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雨宮高校の不思議な話。  作者: 敷儀式四季
第三部:<天草と葛城>
16/37

第一話:出来事、目撃。

ここから三つの題は連動していると考えてくださいー。


ではっ、天草と葛城編、スタート!!

 さてしも。

 この俺、あまくさおりが、特殊な力を持つ彼女、葛城かつらぎ志野しのに出会ったのは、とある事件が原因だった。


 それは文化祭が明けた10月22日(月)のことだった。


「また通り魔らしいよ」

「今度で3件目か……」

「こわーい!」

「この近辺なんだろ。おちおちコンビニにも行けそうも無いな」

「なんで?」

「フラグだから」


 文化祭が始まるちょっと前くらいから、この付近では通り魔事件が横行していた。

 しかも会った人は皆殺されているという残忍な事件だ。

 と、マスコミは報道していた。

 本当に恐ろしい話だ。

 いつ殺されるか分かったもんじゃない。


 ただ、やはりというか。

 こんなに危機が迫っているというのに、このクラスは普通だ。

 そりゃ通り魔事件で賑わっているとはいえ、こいつらは、




 自分が事件に巻き込まれるなんて考えちゃあいない。




 一過性の話題と楽しんでいるだけだ。

 油断しすぎだろ。

 明日は我が身と思って考えないと。



 死ぬぜ?



 冗談じゃなく。



 そう思ってこの日は早く帰った。




 そして帰った後。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 腹部から血を流してうずくまっている彼女に出会った。

 普通の通学路にその赤は映える…、なんて考える余裕は無かった。



「お、おい!」

 俺は彼女に寄り添って、




 そこで、明らかな異変に気づいた。


 俺がここで言った出来事とは、決して彼女が通り魔に襲われていた事件ではない。

 ここで起きた出来事は、



「な、なんじゃこりゃ……」








 血が、逆流していた。

 身体からあふれ出たはずの血が、アスファルトに染み込み始めている血が、



 身体に戻っていっていた。

 重力を無視したその動きはさながら巻き戻しの映像を見ているかのように。



「……ったく、傷は治っても痛いものは痛いんだから止めて欲しいものね」

 少し時間がたち(数秒ほど)、彼女は何事も無かったかのように立ち上がった。

 そしてさっきまで血を流していた腹部には血の染み一滴たりとも残っておらず、制服には包丁で刺されたかのような穴のみが残っていた。

 その痕さえなければ、本当に何も無かったとしか思えなかった。

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