのじゃ?」
守銭奴のごとく、本気で言ってらっしゃいますね。
「しかたない、な。お前らのは『無い』からな」
「「えー」」
天使、悪魔が不満を口にするも、神様ではないので却下する。
「はい。あんまり持ってないから、これで我慢してくれ」
姫神と狐にそれぞれ手渡した。
狐は油揚げのほうが喜びそうだが、神様らしいし、ついでに渡してみる。
これは所謂、お年玉というものだ。
姫神たちは内緒にしてるが、姫神や狐が居候し始めてから、特に何かご利益があったわけじゃない。
かたちは違うけど、正月限定のお小遣いということで我慢してもらいました。
はっきり言って賽銭すら払いたくなくなるくらい、懐はいつも金欠です。
高額バイト、ただし、安全なもの希望。
年明けから生活事情は苦しいままだけど、赤字から早く解放されたいな。
先月の食料の仕送りがなぜか底を尽きかけたりもしているし……
借金取りが来ないだけ『まし』だと友人には言われました。
事実なので言い返せなくなり、これはこれでどこか悔しい。
年明けのバイトが始まり、大学も始まった。
今日もまた、不幸真只中。
我が家はきっと今頃やばいことになってるだろうな。
「帰りたくないなあ。なんて、言ってみたりして」
我が家は目の前。
あの明かりの中で、彼女達は今日も仲良く遊んでいるのでしょう。
新年早々、近所迷惑で追い出されないことを切に願います。