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笹竜胆之影武者〜影の勇弟(ゆうてい) "源義門"〜(真 転生源氏英雄伝)  作者: 綴 K氏郎
序章 大蔵合戦、それは保元へのいばら道
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逃走劇とお姫様

「待てぇぇぇぇい!!!不届き者がぁぁぁぁ!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?」


源朱若はさして不幸な人間では無い。


「なんでこんなに見つかるのが早いんだよぉぉぉ!!」


彼に備わっている大概の不幸に見える災難はいつもそうだ。

普通の巡り合わせのはずが、それが朱若である場合は違う。彼が出会う、そして遭遇するときの全てにおいて常に最悪のタイミングを引き当てる。


初陣から、いや生まれた時からで今に始まったことでは無いのだ。


しかし源氏の棟梁に転生したり親に愛され過ぎたりと、一概に不幸でもない巡り合わせもある。


故に朱若は結論づけた。


(ギャンブル体質じゃねぇか!?)


勿論前世で賭博にご執心であったわけでもないし、特段豪運を持っていた訳でもない。


しかし嫌でもわかる。


朱若にとって今までの展開は全て幸と不幸がまさにハーフandバランスなのだ。


そして今の展開は・・・


「いや、ふざけんなッ!間違いなく最大の大ハズレじゃ・・・ヒェッ!?」


目の前を矢が横切った。

それもそのはず、今の時代の日本で最も重い罪を朱若は犯していた。


「帝を守るんだ!なんとしてでも侵入者を殺せぇぇぇぇぇッ!」


(ヒィィィィィィィィ!?!?!?)


大逆罪、すなわち天皇を害そうとした罰で戦前の日本、いやよく分からないが今の日本でも相当に思い罰かもしれない。日本人にとってアイデンティティの天皇制の象徴たる天皇汚されるのは普段穏やかな人格が荒くれた殺人鬼になるくらいには大事なものだ。


(どうする!?一旦どこかに隠れるか?幸いまだ顔は割れてないはずだからここで隠れて逃げれば何とかなるはず・・・。)


そして御所は曲がり角が多い。


「クッ、くそっ!また曲がりやがった!」


「ッ!?居ないだとッ!?どこに行った!探せぇぇぇぇッ!!!」


「ふぅ・・・」


朱若は御簾の裏に隠れてやり過ごした。


(しかし、中に誰もいなかったのは幸いだな。叫ばれたら一貫の終わりだし。)


「しかし、思った以上に奥まで来てしまったな。まじで公文所はどこだ?」


「いたぞぉぉぉぉぉ!!!」


「げぇッ!?」


「殺せ殺せぇぇぇぇッ!」


殺気立った兵士達が幼児を血眼になって殺しにかかる。


「見つかるの早過ぎだろぉぉぉぉぉ!!!」


天皇が住む住まいの内裏では人を殺すことは禁忌だ。

皇子や皇女が産まれてくる時でさえ出産の際の血すら忌み嫌う。つまり天皇は血を見てはいけないため出産には立ち会えず、一度身ごもった妃は実家の屋敷にさがり底で出産を迎えるのだ。

故に捕まればすぐさま殺させる・・・訳では無いが死は免れないはずだ。そんな恐怖を胸に抱きながら朱若は震えるからだで逃げ出す。


(さっきみたいに御簾の中に隠れれば・・・)


「ッ・・・!」


いい感じの角の先に御簾で囲まれた部屋が目に留まる。


(よしッ!あそこに入れれば・・・)


角を曲がり御簾の中に飛び込んだーーーーー







ーーーーーーーーーー


「式子様、ちょっと騒がしゅうございますね。何かあったのでしょうか?」


「侵入者かしら?」


そばの侍従は耳をそばだてて外が気になる素振りを見せた。確かに少し誰かが走っている音が床を叩くような音から理解出来た。


「少し聞いてみますね。」


「ええ、気をつけていきなさい。」


一体こんな場所に誰が忍び込むのだろう。ここは仮にも日ノ本で最も神聖な場所だと言っても過言では無い帝含め皇族が住まう内裏なのだ。


(誰なんだろう・・・、ちょっと気になるかも。)


皇族で内裏に住んで入るものの私や妹達は今まで跡継ぎでもない父の子として冷遇されてきた。そしてただでさえおなごというものはずっと屋敷の御簾の中に座りっぱなしで退屈なのだ。だからこそここに忍び込むほどの人が自由に見えてここを警備してくれている兵士達には申し訳ないが羨ましく思えた。


(まぁ、私には一生無縁の話でしょうけど・・・。どうせどこかの神社に斎宮として送られて伴侶を持つことなく死ぬのがオチだろうし・・・)




ジャラジャラジャラジャラ・・・




途端ーーー後ろの御簾が鳴った。


(侍従が戻ってきたのかしら?)




「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」




「ええッ!?きゃぁッ!?」




どさッ・・・!



「痛ててててて・・・」


「うう・・・・・・・へぇッ!?」


いきなり目の前には男の子が私を押し倒す形で頭を摩っていた。


「ん?大丈夫か?」


「なぁッ!?なななななななな何するのよッ!」


「ぐほぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」


私の拳で少年が宙を舞った。

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