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笹竜胆之影武者〜影の勇弟(ゆうてい) "源義門"〜(真 転生源氏英雄伝)  作者: 綴 K氏郎
序章 大蔵合戦、それは保元へのいばら道
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郷離遊歴望求我真、自分を見つけるための出立

コメントなどお待ちしています。

「まさかこの列を狙う賊がいるなんて聞いてないって!」


「『ウリ坊』って読んだ報いでは?」


「季邦てめぇ!わざと報告しなかったなぁぁぁ!?」


「ギャハハ!奪え奪えー!シコタマいいもの持ってやがるぜぇ!」


(クソッ!なんでこんなことにッ・・・!)


賊が行列の噂を聞きつけてこの場で待ち伏せしていたのだ。


「まずいですね、朱若様。御台所が心配です。」


「小次郎、こっちは任せていいか?」


「はい、ここあたりは私たちで退けます!」


「任せた!」


(由良母さんにはこの状況はちょっと酷だな。急がないとまじで危ない!)


馬を走らせている頃、前列の腰の前ではチンピラ達と、由良が睨み合っていた。


「ちょっと!せっかくあの子が用意してくれたって言うのに!どうしてくれるのよ!」


プンプンと、可愛らしく口を膨らませて怒ってみるが威厳は無くどこか怒りの矛先も違っている。


「ひゃ〜、いい面じゃねぇか!ついでに俺たちでかわいがってやるかぁー?」


「へへへ、いいとこの女ァ抱けるんだ。じっくり楽しませてもらうとするか!」


強引に手を引こうと着物の裾に手を伸ばす。


「おい、あんちゃんら。」


「ああん?」


いつも通りのひょうきんな商人の声。


「なんだテメェは。邪魔すんな。おい、こいつを嬲り殺しとけ。」


「ひゃはははははは!ごめんなぁ、そのきもたま頂くぜぇ!」


「そうか・・・、」


諦めたように頭を垂れる。

次の瞬間ー


ザシュウゥゥゥゥゥッ・・・!


「あ・・・、ガァッ!?」










「なら、冥土に送ってやろう。神官に送って貰えるなら本望だろう?」





「畜生!やっちまえーッ!」


「死ねぇぇぇぇぇッ!ギャッ・・・!?」


「クソが・・ッごへぇぶッ!?」





止まらない。今まで押さえ込んでいた未知なるものが溢れ出るように、振るう太刀は血を吸う。


「おもしれぇ・・・、俺が相手だァッ!」



鋭い響きが耳を襲う。


(重たいな。出来るやつだ。)


「ふへぇ、俺と鍔迫り合いとは、大したもんだなぁ!だが、いつまで耐えられるか?」


「ぐっ・・・!」


相手が力を強める。こめかみに相手の刃渡りが迫る。



「母上ーーーッ!大丈夫か!?」


「まぁ!心配してくれたの!?ありがとうね。私はいい息子をもったわぁ〜。」


「へへぇ〜、じゃなくてッ!この状況は・・・!?」


殺伐とした中ある意味おかしい態度の母にツッコミ現状を尋ねる前に目の前の鍔迫り合いが目に映る。


「お前は・・・範信ッ!?どうしてここに・・・。」


「あら?範信じゃないの〜。顔も見せないから心配したわ。」


(母よ、それでいいのか?姉として!今あなたの弟は鍔迫り合いの真っ最中ですよ!?)


