第二話 告白
「はぁ、じゃあサクラ、お前を食べてもいいか?」
リュウが怖い声で私に言ってきた。
「リュウはさ、私なんて何も出来ないよ。
空も飛べないし、冒険者でもない、そんな私の何がいいの。
可愛いとか全部とか無しで」
私はリュウに向かって真剣な眼差しで聞く。
するとリュウは一呼吸付き
「空を飛べなくたっていい、冒険者じゃなくてもいい、ただ君の事が好きなんだ。
理由なんて本当は無い、一目惚れなんだ」
「キザな告白ね。
・・・・あのさ私、夢があるの。
聞いてくれる?」
私はリュウの手を繋ぎ小さな木の幹でしゃがみ込む。
「それでサクラの夢って?」
リュウが聞いてきた。
「私ね、この世界を見て回りたいの。
この足で、村の事しか知らないから外の事を知りたいのよ。
ダメかしら?もし、私の夢を一緒に叶えてくれるなら私は貴方の奥さん、嫁になります」
私はリュウに向かって言う。
頬が赤くなる、男の人に向かって直接言うのは初めてなの。
「分かった、僕もドラゴンとして空からしか見たことなかったけど、君と一緒なら僕はこの世界を案内するよ」
リュウも私に向かって言う。
私は片手をリュウの頬に触れ
「これからよろしくね、リュウ」
リュウは顔を赤くしながらも私の背中に手を回し自分の体に私を寄せ
「ああ、僕がサクラを守るよ。
この命尽きるまで、そして永遠に愛するから」
リュウはゆっくりと私に唇を近づけてくる。
唇が近づいてくる、私も。
私も目を閉じる。
リュウの吐息が顔にかかる。
温かい、息が。
そして私とリュウの柔らかい唇が触れるのだった。
ああ、リュウ。
ああ、サクラ。
私とリュウは地面に寝転がり片手に空を掲げ
「世界を知りたい」
「世界を教えてやる」
そう叫ぶのだった。
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数時間後
「武器なんて使ったことないから、どうしよう。
短剣なんて使ったことないよリュウ」
「大丈夫、サクラならきっと使えるよ。
僕にだって使えたんだから」
そう言ったリュウは近くに居たスライムを短剣で倒していった。