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3話

更新お待たせしました! 

チートスキル欲しかったなあ~。ほらあの学園シティの第一位みたいな分かりやすい最強能力とかさ!


まあでもおれが欲しいのは特別な目だなあ。一度見たものを正確に思い出して描く事のできる長記憶力描写能力とかやね。


「おい。後12枚だ! しっかりしろよ? 野良犬! でないとお嬢さまに元いた所にぶち込まれるぞ?」


ヒイイイイッ!! 男は泣かない。はず。多分。だからこれは目から汗が・・・。


後ろでメラメラと殺意らしきもので劇を飛ばしてくる、口の悪いお姉さん。


いや。まて。振り返る。やっぱり可愛い。その清楚そうな(?)顔で悪口が出てくるのがいまだおれは信じきれない。


「何をジロジロと? 貴様真剣にやっているのか?」

「いえ! まだまだこれからです! やるぞおれはあああああああ!!!」


グッジョブ! なんかやる気出た! 


「おれがもし、この試練をクリア出来たら! 名前を教えてくださいませんか!」

「ふむ。それくらいなら・・・。」


「きっとですよ!?」

「わ、分かった。後あんまり嬉しそうにするな? 正直気持ち悪いぞ?」


「この情熱パッションとめれるのは神でさえ不可能です!てやんでい!」


うおおおおおお。


右手がしびれてしまう。クッ。この程度で・・・。なんてことだ・・・なんてことだ・・・。


よし。


「あの。」

「どうした?」


「先ほどから美味しいお茶や珈琲ありがとうございます。助かります。」

「気にするな。私だって仕事だ。」


分かる。その洗練されたお茶を注ぐ仕草。それはまるで、一つの芸術のようで。思わずため息をついてしまう。


「よし! 後5枚ヌおおおおおお!!!」


枚数を書くというのが任務だが、実はそうじゃない。同じものを再現して書く能力を鍛えさせれられているのだ。


見ろこの死体を! こんなにも死んでいる絵今までかけただろうか? いや無理だったね!


なんか知らないけど脅されているおれ。そして後ろになんやかんやで(?)おれの事を応援してくれている辛口お姉さん。


応援されているのってこんなにも心強かったんだな。頑張れって。頑張ってって。今まで何回も聞いてきた。


でも、おれはそれに十分応えてきただろうか。おれは命を燃やし切れていなかったのかもしれない。だって。本物はこんなにも理性を溶かしてしまうのだ。


もう半分は燃え尽きた。


君の名前を聞かせて♪ ただその一言のためだけに! この世界のおれのファン一号はこの方だ!


おれがへまをしたら、恐らく彼女が今の任を解かれおれは執行猶予か下手したら投獄だ。


悪くない。悪くないってばよ! もう失敗する覚悟はできた。


フオオオオオオ!!!


