第25話 なんでも無いよ
「ミイちゃんが生き返ったんだ」
その衝撃の事実は僅かな間に世界に広まった。
死者を甦らせる蘇生魔法は未だなし得ない伝説だ。
しかも噂はそれだけに止まらなかった。
疫病が退散したらしい。
下町が精霊に祝福されたらしい。
様々な憶測が巷を賑わした。
しかしその噂が全て本当だとは誰も思いもしなかった。
武王もその一人だ。
「まさか、アテナにそのような才能があったとはな」
あまりにも嬉しい誤算。
「浄化の広域魔法など今まで知られていない魔法です」
重臣も感心しきりだ。
「しかし、アテナは偶然だと言っておったが実際はどうなのだ?」
「王女殿下の民衆を救いたいとの一心が起こした奇跡です」
武王は大きく頷いた。
「何にしても大きく国力が削がれるのを覚悟していたのだ」
「武王様。実は下町に妙な噂があります」
「何だ?」
武王が身を乗り出して聞く。
「それが妙な格好の少年が下町を暗躍していたようなのです」
「妙な?」
「子供たちを集めて町を綺麗にすると称していたそうですが、町中をこそこそと。疫病が発生する時期と場所が丁度重なるのです」
「魔導国の暗部か?」
苦虫を噛み潰したかのような顔をして武王は言う。
☆★☆
その頃、学園では姫騎士アテナが絶賛、困っていた。
「凄いなアテナ。死人を蘇生したんだって?」
商人の息子エディが聞いた。
「いや、それが良く分からないんだよ。わたくしが打った魔法はドラグスレーザーだ」
「ははは、面白い冗談だね。もし助けられなかったら自分も死ぬとか言ったらしいじゃない? 攻撃魔法を放ちながらそんなことを言う訳ないじゃない」
姫騎士アテナは否定しようとして慌てて口を紡ぐ。
武王から作戦のことは口止めされていた為だ。
「そう言えばアッシュ君は、あの時何をしていたの?」
尋ねたのは魔眼のソフィアだ。
「え? 俺? 下町で掃除していただけだよ」
「「「は?」」」
クラスメイトが叫ぶ。
「掃除とは?」
聞いたのは武王に呼び出されて教室のお掃除イベントに参加していなかった姫騎士アテナだ。
クラスメイト達は少しキョドリつつ
「「「なんでもないよ」」」
いつものアッシュが言いそうな言葉を言うのだった。
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