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短編

悪役令嬢に転生したけどバッドエンドをぶっ壊しましたわ!!

作者: かがりかい
掲載日:2025/10/21


 おかしい。私は悪役令嬢モノのラノベを見ながら歩いていて、トラックに轢かれたはず。

 周りを見れば、そのラノベの挿絵にあったシーンが目の前で繰り広げられていた。

 そう、私は気づいたら、ラノベの世界に転生していた。しかも悪役令嬢。

 よりによって、婚約破棄イベント五秒前。


 ねえ、神様? どうしてこうなったの? 転生ガチャ、絶対外れ引いたでしょ?


「もううんざりだ!セリス嬢、君との婚約を破棄する!」


 はい出ましたぁ! お約束の名台詞ランキング殿堂入りのセリフぅ!

 ――が、問題はそこじゃない。殿下、なぜ公衆の面前で言っちゃうのよ!

 こっちは着たこともないドレスの裾で転ばないよう必死なのに、破滅フラグだけは全力で投げてくるじゃない。


「セリス様、なんてことを……!」

 出た出た、ヒロインの涙。

 キラキラ輝いてて、背景に花まで飛んでる。ずるい。こっちは目の下にクマよ? 寝不足で。

 今だけはこれを書いたやつを恨むわ……!


 でもね、私はもう知ってる。このあと私は「嫉妬に狂った悪女」として処刑されるの。

 はい、内容通り。ラノベだとここでバッドエンド直行。


 ――だがしかし。私はもう決めたのだ。

 バッドエンドなんてごめんだ。今日から私は、お約束を破る女になる!


「殿下。婚約破棄、結構ですわ!」


「な、なんだと!?」


 狼狽えている姿、見事に滑稽ですの!!

 あ……心まで悪役令嬢に。


「ええ、むしろ願ったり叶ったりですの! 私、あなたの名前、三日で忘れられる自信がありますもの!」


 ざわ……。

 おや? 周囲がざわめいておりますね? 悪役令嬢、想定外の発言をした模様。


「で、ですが……セリス嬢、貴族令嬢としての立場が――」

「立場より自由ですわ! それに私、商才のステータスがカンストしてますの! 自分で稼ぎますわ!」


 ええ、今思いつきました。

 でも勢い大事。ラノベの運命なんて、勢いで殴れる。多分。知らんけど。


 殿下が口をパクパクしてる。ああ、魚みたい。かわいくないけど。

 ヒロインも涙目でこっち見てる。ごめんね、あなたのルート、私がぶっ壊したわ。


「セリス嬢、もう二度と私の前に現れるな!」

「安心してくださいまし! あなたの顔、もう記憶から削除済みですわ!」


 ――そして私は颯爽と退場した。ドレスの裾を翻して。

 ……裾、踏みましたけどね。思いっきり。


―――――


 それから一年後。私は「悪役令嬢アルファセリス」改め、「伝説の商人セリス社長」になっていた。

 ヒロインが涙で世界を救うタイプなら、私は請求書で国を動かすタイプよ!


「社長! 王国から新しい契約書が届きました!」


「また殿下かしら? “婚約を結び直したい”とか書いてたら、金利十割つけて返して差し上げて」


 私、もう悪役じゃない。

 でも“悪辣な商人”としては大成功中。

 ――結局、悪役職は天職だったのかもしれない。


 ……ねえ神様。

 今度転生するときは、帳簿と計算機付きでお願いしますわ。


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