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雨宮高校の不思議な話。  作者: 敷儀式四季
最終部:<現川と黒瀬>
36/37

最終話:amabile。

最後のタイトルの意味は愛らしく。


これで1年弱ですね……。

「やっぱ人の心ってのは難しいなー、畜生。結局俺は助けられなかったし」

「そんな簡単に人の心が分かったら、皆苦労してないよ」


 黒瀬はその長い黒髪をたなびかせる。


 夕日に照らされ輝くその姿を視て、やっぱり確信した。


 今までずっと見てきた光景が、そこにはあった。


 ってかよく考えたら、俺が誘うまでも無く乃愛は屋上に来てたんじゃね?

 こんな事件があったんだから。


「……運命って奴は、無慈悲だなぁ……」

「どうしたの?」

「いや、なんでもない」


 今は、既視感がない。

 長年ずっと見てきた景色であるにもかかわらず。


「なぁ、乃愛」

「何? あーちゃん」


 その笑顔は妖艶に輝く。


 おそらくこいつは、俺が何をするのかもう分かっているだろう。


 ずっと乃愛の気持ちを無視し続けたのは、俺なんだから。


 よく考えたら、頭が良すぎるってのも、大変なんじゃないだろうか。

 展開が想像出来てしまう。


 それはつまり、俺と同じように。


 既視感にまみれた世界に見えるって事じゃないのか?


「お前も、大変だな」

「え?」


 俺は走って乃愛に近づく。

 左手で乃愛の目を覆うと、その唇を思いっきりこっちの唇で塞いでやった。


「む……」

 乃愛は何も言わない、動こうともしなかった。


「お前の鼻を一回くらい明かしてやりたかったんだよ」


 左手を離して、乃愛の顔を覗き込む。


 流石にこれは、想像出来なかったはずだぜ?


「……さ、流石にビックリしたんだよ……」

 乃愛は自分の頬を押さえている。


「簡単なことだったんだな。俺も、お前も、似たもの同士だったって訳だ」

「あ、あーちゃん?」


「お前にも、未来を視る力があったってことじゃねえか。ま、俺と違って、あくまで想像でしかないんだろうがな」


「俺は既視感の苦しみってのを知ってる。だから、だからこそ。お前を退屈させる気は無い。お前の抱く想像以上のものを、魅せてやる」


「あーちゃん……」


「好きだ。ずっとな。……分かりきってたことだろうが、改めて言うと、恥ずかしいな、これ」


「……普通は、そういうのを言ってからキスなんじゃないのかな? 私じゃなかったら怒られててもしょうがないよ?」


「お前だからあんなことをやったんだ。……俺ばっか言いっぱなしってのも悔しいぜ? お前も、ちゃんと口で、言ってくれないか?」


「強引なんだから……。そうだよ、私もあーちゃんが好き」

 乃愛は笑ってそういうと、いきなり俺の目を覆ってきた。


 そして口に柔らかい感触があたる。

 ついさっき味わったばかりの、忘れようも無い感覚。


 目から光が戻る。


 すぐ近くに、乃愛の顔があった。


「さっきの――――――」


 頬に指を当て、いじらしい妖艶な笑顔で。


「仕返しっ♪」


 ~現川と黒瀬~ <END>

これで三部作終了!!

というか最後のこの話関係ないじゃん!!


この後、現川君は望月が榊原に刺されている未来を視て、行動することになります。


ふぅ……。

この後特別編を更新しようと思います。

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