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笹竜胆之影武者〜影の勇弟(ゆうてい) "源義門"〜(真 転生源氏英雄伝)  作者: 綴 K氏郎
序章 大蔵合戦、それは保元へのいばら道
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麒麟児惑う下総編ーーー素敵な行き違い、報!連!相!

気になることや感想など気軽にコメントしていただけるとモチベーションに繋がるので暇な方は是非に!


言葉の意味の差異や誤字脱字の御指摘も大変助かるので見つけた方はどんどんよろしくお願いします!

「ところで朱若殿。帰りは如何するので?」


季邦に尋ねられるもその辺は抜かりない。


「その辺は行きにも世話になった千葉に頼んでいるぞ!」


下総国(しもうさのくに)(今の千葉県北部)に勢力を張る千葉氏。彼らは義朝が関東に基盤を築く際にあちこちの領地や豪族の家督争いに介入していた頃鎌倉党と同じように対立を経て忠誠を誓った一族であった。


「当主の千葉常胤(ちばつねたね)は父上に従ってから忠実に源氏を支えてくれているからな。ここに来る時も是非にと言ってくれたので船を出してもらった。一日で着いたのは僥倖だったな。」


行きは鎌倉に千葉の船が迎えに来る形で乗った。その後安房国(あわのくに)(今の千葉県南部)の安西氏に手引きされて北上して九十九里浜に至る。


安西(あんざい)に関しては驚いたな。まさか兄者に縁のある者が傍に仕えていたとは、、、」


聞けば頼朝と幼なじみのようでそこから始まった主従らしい。


「私と朱若殿みたいにですか?縁とは不思議な者ですね!」


(いや、季邦(きみ)との縁はかなり脈絡なさ過ぎて驚きと言う方が正しいがな?)


季邦は初陣の後に父親の義国に直談判して意外にも許可された。それをわざと義国は簗田御厨を出る前日まで言わなかったのだ。


大叔父(よしくに)の連絡のずさんさは今に始まったことではないからな。ていうか俺に対する嫌がらせだ、あれは!」


「そうですか?父上は朱若殿に期待していると思いますけどね?」


「いーや、ありえない!季邦、父親だからかばいたい気持ちもわかるが大叔父はあの性格だ。ていうかそこは譲れない!」


「そうでしょうか?」


季邦は朱若の強硬な態度に不思議そうな顔をする。


「大体なー、そこら辺ぐらいは気をつけてもいいんじゃないか?」


不意に後ろを向く。

妖しく照らされるものが季邦の首に迫っていた。


「おいッ!?季邦!避けろおおおぉぉッ!!!」


「え?」


閃きは斜めに季邦を捉える。


「どひゃあぁぁぁぁ〜!?」


間抜けな声だが間一髪後方に倒れる形で避ける。


「な、なんだ!?こいつら!」


いきなり、後ろを襲われたかと思ったら既に五人程に囲まれている。

驚くのも無理は無い。朱若の知る中でここで襲われる要素は万に一つもないからだ。最も有り得そうな不確定要素を考え季邦を見つめる。


(ああ、嫌な予感、、、。)


「おい、季邦。」


「はい!なんですか?」


こんな状況でも元気なのは最早メンタルが強いという部分で現代人を逸脱している。


「まさかと思うが、風魔の者達はお前に対してなんか俺への伝言とか貰ってないか?」


「ん〜〜〜〜〜。」


周りを囲まれても焦るどころか顎に手を当てじっくりと考える。


「あ、そうでした!なんか小太郎殿がある交渉した人が朱若殿がここに来ることの許可を渋ったから軽く脅してうなづかせたと言ってました〜!」


「絶対それだあぁぁッーーーーーー!!!」


小太郎の見た目に寄らないせっかちさと季邦の日常茶飯事な連絡不足にが寄りにもよって重なってしまった。


(くそぉ!景義を挟まないだけでここまで不幸なことになるか!?小太郎の言う交渉人は絶対ちゃんと説得したと思っていたここの領家の藤原親政だ!貴族出身の奴はこういう恨みとか根に持つからな。ていうか季邦は報告どころか誰かを説得したことすら忘れてたのはどういうことだあッ!)


前に後ろに追い詰められた二人は背中が合わさる。


「季邦、ここは俺達で切り抜けるぞ。新手が来る前にな!」


季邦が張り切るように鼻を鳴らす。


「その言葉!待ってましたよ〜!」


季邦は太刀を抜刀する構えを見せ、朱若は短めの自分のために京都で新調もといオーダーメイドの脇差に手を掛ける。


「・・・。」


「・・・。」


打ち手たちは依然として黙ったままだ。

前とは違い、相手は立派な武士だ。自分自身で行う本当の命奪りなのだ。






朱若は沈黙のなか息を整え覚悟を決める。


「いくぞッ!」


二人は打ち手に駆け出す。


季邦は二人同時に斬り掛かる武士を相手にする。


「なんの、なんの〜!ぬるいですぞぉー!」


まだ十代前半とも思えない怪力で往年の武士達を弾き返す。そのまま、踏み込み周りの地面が抉れ亀裂が走る。


「頂戴ッ!」


ぐししゆゅゅゅうううッッッ!!!