「・・・小僧、いや朱若。」


重みに苦しげに耐える口から絞り出すように呼びかける。


「俺は尾張を出る。」


「・・・!そうか。」


「俺は・・・どうやら神官には向いてないらしい。前から知ってッ・・・いたんだか・・ッな。」


「・・・」


「だから、一つだけ・・・聞いてもいいか?」


「ああ。」


ふと範信の顔が緩んだ。


「この天下を見れば・・・俺を見つけることが・・・できるか?」


その目には救い、疑念、憧れ、どのようにも取れる。朱若はただ、事実だけを突きつけるつもりでいた。


「分からない。」


「そうか・・・。それな、」


「だが、」


諦めたように言いかけた時朱若はすぐにかき消す。


「少なくとも、お前なら・・・、知りたいと願うお前なら、見つけることが出来るはずだ!」


「・・・!ふっ。」


しばらく呆気に取られていたが、再び口角が上がる。


「最後に頼みたいことがあるだが、聞ィちゃくれんかい?」


「ああ。」


「その前に・・・うおおおおおおおおおおおおッ!!!」


「ぐうッ!?何だこの力はッ!?いきなり膨れ上がって!?」


「でええぇぇええええやあああああああぁぁッ!!!」


「グハッ・・・、ち、畜生・・・。」


大男を一刀のもとに薙ぎ倒してしまった。


「すうぅぅぅぅ・・・」


途端背中を反らせて大きく息を吸った刹那ー


「この熱田だいぐぅぅぅぅじぃぃぃぃいッ!季範が一子ィィッ!藤原範信はぁぁぁあッ!この賊の殲滅をもってぇぇぇぇッ!源朱若を主として仕えることをお誓申し上げるッ!」


「そうか・・・、わかったよ。その誓い、源氏の名において受け入れよう。見事に賊を殲滅して見せよ!」


「応ッ!」


「ふふ、朱若もよく言えましたねぇ〜!あんな大きい声で!よく頑張りました!」


由良はここぞとばかりに頭を撫でてくる。


「やめてくれ、母よ。威厳が全て台なしだ・・・。」


空気に似合わなすぎてすこぶる恥ずかしい。


(ある意味母が一番最強かもしれないな、これは・・・。ま、今回は翁も報われたようだし、これぐらいは・・・)


「ふふ、よしよ〜し。」


(我慢・・・我慢、だよな・・・?)







ーーーー


「よくやった、助かったよ。範信。」


「範信、今回は助けて貰ってありがとうね。見ないうちにこんなに逞しくなって!」


「ありがとうございます。朱若、姉上。」


今回は出番はなくただただ戦場で母親に撫でられ続けるという男としてはなんとも微妙な経過だった。その間に範信が宣言通りに賊たちの大部分を倒し賊を壊滅に追い込んだ。こうして範信がそばいる訳だが何故か引っかかる。


「範信、別に天下を見たいなら俺に使える必要も無いんじゃないか?諸国を遍歴するなら一人でもやれないこともないだろう?」


範信はしばらく腕組みしてみたが、あまり間はなかった。


「それでも良かったと思うが、なんとなくだけどな。俺は朱若が色んな場所に行きそうだって感じたんだ。」


「ん?俺が?」


よく分からず拍子抜けたように聞き返す。


「ああ、それに戦に出たかったのもあるかねぇ。やっぱり俺にはこれが馴染んで仕方ねぇ。」


右手に握られた柄をポンポンと撫でる。


「だからよろしく頼むぜ?お頭!」


「お頭って・・・、なんか盗賊みたいだからやめてくれよ。」


「ふははは!いいじゃねぇか。そんなちっちゃいことは気にすんな!」


「はぁ、また面倒い奴が入ってきたな。」



「いいんじゃないですか?今に始まったことじゃないですし。」


「朱若も人に言えんぞ?」


「良さそうな方ではありませんか。」


「そうですね!人を『ウリ坊』呼ばわりする人ですからね!」


「小次郎、景義、大叔父、ウリぼ・・、季邦・・・。」


「ああ!?またですね!また『ウリ坊』って言いましたね!?」


涙目で人を殺す目をした人を初めてみた。


「時間ないし、そろそろ行くぞ。」


(やっぱり、たまにはこういうのも悪くはないな・・・。)


朱若達はいよいよ京へ向かい尾張をたった。

次回より帰京編です。

時系列としては1155年の五月までを書くつもりです。

大蔵合戦がその年の年末手前ぐらいなので。


大まかに告知すると、難しすぎないくらいに平安時代の貴族や庶民の営みとか書ければと。


あとヒロインがついに書けます。笑

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