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エンディング:新たな生活と告白

戦いが終わり、橘 樹、神崎 零士、そして水無瀬 奈々は、ようやく平穏な日常へと戻りつつあった。学校の廊下には、いつも通りの騒がしい声が響き渡り、生徒たちの笑い声が心地よく耳に残る。


橘は教室の窓から外の景色を見つめながら、穏やかな風を感じていた。かつての激しい戦いを思い返すと、まるで夢のように感じるが、奈々や神崎と共に乗り越えてきた試練は現実だった。


「ようやく、落ち着いたな……」


橘は独り言のように呟き、深呼吸をした。彼の日常は再び普通に戻っていたが、彼自身の心の中には大きな変化があった。奈々の記憶を取り戻し、彼女が新しい未来を歩み始めたことが、橘にとって何よりも嬉しいことだった。




一方、奈々は橘や神崎と共に、普通の高校生活を楽しんでいた。学校での友達との時間や、勉強、部活動――すべてが新鮮で、何もかもが輝いて見えた。彼女は、記憶の影から解放され、自由になった今こそ、自分の人生を楽しむことができている。


「橘、放課後はどうする? 今日、みんなで映画見に行こうよ!」


奈々は笑顔で橘に声をかけた。彼女の明るい表情は、かつての彼女とは全く違っていた。過去に囚われていた時の不安や恐怖は、もうどこにも見当たらない。


橘は奈々の声に振り返り、微笑みながら頷いた。


「いいな。神崎も一緒に行こうか?」


神崎は、いつもの冷静な表情を崩さずに頷いた。


「もちろんだ。だが、俺が選ぶ映画はお前たちが退屈するかもしれないな」


神崎は小さく笑い、冗談交じりに言った。橘と奈々は笑い合い、彼らの関係はこれまで以上に深く結びついていた。




放課後、3人は映画を楽しんだ後、帰り道で夜風に吹かれながらゆっくりと歩いていた。神崎は、橘と奈々に軽く手を振り、家の方へ歩き去っていった。


「じゃあ、また明日な」


神崎が去った後、橘と奈々は二人きりになった。彼女はいつもとは違う、少し緊張した様子で橘に歩み寄った。


「橘、少しだけ……話してもいい?」


橘は奈々の表情に気づき、彼女の目を見つめた。何か重要な話をしようとしていることを感じ取ったが、静かに頷き、彼女に歩み寄った。


「もちろんだよ、奈々。どうした?」


奈々は少し頬を赤らめ、橘の目をまっすぐに見つめた。これまでの出来事を経て、彼女の中で大切な何かが目覚めていた。そして今、それを橘に伝える時が来たのだ。


「……ありがとう。今までずっと私を守ってくれて、支えてくれて。本当に感謝してる」


奈々の声は震えていたが、彼女の瞳は真剣そのものだった。橘はその言葉に驚きつつも、優しく微笑んだ。


「そんなの当然だよ。俺たちは友達だし、奈々が苦しんでいる時は、いつだって助けたかったんだ」


橘の言葉に、奈々は小さく頷いた。だが、彼女の胸の中には、もう一つの感情がずっと渦巻いていた。それは、橘に対する特別な想い――友達以上の感情だ。


奈々は少し深呼吸をして、心の中で決意を固めた。そして、勇気を振り絞り、橘に向かって一歩近づいた。


「橘……私、ずっと君のことが好きだった」


奈々は顔を真っ赤にしながら、その言葉を橘に伝えた。彼女の心の中でずっと隠していた想いが、今、ようやく解き放たれたのだ。


橘は一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい笑顔を浮かべた。彼もまた、奈々に対して特別な感情を抱いていた。そして、彼女の告白を受け入れる準備ができていた。


「俺も……奈々のことが好きだよ」


橘の言葉に、奈々の目からは嬉しさの涙がこぼれた。彼女は橘に飛び込むように抱きしめ、二人は静かに寄り添った。


「ありがとう、橘……」


奈々は橘の胸に顔をうずめ、涙を流しながら微笑んだ。橘はそんな彼女を優しく抱きしめ、これからもずっと奈々を守り続けると誓った。




その日以来、橘と奈々はお互いの気持ちを確かめ合い、少しずつ恋人としての関係を築いていった。二人の間には、これまで以上に深い信頼と愛情が芽生えていった。


神崎は相変わらず冷静な態度を崩さなかったが、二人の新しい関係を温かく見守りつつ、自分もまた新たな未来に向かって歩みを進めていた。




数ヶ月が経ち、橘たちは平穏な日々を過ごしていた。奈々の笑顔は以前よりも輝きを増し、彼女の周囲には穏やかな幸せが満ちていた。橘もまた、奈々と過ごす時間を大切にしながら、これからも共に歩んでいく未来を想像していた。


彼らの前には、もう過去の影はない。橘、奈々、神崎は、それぞれが新たな人生を歩み始め、明るい未来に向かって進んでいく。




こうして、奈々が橘に告白し、二人はお互いの気持ちを確かめ合うことで、物語はハッピーエンドを迎えた。彼らの未来は、これからも輝き続けるだろう。

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