引きちぎる様な一刀で二人を同時に血で染める。





朱若は今だ刀を抜かない。

相手の太刀は広い道幅において縦横無尽に駆け巡る。


(リーチが長過ぎる!太刀と言うより大太刀だ。俺はまだ筋肉が出来上がってないから鎧の上からだと刃は入らない、、、、どうする!?)


相手も日々鍛錬に励む武士。太刀を振り回しても隙がないほどに鍛えられている。


(たまたま、あの化け物たちとの修行で何とか見切れて動けてるけど、前より余裕無い!どこか、、、どこかに、、、)


朱若は武士の身体のあちこちを迫る太刀を見ながら少しずつ見渡していく。


(刃が、、刃が通る柔らかい部分は、、、、、、あったッ!そうだ、脇の下だ!ここなら鎧は着いていない!)


朱若は今だ速さ衰え無しの武士の太刀筋を見つめる。


(けど、、速い!どうやってあの速い太刀をとめる?前に風魔の子供達にやったような足払いじゃあ、鎧着込んだ武士に対して軽すぎる、、、。その重みで蹴った足が壊れる!)


足払いだと軽いどころか相手の重さに足が参る。八方塞がりな中、、、


(足、、、足?そうか!足を払うのが無理なら払うなんて器用なことしなくていいんだ!)


相手が横一文字に太刀を振る。


(よしッ!相手が刀を返す前のわずかな切り替えを狙え!)


素早く加速して相手の左脇に入る。


「ちょっと痛いが我慢しなくてもいいぞッ!!と、、」


ゴキッッッ!!!


「ぐがあああぁぁッ!?」


骨を粉砕する鈍い音。聞いているだけで痛々しい。


それもそのはず、朱若の蹴りは相手の武士の左脚のすね当てのすぐ上の膝関節から真横に思いっきり入った。


それは完全に固まった成人の身体であっても蹴られたら普通はそれほどでもない重みがガチガチに固められたすね当てとてこの原理の容量で膝の骨の関節を狂わせるほどの威力に成長する。


何はともあれ武士は膝を着く。


「ふんっ!」


ブシィィィッッッ!!!


しかし、斬られた武士は首と胴は繋がったままだった。


「ぐぎゃぁぁあッ!う、、腕がああァァッ!?」


(甘いのは分かってる。せめてもの慈悲、腕の健は貰ったぞ、、、)


急いで多数を任せた季邦を見る。


「季邦!大丈夫ッ、、、か?」


見ると、季邦はもう他の四人を倒していた。


「朱若殿!こちらは終わりましたよ?」


やや、天然で待っていたかのように返されるが朱若にしてみれば煽りとして成立すると言っても過言ではない。


「季邦、お前は一番大叔父(義国)に似ているかもなぁ〜、、、そんなことは今はいい!急ぐぞ!」


再び千葉の待つ辺りまで走る。後ろから微かに声が聞こえた。


(新手が到着したようだな。(ひづめ)の音は聞こえなかったから幸い馬はいないようだ。この距離なら振り切れる!)


脇差の血を振り払いひとまず鞘に収めて走っているとすぐ横の季邦の視線を感じた。


「季邦?なんか言いたそうだな。」


聞くのはタダなので聞く。


「えっと、あの時朱若殿はなんで相手の首を、命をお取りにならなかったのですか?」


季邦もどこかもどかしそうである。


「単純に俺は首を切るほどの力が出来上がってない。だから腕の健を切ってしばらくは刀を振るえないようにしたんだ。それに、、、多少の甘さはあったのは認める。」


「気にしませんよ!朱若殿はそれでもお強いですから!」


あっぴろげに季邦は笑う。


「お前は少しは報告、連絡、相談をしろ!?一応原因お前に一部あるからな?」


「あはは〜、申し訳ありません!」


間違いなく反省してない季邦に対して怒る気持ちは萎えてしまった。


「代わりになんだが、季邦。俺が殺さなかったことも後々意味を成すようになってくるからその辺は今のうちに答えが分かるように覚えておくんだな!」


「な、なななんですとッ!?」


何かを感じ取った季邦は走りながら器用に考える出した。




(全く、、、これから兄弟で手を焼くかと思ったら郎党すらこの状況かよ!前途多難にも程があるって!?)




「あっ!千葉の領地は東じゃなくて西です!」


「勘弁してくれ、、、」


武士たちにバレないようにけもの道を使って千葉に向かった。

コメントしてくれた方々ありがとうございます。作者はドMじゃないですが、コメントは少々辛口でもいいと思っています。(一応季邦メンタルだと思うんで)理不尽なことだったり単純な誹謗中傷意外なら遠慮なく言い合える関係を作って行きたいと思っているので気になることがあったら気軽にコメントへどうぞ!


(ちなみに今のところのうちのコメント欄は治安いいです。)

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