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笹竜胆之影武者〜影の勇弟(ゆうてい) "源義門"〜(真 転生源氏英雄伝)  作者: 綴 K氏郎
零章 それは平治へと至る道、はたまた歴史を変える決意
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九の暗躍…対面、そして運命のいたずら

気になることや感想など気軽にコメントしてください。モチベーションに繋がるので暇な方は是非に!

ついに、範頼(おとうと)との対面の日がやってきた。




数日前


「ただいま戻りました。母上。」


「あら、おかえりなさい。熱田は楽しゅうございましたか?」


「はい!」


「それは良かったです。鬼武者は覚えていないと思いますが、ここ熱田はあなたが産まれた場所ですよ。」


「そうなのですか!?」


無論、朱若も初耳だった。


(頼朝の母親ゆかりの地ってことぐらいは知ってたが実は頼朝もどっぷり関係あったんだな。)


「母上!実は熱田の市の大きい屋敷の方のご厚意で迷ってしまった我らのことを従者に送るように融通してくださったのです。それにその方の御子を抱き上げさせてくださいました。儚くとても温かくて守ってやりたいと思えるような心地でした。」


頼朝の晴れた様子を見た由良はとても嬉しそうな顔で頭を撫でている。


「そう、それはとても良い事です。あなたもいずれ子を持つ親となった時にはさらに感じるでしょう。あと、その主人の方は(おのこ)にございましたか?」


「いえ、(おなご)にございましたが。」


それを聞き由良は何か納得したように小さく笑った。


「うふふ、まさかそんなことが。これも天の巡り合わせかもしれませんね。」




そして現在


朱若と頼朝は足を動きやすいように絞り上げ水干(すいかん)であしらった小さな狩衣(かりぎぬ)の様な正装で対面に望むべく部屋で待機している。


イメージしやすいようにすると、子どもの牛若丸(うしわかまる)が着けているような貴族の子どもが着けそうな服だ。


(ていうか、その牛若丸がうちの弟になるんだけどね!)


無論、牛若丸は後の源義経(みなもとのよしつね)で朱若達の最後の兄弟であるが、平治の乱の二年前に産まれるためまだまだ先の話である。


というわけでそのような服装で臨んでいる。

由良はいつも通りの十二単(じゅうにひとえ)を簡略化したものを着けており、義平や義隆はこの時代の武士に見られる直垂(ひたたれ)という烏帽子と帯刀を前提とした武士のトレードマークとも言える服装である。


あとは範頼との対面を待つのみであった。

そしてその時間になり、郎党の声とともに幼児を抱えた女性障子が開かれた障子の部屋から現れた。


「「えッ!?」」


「あら、、、これは?」


熱田の市の屋敷で世話をしてくれたあの女性だったのだ。


「私もまさかと思ったけど、これは運命だと感じたわ。鬼武者、朱若。あの子が蒲玄若(がばのくろわか)殿よ。そして彼女が母の池田御前よ。」


由良の紹介とともに女性は自己紹介する。


「私が池田御前にございます。昨日ぶりでございましょうか。」


(昨日世話になった親子がまさかの範頼母子だったとは、、、頼朝はどんな顔して、、、ぬおッ!!?)


「まさかお主が我が弟だとは、、、。これ程嬉しいことがあろうか!」


頼朝は目を見開いて後の範頼となる蒲玄若を見つめている。その顔は兄が弟に向けるべき慈愛の表情だった。


「そういえば、母上。蒲玄若とはどなたの名付けでしょうか。」


「私よ。だって義朝様に任せるとろくな事にならないし、私も言いくるめてられてしまうから。ちなみにあなたや蒼若の名付けにちなんで北の守護獣玄武の様に堅実に真面目に生きて欲しいという意味も込めているわ。」


(チョロい自覚あったのね、、、)


池田御前は改めて説明する。


「由良の方様、この蒲源吾に名を与えてくださりありがとうございます。この子は紛うことなき源氏の棟梁源義朝様のお子にございます。今年で二つになります。」


「それは大丈夫ですよ。もう、疑ってませんし。この子は間違いなく源氏のお子、共に逞しく育て上げましょう。」


「あ、ありがとうございますッ!」


(元々は蒲源吾(かばのげんご)って名前だったのか。もしかすると蒼若より先に産まれたからその当時は五男だったってことなのか?なんにせよ由良が新たに名付けすることは正室に認められたということだ。かなり良い判断だな。)


「なあ、朱若よ。これって義朝(ちちうえ)御落胤(ごらくいん)(隠し子)ってことだよな?」


「ええ、そうなりますが、、、それが?」


頼朝は熟考するように俺に告げる。


「ひょっとするとまだいるんじゃないかなぁって。そういうのってひとりいたら何人かいるってもんじゃないかなって。」


「え!?ちょっと兄者!ここでその話はマズっ、、、て」


由良が般若の表情を浮かべていた。


「義朝様に、、、、、まだまだ聞くことが沢山ありそうですね?」


「手遅れであったか、、、」


「?」


頼朝はどういうことなのか理解出来ず首を傾げている。自分の父を間接的に地獄落ち決定させたことを知らずに。


(都に戻ったら義朝は由良にシメられるなこれは。無自覚って、、、恐ろしい〜。マジでご愁傷さまだな。)


朱若はここにいない不憫な義朝に手を合わせて無事を祈った。




範頼との会見は成功した。




そしてもう一人これから(本人にとっては)最悪なことが待ち受ける男がいた。


笑顔で蒲玄若を抱き上げてメロメロになっている男。


皆もお忘れでないだろうか。


そう、悪源太義平、源義平のお見合いまであと二日である!


そしてここにその会見に向かう行列が一つ。


中心のカゴの中では外を見つめながら黄昏れる色白で儚げな美しさを魅せる女性が一人。


「義平様はどのようなお人なのでしょうか、、、」


上野国(こうづけのくに)(今の群馬県)の新田庄(にったのしょう)を領する武士の源義重またの名を新田義重(にったよししげ)の長女、祥寿姫(しょうじゅひめ)である。

範頼の幼名と母親の名前は伝わってないので範頼の「蒲冠者」という通称と出身地の池田を使ってつけてみました。

源義朝は関東の交通の要衝などでの有力者との繋がりを持つためにその娘たちと関係を持ったそうです。

平安時代で御落胤として認知されたのはたまたま六男の範頼だけでしたが、もっと多く存在していたとされ、後に頼朝が平家討伐を起こすために集まった有名な御家人の中には何人か義朝の御落胤という縁で馳せ参じた人間もいたようです。もしかしたら自分の家の高貴さを演じるためのブラフの可能性もあるかもしれませんが、逆に事実かもしれないので真相はその時代のみぞ知るというところでしょうか。

さてさて、今後の御落胤問題はどうなってゆくのでしょうか。もしかしたら登場するかも?

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