第二話:薄く儚い。
二話目です。
ここで設定がほとんど出ると思いますー。
気がついた。
1時間目から4時間目まで見ていれば分かる。
いや別にストーカー的な意味ではなく。
ついつい目が行ってしまうっていう意味だよ!!
本題。
彼女は誰とも会話していない。
彼女の席の周りには人がいない。
まるでそこだけ別次元の世界のように、クラスの喧騒と切り離されていた。
こりゃほとんどの奴がクラスを知らないわけだ…。委員長しか知らなかったのも分かる。
妙なところで納得していた。
だが、どうしてこんなことになっている?
それがどうしても謎だった。
普通学校というものは、友達がいなさそうな人でも、そういうもの同士でコミュニケーションを作れるから、なかなか話さないなんて状況は存在しない。
あるとすれば余程宿題等で切羽詰っていて話かけるな!!と雰囲気を出しているときくらいであろうか。
そこが彼女は違う。
消えている。
存在が。
昼休み。
「なぁ木賊、一緒に食おうぜー!」
「ん、あぁ」
彼女はどうするのだろうか。
木賊が見ていると、彼女は不意に席を立ち教室を出た。
どこに行くんだろう?
何故か気になった。
昼食ならば琴浦の友達が分かるかも知れないと思った……、のだろうか。
「悪い、俺ちょっと今日はそこで食わねえわ」
俺はその姿を追いかけた。
彼女の姿を探すのは意外と容易だった。
なんせ昼休みの最初に廊下にいる奴はなかなか居ないからだ。
いくら気配が薄くてもすぐに見つけられた。
見ていると、階段を登っていった。
……決してストーカー的な意味ではないので。
友達が知りたかっただけだから!
と自分に言い聞かせていると、彼女は階段を一番上まで登り、そこにあった扉を開いた。
ん、ここって?
そこは普段鍵のかかっていていくことの出来ないとなっている屋上だった。
そこを悠々と中に(いや屋上なら外なのか?)入っていった。
意外と鍵はかかっていないようだ。
校則破りか……。
あの委員長にまた怒られかねないな……。
そう考えたが、彼女も入っているからもう良いかと、結局中に入った。
そこは意外に広く、誰も居なかった。
待ち合わせっていうわけでもないのか?
彼女は長髪をたなびかせ、屋上のフェンスから外を見ていた。
【ところで、あなたはどうして私を追いかけてきているのかしら?】
「!?」
ばれてるじゃん。
彼女はこちらを振り返って答えた。
【まったく、人の視線を感じるなんて何年ぶりなのかしら。おかしな男ね、あなたは】
「いや、普通誰とも会話しないような女子がいたら気づくと思うんだけどな。むしろ今までどうして気づかなかったのかってくらいだ。おかしいなんて言うなよ」
まあそりゃ、こうやって好きな女子追い掛け回してるってところはおかしいのか?
そんなことは俺はおかしいとは信じない!
それはともかく、ある点に気づいた。
「あれ、何も持ってないじゃん。ここで食べる予定じゃなかったのか?」
そう、彼女は手ぶらだったのだ。
【あぁ、それなら心配ないわよ。だって――――――――――、】
ここは1年1組、すなわち木賊の教室。
「なぁ、今日の木賊、おかしくなかったか?」
彼らは木賊を誘っていたグループ。
そこでの話。
「確かに、何か変だったよな」
「あの辺ばっか見てたよな」
そう言って窓際の一番後ろの席の方を指差す。
「おかしな奴だよな、あんな誰も座ってない座らずの席ばかり見ててさ」
ここは屋上。木賊と琴浦。
【私は幽霊なの、だから食べる必要なんてないわ】
彼女は自分の事に関してあっさりと、さっぱりと、きっぱりと、すっぱりと、そしてやっぱり淡々とそう言った。
という訳で、今回幽霊との恋愛ということになると思いますー。
流石にこれは不思議な恋愛だと信じたいんだけど…。