キラリ☆
「ぼく、もう帰らなくちゃ」
「どこへ?」
「ポラリス」
夕暮れのひとけのない野原で、少年は光る二重螺旋を召喚した。
「あなたは何者?」
少女は目を見開いて聞いた。
「ぼくは、ぼくであってぼくでないもの。きみであってきみでないもの」
「それは答えじゃない!」
「一緒に行くかい?きみを連れて行ってもかまわない?」
「待って……」
少女は尻込みする。
少年は微笑んで螺旋の中央へ歩いていく。フワリと身体が中空に浮かぶ。
少女は反射的に螺旋の中央へ飛び込んだ。
「さあ」
少年の伸ばした手を少女が掴むと、二重螺旋が回転を始める。
キラキラ光る光の階段。
少しだけおずおずと、そして思いっきり回転数が跳ね上がる!
「きゃー!地面が遠ざかる!」
二人は高速回転で空高く昇ってゆく。
頭のてっぺんから遙か上空へ。
二重螺旋が交わる時。少年は少女になった。
おぎゃあ、おぎゃあ!
「無事に生まれましたよ。元気な女の子です」
まだよく見えない目で新しい世界を見ようと目をこらす。
「ねえ?どこにいるの?」
「きみの中に。一緒にいるよ」
少女は微笑んだ。