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雨宮高校の不思議な話。  作者: 敷儀式四季
最終部:<現川と黒瀬>
33/37

第四話:furioso。

意味は激怒。


読んでいただければ分かります。

 足が攣ったりしたせいもあって、屋上に到着するのには意外に時間が掛かってしまった。


 だが、外から悲鳴も聞こえてこないようだし、まだ飛び降りては居ないだろう。


 急いで屋上の扉を開ける、前に。


 腰から携帯電話を取り出して、あるところに電話をかける。


「もしもし、乃愛か!?」

「あーちゃん、いきなり電話なんかどうしたの!? それより、今どこ!!」

 電話の向こうの声は、少し怒り気味のような気がした。


「えっとな」

「また視えた、のね」

 現川が言う前に、先に黒瀬が言った。


「いつも通り頭の回転は速いな。今屋上で飛び降りようとしている女の子を止めにかかってるから、もしもの時を考えて、()()()()()()()()!!」

「どうにかって……、アバウトすぎやしない?」

「俺はお前を信じてる!! お前なら何とかできるはずだ!!」

「……恥ずかしいじゃない。とにかく、努力してみる。文化祭が出来るだけ動かないように」

「頼む!!」


 そこで電話を切って、屋上の扉を開けると、すでにフェンスを乗り越えたのか、フェンスの向こう側にとある女の子は立っていた。


「……!? こ、来ないで!!」

 まさか文化祭の日に、校則を破ってまで(校則に屋上に行ってはいけない、というものがある)屋上に人が来るとは思っていなかったのだろう。


 よく考えたら、屋上って乃愛は来るんだろうか。


「って、こんなこと考えてる場合じゃない!!」

 集中集中。

 自分の両頬をパチン、と叩く。


「……? ほら、早く帰ってよ。どうせあなたには楽しい楽しい文化祭が待ってるんでしょ!!」

 いきなり頬を叩いたことに不思議に思ったようだが、すぐに怒ったようにまくし立てた。


「おいおい、そんなこと言うなよ。お前だって文化祭は楽しいんじゃないのか?」

「私は、こんな文化祭、ぶっ壊れちゃえば良いと思ってるわよ」

 その目は、とても悲しげだった。


「どうして、どうしてなんだ?」


「そんなことアンタに関係ないでしょ!!」


「いいやあるね!!」

 現川は叫ぶ。


「俺の、将来彼女になってくれるかもしれない女子が、他のみんなと協力してこの文化祭を作り上げてんだ!! それを邪魔させやしないし、そんな不幸そうな顔させやしねぇ!!」


「ふざけないでよ!! 何よその理由!!」


「一体何でこんなことをしてるんだ!! 命を粗末にするなんて、俺の目が届く範囲なら、そんなことさせる気は無い!!」


「アンタに私の何が分かるのよ!!」

 その目は涙で光っていた。


「何もわかんねぇよ馬鹿野郎!!」


 現川は、激怒していた。

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