4.マキナの知らないこと。
ざまぁ入るかもしれない(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
ほんの少しだけ……。
「明日は学校から帰ったら、すぐにログインしなきゃ!」
基本的な連携を確認して、私たちは解散。
明日、実践的な練習をすることにしたので、今日はひとまずログアウトした。ヘッドギアを外してベッドに寝転がると、どこか充実した気持ちが沸き上がる。
リアルに友達がいないわけではないけど、ゲームを通じて初めての仲間ができた。そのことが思った以上に嬉しい。
「ミキが復帰したら、誘ってあげないと!」
考えただけで、思わずニヤニヤしてしまった。
だけど、すぐに思い出す。そういえば、今日会ったマコトさんって……。
「前回は、ダリスさんたちとパーティー組んでたって言ってたけど。どうして今は、あんなに仲が悪くなったんだろう……?」
事情は分からないけど。
その一点についてだけは、悲しい気持ちになってしまった。
◆
「はぁ、まさかアイツと会うなんてな」
ダリスはログアウトして、そうため息をつく。
薄暗い部屋の中。日付が変わる頃、大学生の彼は一人で悶々としていた。するとそこに、スマホの着信音が鳴り響く。
表示された名前を見ると、そこに書かれていたのは――。
「もしもし、どうしたんだ? ――雫」
「いや、少しモヤモヤしてね」
「それでログアウトしてから、わざわざ個通かよ」
「いいじゃないの、別に」
レインの本名――本条雫の文字。
ダリスが出ると、彼女は明らかに不満そうな声色でそう言った。
「互いに大学生だって知ってるからって、少しは気を遣えよな」
「はいはい。どうせ、また誰かに代返してもらうくせにねー」
「うぐ……」
互いに軽口を叩き合って、ひとまずいつもの空気に。
しかし、この話題になるとやはり少々暗くなってしまうのだった。
「あの子、巻き込んじゃったね」
「………………」
沈黙が生まれる。
それぞれの息遣いだけの時間が続き、しかしようやく口を開いたのはダリスだった。彼は真剣な口調でこう答える。
「こうなったら、俺たちが必死に守ってあげないとな」
「そうだね。気を付けないと、どんな目に遭うか分からないから」
「……そうだな」
そこまで話して、また静かになる二人。
それを次に破ったのは雫だった。
「アンタ、まだ怒ってるんだよね」
彼女はそう確認する。
その言葉に、ダリスは息を呑んでから答えた。
「分からない。アイツは、ルール『は』破っていないからな」
「…………そっか」
すると、電話先で雫が緊張しながらも頷いた気がする。
これで頃合いだろうか。そう思って、ダリスはこう切り出した。
「遅いから切るぞ。……おやすみ」
返事も訊かずに、彼は通話を切断する。
そして、大きく伸びをするのだった。
「…………ルール、か」
ボンヤリと、そう呟く。
そこには、なにか複雑な感情があるように思われた。
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