第二話:少女の日本文化、首をかしげる俺。
今までの雨宮で文法的におかしかった所を直しました。
まぁ、読み直さなくても大丈夫だとは思います。
「ふう。美味しかった。ありがとう日本の人。これで命を救われたわ。私は望月巫女。望むって字に月、巫 女は神社にいる聖女のことだよ」
その女の子、望月は丁寧に自己紹介する。
よく考えたら外国の人っぽいのに、日本語ぺらぺらだな。
ていうか日本人なのこの子!?
「へぇ。日本人なんだな。てっきり外国の人かと」
「え、えぇ。そうね」
あれ、キョドったよ?
「とにかく、おいしいパンをありがとう」
……コンビニで買った安いものだったんだが。
あえて言うまい。
「あなたの名前はなんて言うの?」
そういえば名乗ってなかったな。
「榊原誠人。木へんに神で榊、原は原っぱの原、誠人は誠実の誠に人って字だ」
「そう。誠人ね、よし、覚えた」
「覚えてどうすんだよ」
平民の俺の名前覚えてもねえ。
「また明日会うかもしれないから」
「そりゃ、どういう意味だ?」
目の前の巫女ちゃんは急に変なことを言い出した。
「別にー。私は恩を忘れるような薄情な人間じゃないもーん。この国ではあれでしょ? 人に助けられたら『決してのぞかないでください』って言って何か織らなきゃならないんでしょ?」
「日本はどんな国だと思われてるんだ!?」
「今のは冗談。今のが浦島太郎って昔話であることは私も知ってる」
「それは助けた亀に連れられて竜宮城に行く話だ!! お前が話したのはつるの恩返し!!」
日本文化大丈夫か!?
「そうだったっけ? とにかく、まことに恩返しすることはもう確定事項だから。名前さえ分かれば会いに行くのは簡単だしね」
「そうなのか?」
そんな簡単に会えるもんなんだろうか。
だけど、意外と世間は狭いって言うし。
「本当なら今すぐにでも恩返ししたいけど、今は力が足りないから、明日にでも会いに行くと思うわ」
力?
「じゃあね。まこと。私の恩は重いから、覚悟しなさいよ!!」
そのまま赤黒ローブの巫女ちゃんは走ってどこかに行ってしまった。
重い恩なのか、ちょっとやだな。
ついでに覚悟が必要らしい。
なんとなく あの女の子は帰国子女のようなものではないのかと思う。
両親の一人が日本人、もう一人が外国人で。
日本語の発音はぺらぺらだけど言ってることが少しずれてたり、文化を間違えたりするのはそのためだろう。
そして、あの女の子とはすぐに会えるような気がした。
その予感は、次の日に当たることになる。