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2話

夜のテンションで読んでね~! 良い夜を♪

困惑する状況ひしりひしりと追い込んでるくる不幸。


私の好きな漫画でいつだったか勉強させて頂いた言葉。


”禍福は糾える縄の如し” 幸福や不幸は重ね重ねやってくるという意味だったはず。


ごめんやって。だっておれ今手元にゴーグル先生おらんし。正確性を求めるんなら異世界に投獄されたおれに求めないでね?


「おい?この野郎? 何ニヤニヤしてやがる! (ボカッドスッ)」


あああ。いてええ。


すまんねえ。おれがMじゃないばっかりに!? 身体には喜びがねえ~ あれ。悲しくないのに涙が・・・。


いつもの通りおれは看守たちのサンドバッグにされた。


正確にはおれだけではない。他の奴らもだ。


地面に抜けた歯やおびただしい血・・・。うん。控えめに言っても地獄だねえ。


もうどうこうしようと思考するのは諦めるか・・・。否。時をまつのだ。チャンスを・・・。


結局は巡り合わせの運である。ツキなんておれが見逃すはずがないではないか。


どうよこのおれの筋肉たち!? ごめん。今は耐え忍ぶ時だ。おれの臓器や大事なものを悪漢たちからどうか守って欲しい。


頼むぜ・・・。例えおれの意識が飛んでしまったとしても!




*****



口中にヘモグロビンの味が広がる。


「っぺ。無茶をする奴らだぜ! 今日はこんだけで勘弁しといてやる!(今ボコられタイム終わった人の感想)」


さて。ふむ。一番困るのは時間間隔が狂う事だなあ。(優先事項はそこではない。)


「あの~。生きてますか?」


「何だ。新入り。今日もだいぶ痛めつけられたな。まあお互いさまか。」


「エルフの方ですよね? 違っていたらすみません。そして隣のあなたはドワーフ族?」


「・・・。ああ。(何だコイツおかしな奴だな!?)」


「おれ佐藤って言います! もしですよ~。何かこれからチャンスがあったりしたら、やりたい事ってありますか?」


「・・・。お前。そうかその明るさをまだ持っているとは。」


「いえ。おれこそそんな話今したくないですよね。すみません。」


「いや。いいさ。少し話そうか・・・。」


隣と国へ技術支援の仕事をしていた事。新しい魔法術式の研究のために来ていた事。故郷から奴隷狩りにさらわれた妹を探して各地を転々としていて、追剝に襲われ自身も同じ境遇になってしまった事などなど。


みんなそれぞれの不幸があった。


「では。もしおれがここから出られたら、あいつらを・・・。社会的に抹殺してやりやしょう・・・。」


「命を奪うのではなく?」


「ええ。それだけじゃあ生温いと思いません? ふっふふ。生き地獄が一番辛いんですよ?」


「お、お前さん。優しい顔をしてとんでもない奴だな。」


「ええ。人には絶対に怒らせていけないタイプがいるんですよね。彼らはどうやらご存知ないらしい。」


この奇妙な男はさらに語り出す・・・。


良いですか? いつも早朝来るのがマクラネレン、午後に来るのがフットンダ、そして不定期な奴がコトン、及び家族構成が2人独身後はそうですねえ。


嫁1子ども2、ミニストップ地方、レンリ橋近く窓が日当たりの良い場所。


フフフまずはあいつからあおれは狙いますよ~!


「コイツ・・・。やべえ(心の声)」


情報はやつら(・・・)を特定するために。


そして方法は・・・。決まっているだろう。




*****



おれは待っていた。ターゲットを・・・。


悪いが人は金に目ざといやつと善人がカモである。


ほうら。やって来た。


こう言う酷い所にはいづれガサ入れや調査が来るのが鉄板てやつだ。


「(ぼそぼそ)ですから。この施設は囚人を丁重に扱っておりまして。シャラーン様ほどの高貴なお方がお気に病むほどのことではございません。あ、ちょっとそこは危ないですよ! 野良犬にも劣る汚らわしい連中ですから。」


