猫の行方
ミイラと言われてまず思い浮かぶのはエジプトだが、古代エジプトでは人間以外にも多くの動物たちのミイラが作られていた。犬や牛、トキやワニなど。それらは王侯の墳墓の副葬品とされることが多かったが、最も盛んに作られたのは猫のミイラである。一つの墓から数百の猫のミイラが出土することも稀ではないという。
現在ではそれらは全て貴重な考古学的資料となり得るが、そういった言ったことに頓着のない時代もかつてはあった。
19世紀中頃にはイギリスの商人が何万体もの猫のミイラを買い付けた記録が残っている。それらは全て船便でイギリスに運ばれ、粉砕されて畑の肥料となったという。
ところで、2025年現在イギリスのケント州に住む農夫のダニエル氏はある問題を抱えている。
氏の所有する畑では、夜な夜な土の中からみゃあみゃあという無数の鳴き声が聞こえてくるというのだ。
しかし、いくら土を掘り返しても何も現れず、耳栓をしても声を遮ることはできなかったそうだ。その他思いつく限りの対策をしても不首尾に終わったため、ダニエル氏は自律神経に異常を覚え、現在は精神科への通院を続けている。
鳴き声が聞こえるのはダニエル氏のみで、彼の妻や息子は一度も聞いたことがないというが、本件は前述のミイラとは無関係なのであろうか?
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