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神と鬼の物語  作者: 鶴野オト
8/12

地下室

地下室に入った俺たちはまず驚いた。

そこには監獄のように檻がズラッと並んでいた。

その中の一つ一つには人と思われるものが入っていた。

『人と思われる』というのは人型でありながら異様な形、行動をしているものが多くいたからだ。

首から腕のようなものが生えたもの。

体の下半身を無くしながら這って動いているもの。

檻の外へ向かおうとしているのか檻に噛み付いているもの…

気がつけばガアは机の上に置いてある資料をパラパラと読んでいた。


「とある種族の血を注射してその反応を観察してるみたいだな」

とガアはぼそりと語った。


その部屋の奥に置いてあった檻の中にヒビキはいた。

俺たちに背を向けるように檻の隅で縮こまっている。


「ヒビキ?」


声をかけても反応がない。

試しに檻を掴んで振るってみた。

錆びた金属が擦れるような音がする。

その音は聞こえたのかヒビキがこちらを振り向く。


悲惨だった。

元の彼の顔を知らない人が見たら化け物と勘違いするだろう。

彼の左目には大きな石が刺さっていた。

いや、瞼が捲れているところを見るに彼自身から生えてきたようだった。

石は水晶のように少し白みがかった透明で、宝石のように綺麗だった。


「あ、ああ」


声も出せないのか脳に障害が生じたのかヒビキの口からはちゃんとした言葉は発せられなかった。

ヒビキの残った右目はキョロキョロと辺りを見回していたが、やがて俺を見つけた。


「うおおぉぉあああ!!」


ヒビキは叫ぶと左目の石の形状を変化させた。

それだけではなく彼の両腕からも同様の石が生えてきた。

腕力が異様に強くなったのか檻を掴んで破壊した。


そこからのことは一瞬のことだった。

ヒビキは手当たり次第にあたりを破壊し尽くし、その結果なんらかの物質に引火したのか地下室は大爆発の渦に包まれた。

俺はガアの烏に掴まれてなんとか脱出した。

空中から研究所を眺めていると、地下室の天井が崩れたのだろう、地上にあった建物も崩れ落ちていった。

プレミアのことが心配だったが、彼女もまた烏に摘まれて空中にいた。

周りを気にしていないかのようにプリムの残骸を抱えて弄っていた。

瓦礫は少しも動かず、ヒビキの活動が停止したことをこれでもかというほど表していた。

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