退屈の夜空
初投稿の処女作です。暖かい目で見ていただけたらなと思います。
作品はフィクションです。全ての表現などは誰かを貶めたり蔑視したりする悪意のあるものはありません。気になる表現がありましたらその都度ご指摘ください。
更新頻度は不安定になるかと思います。反応が多かったらモチベが上がります。いつ完結するかも分かりません。途中変更も多いかと思います。
頑張りますのでよろしくお願いします。
【もしこの歪な安定が、一挙に崩れ始めたら、人はどうするんだろう、何を思うのだろう。あぁでも、やはり俺には興味が湧かないな。この先どうなろうと、俺には関係が無い】
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法華津恭一ほけつきょういちはパソコンを覗き込んでいる。
「ハァ…」
ため息を吐く。昔からの癖だ。だが昔なら、「なんかおもしれぇ事ねぇかなぁ」と続けていただろう。しかし今となっては、彼はそんな事などないと悟っている。そのため息は退屈から諦観へと変わってしまった。
パタン 彼はパソコンを閉じる。 そしてもう一度開き、オンラインゲームを立ち上げようとして、やめた。
「ハァ…」
もう飽きてしまった。彼の生来の飽き性は彼に退屈を引き合わせる。もし彼が熱心な努力家と言わずとも、人並みの堪え性があったならば、その人生は全く違ったものであったろう。
彼、法華津恭一は、今年で38歳である。1番脂の乗っている時期も過ぎようとし、中年の域に達しようとしていた。
脂が乗っているとは言っても、彼の仕事にそんな事は関係ないのだが…
彼の仕事、というよりも銭稼ぎは複数ある。所有しているマンションからの家賃収入、彼個人経営の飲食店からの収益、趣味で暇つぶし程度にするサイト運営のバイト、株主投資、FX、パチンコや競馬などのギャンブル(これが収入になったことはほとんど無いが、ビギナーズラックで大当たりしたのを未だに自慢している)である。いずれにしても、彼の退屈を紛らわすのには不十分だった。
携帯を開き、連絡先を開いて誰かに連絡しようとして、やめた。彼の友人は皆、仕事が忙しかったり、結婚したりで彼の誘いには乗らなくなった、もっとも、なんのかんのと理由は付けても、彼はその真意を察していた。
彼がニート同然だからだ。多くの人たちは彼のことを、捻くれ者、才能の無駄遣い、生き恥晒し、と言って揶揄した。それらの言葉は人と人とを伝播し、彼のことを否定した。また彼と似た生活をする物、もしくは家を持たないものは彼のことを、金を持ってるから俺らとは違う、あいつは恵まれている、大した努力もしてないくせに人並み以上の生活をしてやがる、と彼のことを羨み疎んだ。