表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/23

横島恋歌は〇〇たい──②

 恋歌はメッセージに慣れたのか、さっきからずっと九鬼とやり取りをしている。

 女子同士のメッセージって、こんなに続くもんなのか。すごいな、女子。


 時刻はもう21時。そろそろ風呂に入る時間だ。



「おい恋歌、そろそろ自分の部屋戻りな」

「んえぇ〜。もーちょい」

「早く寝ないと肌に悪いぞ」

「あっ、そうだった……!」



 恋歌は中学から美容に気を付けていて、睡眠時間は8時間取るようにしているらしい。

 その上で早朝ランニング、筋トレ、ストレッチもしているから、そろそろ寝る時間なんだ。

 規則正しい生活をしてる褐色ギャルって、なんか面白い。


 恋歌は窓から自分の部屋に戻ると、こっちに手を振ってカーテンを閉めた。

 やれやれ。ようやく静かになった。

 風呂入って、ゲームのイベントの周回でもしないと。

 部屋からリビングに降りると、母さんがお茶を飲んで雑誌を読んでいた。



「恋歌ちゃん、来てたの?」



 雑誌から顔を上げずに、そんなことを口にした。

 よく俺だってわかるな。さすが家族。



「あー……まあ」

「よかったじゃない。また前みたいに気兼ねなく遊べて」

「そう……かもな」



 1年前に恋歌と仲違いをした時、俺は結構ショックだった。

 今更過去のことをほじくり返すような悪い性格はしていない。

 ショックを受けていた俺を、父さんと母さんも心配してくれてたっけ。



「心配かけたけど、もう大丈夫。……のはず」

「そうね。あんた恋歌ちゃん以外に友達いないし」

「…………いるわ」

「間」



 いるし。九鬼とか………………九鬼とか。

 母さんは雑誌を閉じると、俺と入れ替えにリビングを出ていった。



「遊ぶのはいいけど、もう少し優しくしてあげなさいよ」

「……なんのこと?」






「ギシギシ、ドタバタと……激しすぎ。女の子は卵だと思いなさい」

「なんの話し!?」



   ◆恋歌side◆



「……むふっ……むふふ……ぬへへ……」



 だめだ。口元が緩む。こんなに楽しいの、本当に初めて。

 お友達とのメッセージ、楽しい。楽しすぎる。

 本当に実りのない話しかしてないけど、それが本当に楽しい。


 今何してたのーから始まり、今やってるドラマやアニメの話。駅前にできた新しいクレープ屋さんの話とか。

 こ、これはもう、陽キャと言っていいんじゃないでしょーか……!?

 ……いや、それはよくないか。

 九鬼さんはご飯中みたいで、おやすみのスタンプを最後に連絡はない。

 おやすみ……友達とのおやすみ。なんという甘美な響き。

 パタパタと脚を動かして、九鬼さんとのやり取りを見返す。



「ぬふっ……えへ。むふふ……」



 あーニヤニヤが止まらない。

 十夜とも約束したし、寝なきゃ行けないのはわかってるんだけどなぁ。

 いけない。とりあえず歯を磨いて、寝る準備しないと。


 気持ちを切り替えるために洗面所へ向かう。

 と、ちょうどお母さんがそこにいた。



「あら、恋歌ちゃん。……何かいいことあった?」

「えっ? な、ななな何が?」

「何となくね。恋歌ちゃんが嬉しそうだったから」



 お母さんってエスパーなんだろうか。

 いつも夕飯は食べてないから、いつもそんなに顔を合わせないんだけど……まさかすぐに見抜かれるとは思わなかった。



「え……と、ね? ……と、友達がっ、できたの……!」

「あら、本当!? やったじゃない、おめでとうっ」

「んっ……!」



 お母さんは、ウチに友達がいないことを知っている。

 何度も心配かけたし、心配させてるのはわかっていて、私も苦しかった。

 けど、もう大丈夫。……のはず。多分、恐らく、メイビー。



「でね、その……友達同士って、何をしたらいいのかな?」

「んー、そうねぇ。お母さんがあなたくらいの頃は、沢山遊んでたわよ」

「遊び……?」

「ええ。春はみんなでお花見。梅雨は雨の中雨宿り。夏は花火大会、海、BBQ。秋は散歩やピクニック。冬はウィンタースポーツに、お鍋に、初詣……ふふ、懐かしいわねぇ」

「!? お、お母さん、まさか陽の者……!?」

「んー、お母さんたちはそんなこと考えたこともなかったけど……」



 陽キャはみんなそう言うの!

 ま、まさかお母さんが陽の住人だったなんて……遺伝子さん、ちゃんと仕事して。



「楽しいわよ、友達と遊ぶのは。タコパやお泊まり会みたいな小さいものでもいいし、学校帰りに寄り道したり、休日は適当に街を歩いたりね」



 お母さんは当時の思い出を語っている。

 聞けば聞くほど自分の境遇が虚しくなってくるけど……すごく楽しそう。

 昨日までのウチだったら、嫉妬で気が狂うところだ。


 でも、今は違う。

 ウチも、遊びたい。

 十夜と……九鬼さんと、遊びたい……!

続きが気になる方、【評価】と【ブクマ】と【いいね】をどうかお願いします!


下部の星マークで評価出来ますので!


☆☆☆☆☆→★★★★★


こうして頂くと泣いて喜びます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