おれたちは待っていた。


「では、手はず通り頼んだ。」


「本当に上手く行くのか?」


「ああ。おれの7ヶ月の集大成だ。魂を宿している。」


「分かった。お前を信じるからな!」


「仕方がない。協力してやるか。ダメでもともとだ。」


「来た。今だ!」


おれは気取った姿勢をとる。まるで姫を待ちわびた騎士ナイトのように。


「ここが囚人部屋ね。劣悪な環境だわ。」


「ですから! お目汚しに・・・!」


「お待ちしておりました・・・。(おれ)」


「あ、あなたは!?」


「明かりでこの部屋を照らして頂けますでしょうか?」


「え、ええ。こ、これは・・・!」


シーンと空気が静寂した。


呼吸の音も消え去ったようで。(みんなご協力ありがとう)


世界が切り替わっていた。天井や壁から人々の悲鳴が響き渡るようで。恐怖に震える。


そう。これはおれの生涯をかけた大作。”六道の修羅・彼岸花”この異国の地でも地獄だと伝わる恐怖。


目に刻み込め。修羅を。魂に刻み込め。おれたちの恨みを。


「こ、これをあなたが・・・!?」


「ええ。驚かせて申し訳ございません。お嬢さま。」


「何を~! お前この方を誰だと心得る? 控えろ下郎が!」


「お黙りなさい! 私は彼の言葉が聞きたいのです! よろしくて?」


「ええ。なんなりと。だた場所は変えさせて頂きたい。お慈悲を頂けましたなら。」


「この者を連れて来なさい! 今すぐに!」


「ハハッ。」


下っ端どもがおれを外に連れ出した。クックックック。さあ。始めようか。


地下牢の階段を昇り進めて行く。まるで地に落ちた悪魔が空へ大きく羽ばたくように。


久しぶりに見た太陽はかくも残酷だ。目を肌を貫く。だが暖かい温もりは健在である。


「そこにお掛けなさい。」


「はい。失礼いたします。お嬢さま。」


「紙とペンをお持ちして。あなたの力を魅せなさい。」


「ええ。光栄でございます。」


紙にイラストが発想が想いがインスピレーションが滝のように溢れ出した。


何がどうして。


異世界の彼らには知りえない情報。構想がおれにはあった。


何故って。元いた世界にはありとあらゆる情報網がしかれ、著名人だけではなく、無名の新人にいたる情報までおれたちは知り得た。


ああ。この絵はあの時の・・・。


簡素ながら大胆な構図と未知に彼女の目は虜である。


「凄いわね。いいわ。私の下で働かせてあげる。」


「ありがたき幸せ。」


こうしておれの異世界生活が始まった。


残念だったな世界!? おれた当分闇落ちしなさそうだぜい!? 


あいつらに権力を握ってから復讐はするがな。もちろんだ。


この両手で作り出す芸術アート


ハハハッ。心の底から笑い声がこみ上げる。待っていてみんな。別に親しくもねえけど。一緒に半年ちょっと過ごしたのも何かの縁だ。


おれがみんなを救い出す。それまで何としても生き延びておくれ。


「どこまでもお供いたします。お嬢さま。」


扇が閉じられる。


「ジェーシー彼に業務指導を。私は社交界のお付き合いがあるわ。教会の壁画を彼にも学ばせて。金の卵の可能性ポテンシャルがあるわ。」


「ハハッ。かしこまりました。おい。野良犬ついて来い!」

「はい!」


口が悪い美人なお姉さんは好きです!