最後の1枚を怒涛の勢いで仕上げる。


「どう、ですか? 影の入れ方を工夫しました。同じ青白い顔でも、光の経過で反射し、見え方が変わっていることも表現できたと思いますが。」


「ふむ。いやここまで出来るとは思っていなかった。初日にしては完璧だな。」


「で、では!?」


「私はトゥイーニーという。良いから帰るぞ。犬!」

「はいはい。」


「・・・。ではお前はここで待っておれ。」

「・・・。わん!」


「よろしい!」


やべえ。このノリ続行するんですか~? もうやめて欲しいな~なんて。


馬車に放り込まれ、屋敷へと向かう。



*****



屋敷に着き、食事時になった。屋敷のメイドたちが集まり、食事をはじめた。


おれは明らかにみんなから嫌われていた。


元囚人で、怪しい外見。それに言葉使いだって品がない。


「まあ。あの方。恥じを知らないのね。」

「ええ。本当に。みじめね。」


そういう陰口が心鳴く響く。


「さあ、召し上がれ。」

「ありがとうございます!」


盛り付けられた食事には異物や虫が混入している。とてもじゃないが食べられやしなかった。


それでも、生きるためにおれは喉に無理やりねじこんだ。


なるべくより分けるようにしながら。


女って怖い。おれにどれだけ悪意を向けたら気が済むのだろうか。


その日もまた次の日も・・・。


いつしかおれは食堂カフェテリアに足が向かなくなってきた。


とうとう見かねたのか、トゥイーニーさんがおれの分の食事を個別で後から持って来てくれた。


「・・・。私だ。先ほどぶりだな。食事はしっかりとって明日に備えよ。この程度で心折れていてはこの先持たない。だから・・・。お前は絵を描け。認められたかったらな。」


「・・・。ありがとうございます。」


それは普通の食事だった。何も気にせずに普通に食べられた。平等なんて最初からあるなんて稀である。


おれは文字通りお屋敷の最下層にいたのだ。




*****



今日も筆が駆ける。もっともっとだ。


おれには絵を描く構想力がたりない。思いだせ。元いた世界の巨匠たちのタッチの繊細さを!


「今日もお疲れ様でした。」

「はい。また明日。」


モデルのお姉さんが帰っていった。


もちろん洋服を来ている。そう言えば裸の絵がこの世界にない気がする。


いや? 別に見たいわけじゃあないんだからね!? 女体の美しさというのはこう何というか。心に訴える美しさがある。(もちろん描く時にはテンションが上がる)


もちろん男もだ! 引き締まった肉体美なんて。どんなポーズにするかとかもう脳が震える(?)


さあ。世界にk。いえ何でもない。今はまだ力をためるときだ。


水の流れのデッサン。環境に適した機能美からなる虫たちの形状フォルム


ああ。こんなにも世界は美しい。


絵に没頭するあまり、おれはついつい彼女に魅入ってしまった。


めちゃくちゃ。おっぱ、ごほん。ナイスなプロポーション。


「トゥイーニーさん、あなたを描きたい。構わないだろうか?」


「先ほどからジロジロとなんて嫌らしい。後顔が近い!」


ゴミを見る目で目潰しを仕掛けてきた。寸での所で避けれたのはある意味彼女を信頼していたからかもしれない。


脳に怒りの血管が浮き出ている。ごめんなさい。めちゃくちゃご立腹でありますね。


「すみません。あまりにきれいなものだから。すみません。そう言う意味ではないんです! いえ。興味はありますが!」


「うるさい。よほど命がいらないと見えるな!」


それに・・・。と彼女は言葉を紡ぎだした。


「メイドなんてろくなものじゃないぞ? 私もとある伯爵家の産まれだがな。没落しここまで落ちぶれた。もちろん3女だったから元から結婚先には期待出来なかったがな。」


「お前は同情するかもしれないが・・・。私に限らず、若いメイドなんて大体が旦那さまのお手付きにあっている。つまりはそのあれだ・・・。とにかく私たちはもう穢されているのだ。」


「良い。同情はいらん。運命なんて。幸せかどうかは私が決める。だから、もう私をそのような目で見るのはやめた方が良い。分かったな。だから、頼むからそのような顔はやめてくれ。」


言葉が出なかった。中世の世界観のこの世界に人権なんてないようなものだ。


どうして気づかなかった。分かってやれなかった。おれはこの世界を知ったつもりになっていた。


書で得た知識は軽い。現実は重い。


「あ、あのう。そろそろ手を放してもらいたい。お前も早く眠れよ。」


気づくと強く彼女の手を握ってしまっていた。だってあんまりだ。今まで親切にしてもらった彼女は毎日何を思って生きてきたのだろう。


「ご、ごめんなさい。」


「気にするな。今まで通りお前はバカみたいに笑ってろ。その顔はお前には似合わないからな。」


涙が止まらなかった。彼女への恩返しをしたいといった気持ちが胸を締める。


扉が閉じられた。おれは一人残された。


月明かりが差し込み美しい線を描く。ふと一枚の絵を思いついた。それからはだた筆を動かした。


気づくとおれは地に倒れたように眠っていた。



「起きなさい。トゥイーニー。彼を起こして。」

「おい。犬。お嬢さまが来ているぞ?」


死んだように眠る男の前にはそれは大層美しい月の妖精の絵があった。あまりの幻想的な美しさに2人はしばし声を失い魅入ってしまっていた。








読んでくれてありがとう♪

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