第三話:vigoroso。
今回の意味は活発に、エネルギッシュに。
現川君は元気です。
後スーパー小説投稿タイムは終了しました。
一日で三つも投稿したんだよ!!
さて、ここで一つ質問だが。
未来視というものを知っているだろうか。
千里眼、の同類とも言えば良いのか。簡単に言えば予知能力の親類である。
俺、現川現は、未来を視ることが出来る。
それだけ聞けば、さぞかし羨ましい能力だと思うだろう。
だが、この能力、そんな良いものではない。むしろ無ければ良いのに、と思うほどだ。
一つ目にこの未来視、視る未来を選択できない。つまり、勝手に向こうから飛び込んでくるのだ。
だから、視たくても視たくなくても一方的にやってくる。
二つ目、これこそがこの未来視最大の難所な訳だが。視た未来を変えることが不可能な点である。
何度も何度も挑戦したが、結局視た未来を変える事は出来なかった。
理由としては、例えば視た未来を参考に変えようと思って行動したとする。その場合未来が変わったとしよう。そのとき、俺が過去に視ていたはずの未来、というものがなくなってしまう。そうなってしまえば、過去に視るはずの未来が見えなくなってしまい、変えるために行動しようと過去の自分が思わなくなってしまう。というような、タイムパラドックスが起きてしまうからだろう。
実際俺は屋上で乃愛と話している、という映像を視ている。これは変わらないだろう。
この程度のことなら別に問題ないと思うだろう。だが、どんなに悲痛な叫び声を上げている人を視たとしても、その人は絶対に助けられないのだ。
手が伸びそうで届かない。
助けを求めている人を、助けられない。
気づいているのは自分だけだというのに。
それに、これは簡単に言えば人生の壮大なネタバレをしているようなものだ。
一から十まで既知の範疇。なんて、つまらないんだろう。
運命は残酷だ。
視た未来に関しては、変えることを許さない。
……だが、視た未来以外なら変えられる!!
それが、16年間生きてきて分かったことだ。
正確には、それに気づかせてくれたある少女が居たのだが。
例えばさっきの屋上の映像なら、フェンスに足をかけているところまでは視えたが、そこから先は視ていない。
つまり、それから後のことなら、助けられるということだ!!
それに気がついてからは、出来るだけ全力で生きていこうと、そして視た未来の人々に関しては、それから後を、何とかしていこうと考えたのだ。
ちなみにこの未来視のことを知っているのは乃愛だけである。
他の人には話してない。(悪用されたら嫌だし)
そんなことよりも。
今は、フェンスを登っていた女の子を、助ける!!
攣った足を懸命に抑えながら、俺は屋上への階段を駆け上がった。