屋敷の側の離れの小屋におれは通された。


「野良犬はここを使え。お嬢さまのお慈悲だ。感謝するが良い!」


「ありがたき幸せ!」


「夕飯はメイド長の元に集合して頂いている。もちろんお嬢さまの食事のおこぼれだ。また時間になったら呼びに来てやる。」


「承知致しました。」


やっぱりこのお姉さんお綺麗ですね。はい。なんていうか。プロフェッショナルです。


「それまで、身を清めていろ! お前、匂うぞ・・・。」


「申し訳ございません。」


「後、食事前にいくつか教会を回る。ちょうど今改装中だからな。では10分後にまた会おう。」


そう言ってスッとなにやら砂時計を取り出し、テーブルに置いていった。


おれはカラスの行水で済ませ、テーブルの上のナプキンに来る途中で見かけた可愛い子を描いた。


ここにはお嬢さまが用意して頂いた、美術道具がそろっている。


急げ! 快適な環境は自分自身で作らねえとな。おれは何も与えられなかったから。


だから工夫をする。何回も同じ描写は描いてきたのだ。大丈夫。世界が変わってもささるものはある。


扉が叩かれた。


「おい。野良犬。準備はできたか?」


「良かったらこれを差し上げます。お気に召したら嬉しいのですが・・・。」


「お、お前。こ、これは・・・。」


たたまれたナプキンを広げると、顔を紅潮させたもじもじと上目遣いで見ながら、きれいな野の葉を今にも渡して来る。最かわなショタっ子がいた。


「どうですか。お近づきの印でございます。」


「む、むう。し、仕方がないからな。これは嫌々だがな・・・。受け取ってやる。そ、そのう大事にしてやらん事もな。」


勝った~! やはり好きそうでしたもんねえ。分かります! おれも好きだしね! もじもじするお姉さん!


「な、何をニヤニヤしている!? き、気持ち悪い奴だな? いくぞ! 犬!」


「はい!」


「返事は!?」


「わん!」


「よろしい!」 フフーンとしているすまし顔。


いや。何このお姉さん。ドヤ顔可愛い。ノリも好きだ。こんくらいならいつでも付き合うぜい!


え、犬? もしかして・・・。おれ出世しました!


馬車の中で、何やら後ろに抱えていらっしゃる。名前も知らないお姉さん。


「あ、あのう。如何いたしましたか?」


「な、何でもない!」


チラッ。顔を赤めても一度チラッ。


これはあれだ。分かったぜい。


「あ、分かりました。お花を詰みに行かないと・・・。(ボカッ)ヒデブッ。ナイスなグーパン。鼻血出さなかったおれグッジョブ!」


「ち、違う。何てことを言うのだ? デリカシーの無いヤツめ!」


「す、すみません!?」


「これにそのう。またあの子を書いてくれないだろうか・・・。」


おずおずと出されたそれはスケッチブック。


なるほど。おれの絵を気に入って下さったんですね!?


「おい。何で泣くのだ? 犬?」


「う、嬉しくて。おれの絵で誰かが喜んでくれるのが。」


「は、早くしろ? 時間がないのだ。そのう。良かったら使え。」


ハンカチが差し出された。


「!!?・・・。ありがとうございます。」


ああ。鼻水出て無くて良かった。危ない。


何枚か書いてあげた。


中でも一番気に入ってくれたのが野原で蝶と戯れているショタっ子だ。ふむう。サービスにシロツメクサで作った冠をかぶらせてみよう。


どう? お気にめしましたか? 


あらら。号泣しちゃったよ。宮仕えも大変そうですねえ。(正確には違う)


可愛いは正義ですから。いやあ~。今日は良い事をした。お姉さんの感動した涙を見てまたおれも胸が熱くなってしまったよ。


感性豊かな人っておれ好きだなあ。人間として。


「よし着いたか。お前の今日の課題だ。」

「はい! ぜひやらせてもらいます!」


「まだ、指示を出していない。(スンッ)」


はい。お仕事モードですね。


「ほら。あそこから人がぶら下がっているだろう?」


「はい! どこですかね?」


「もっと上だ。丁度5分ほど前に処刑された奴だ。死んでからどんな風に顔が時間経過で変わっていくのか学習しろ。」


「ギョエエエエエ。無理です。死んでますやん!」


「返事は?」


「わん!」


「よろしい!」


おれは残酷な天使に魅入られているようだった。


異世界で画家目指すのキツイっす! 誰かおれを助けてくれてもいいんだぜ!?






















読んでくれてありがとう♪

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